宅建は独学で合格できる!必要な勉強時間とおすすめ勉強法を解説
更新日:2024年10月31日
宅建試験は、合格率15%のやや難関な資格ですが、テキスト1冊をしっかり読み込み、過去問を複数回繰り返すだけで、独学でも短期合格が十分に可能な資格です。
ただし、この簡単そうに思えることを一定期間、毎日続けるのが一番大変なことなんですが。。
このページでは、宅建試験に独学で合格するためのおすすめ勉強法・コツや勉強時間の目安など、どうすれば独学で合格できるのか、実際に独学で合格した私の経験に基づき詳しく紹介していきますので、ぜひ参考にしてください!
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宅建は独学で合格できる!
まずはじめに、そもそも宅建試験は独学で合格できるのかどうか不安に感じる方も多いかもしれませんが、宅建試験は独学でも合格できます。
独学でも十分に合格できる理由
独学でも宅建に十分合格できると考えるには、主に以下の理由があります。
- 市販教材が十分に揃っている
- 合格に必要な知識は市販教材だけで手に入る
理由①:市販教材が十分に揃っている
宅建試験はとても人気があり、受験者数が非常に多いマンモス資格です。
受験者数の少ない資格の場合は、市販教材の品揃えが悪く、十分な知識・情報が得られない資格試験も確かにあります。
しかし、宅建は違います。各社から市販教材が数多く出版され、合格に必要なテキスト・問題集が十分に揃っています。
理由②:合格に必要な知識は市販教材だけで手に入る
とはいえ、資格予備校や通信講座を受講しないと入手できないような知識や情報があるんじゃないの?と疑問を抱く方もいらっしゃるかもしれません。
私も昔は、そんな風に思うこともありました。
市販教材の多くは資格予備校が出版しているわけですから、予備校は講座を受講してもらうために、本当に重要な情報は市販教材には載せてないんじゃないか?合格に必要な知識は、講座を受講しないと教えてくれないんじゃないか?と。
しかし、私の経験上、そんな疑問・不安は、すべて払拭されました。
私自身、これまでに、宅建・行政書士・土地家屋調査士などの国家試験に合格してきましたが、すべて市販教材に載っている知識だけで合格できました。
ですので、独学だからといって心配することはありません。合格に必要な知識・情報は、すべて市販教材に載っています。
事実、私を含め多くの人が独学で合格している
そうは言っても、本当に独学で合格できるの?とまだ疑っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
今の時代、ネットで検索すればすぐにわかりますが、独学で合格している方は数多くいらっしゃいますし、事実、私自身も半年間の独学で合格することができました。
宅建試験の合格率は、例年、おおむね15%程度で推移していますが、他の有名な国家資格は、以下のとおり5~20%の合格率で、10%を切るような難関資格も多く存在します。
<法律・不動産系国家資格の合格率>
- 司法書士試験: 4%
- 社会保険労務士試験: 6%
- 土地家屋調査士試験: 8%
- マンション管理士試験: 9%
- 行政書士試験: 10%
- 管理業務主任者試験: 20%
このように、宅建の合格率15%というのは、他の国家資格と比較した場合は、そこまで難しい難易度ではありません。
また、宅建ほどの人気資格となれば、たいして勉強せずに受験する方も多いと思いますので、15%という数字に、そこまで惑わされる必要はありません。
私が宅建試験に挑戦したきっかけ
そもそも私が宅建の勉強を始めたのは、私が勤めていた市役所の人事異動で、建築指導課という部署に異動になったのがきっかけです。
私は事務職でしたが、そこは建築職や土木職ばかりの職場でした。窓口や電話で応対するのは不動産や建築の専門家ばかりで、とにかく基礎知識がなさ過ぎて、いくら先輩職員に聞きながら対応しても限界があると感じました。
そこで、思い切って「宅建」の資格を取ろう!と決意しました。
私が独学を選んだ理由
では、どうやって勉強しようかと考えたときに、まず通学講座に通うのは、はじめから論外でした。近所に予備校などありませんし、働きながら通学する時間も取れません。
では、通信講座はどうかというと、私は当時、1ヶ月の小遣い18,000円の貧乏でした。市役所の安月給で住宅ローンを抱え、妻子を養わないといけませんから、受講料を払う余裕などありません。
このため、必然的に「独学」で宅建試験に挑戦することになったのが、私が独学を選んだ理由です。
初心者でも独学で宅建に合格できる!
ちなみに私は、大学も経済学部でしたし、法律の勉強など一度もしたことのない、まったくの初心者でした。
市役所勤めの公務員なら法律に慣れていたと思うかもしれませんが、私がそれまで配属されていた部署は「公民館」で、地域住民と交流する部署です。
法律とは、かけ離れた仕事をしていましたので、法律の予備知識は一切ありませんでした。
こんな私でも、半年間の独学で宅建試験に合格できたわけですから、皆さんもきっと独学で合格できるはずです。
ただし、独学には乗り越えないといけない壁がある
独学は、コストが安くつき、誰でもいつでも手軽に始められるメリットがありますが、その一方で、独学には、乗り越えないといけない壁(デメリット)がいくつもあります。
これがないと、予備校や通信講座が存在する意味がありませんからね。
- どの教材を選べばいいかわからない。
- テキストを自分で読み進めないといけない。
- 教材の使い方がわからない。
- 今の勉強法で合っているのか不安。
- 自分でスケジュール管理をしないといけない 。
- わからなくても質問できない。
- モチベーションを維持するのが大変。
このように、独学のメリットに比べ、挙げればキリがないほど数多くの壁(デメリット)が存在しています。
独学の場合、こういったデメリットを乗り越えないといけません。
以下の関連記事では独学で資格試験に臨むメリットとデメリットについて詳しく解説しています。気になる方はそちらも合わせてご覧ください。
正しい勉強法を実践すれば独学でも合格できる!
しかし、当サイトは「独学で資格取得」をテーマとしており、私自身も独学特有のデメリットに悩まされ、あれやこれやと試行錯誤を繰り返しながらも、独学で宅建試験その他の国家資格に合格してきました。
独学で勉強する場合、誤った勉強法では合格できません。合格できたとしても、ものすごく時間がかかってしまいます。
宅建試験に独学で合格するためには、正しい勉強法で勉強する必要があります。
このページでは、私自身の経験を踏まえ、独学特有のデメリットをできるだけ払拭したうえで、宅建試験に独学で合格できる方法をお伝えしていければと考えています。
独学で宅建試験に合格することを目指して、頑張っていきましょう!
独学に必要な勉強時間は?
では、独学で宅建試験に合格するためには、どれぐらいの勉強時間が必要なのでしょうか。
- 勉強時間の目安は、300時間程度
- 学習期間は6ヶ月が標準的
- 1日に3時間なら最短3ヶ月/2時間なら5ヶ月/1時間なら10ヶ月
初心者の勉強時間の目安は300時間
一般的に、初心者が宅建試験に合格するためには300時間程度の勉強時間が必要といわれています。
私自身も、宅建に合格するまでに約270時間の勉強をしましたので、一般的に必要とされている勉強時間と概ね一致していますね。
人それぞれ、法律を学んだことがあるかどうか、予備知識がどれだけあるか、不動産業界に勤めているかなど違いがありますので、300時間というのはあくまでも目安となりますが、初心者の方は、とりあえず300時間を目安に、学習計画を立てていただければと思います。
学習期間は6ヶ月が標準的
一般的に、宅建試験に合格するためには6ヶ月程度の学習期間が必要といわれています。
私の学習期間も、ちょうど6ヶ月間でした。
1日の勉強時間は、全体6ヶ月のうちの前半3ヶ月間は1日に約1時間、後半の3ヶ月間は約2時間の勉強時間を確保しました。(1時間×3ヶ月+2時間×3ヶ月=合計270時間)
宅建の試験日は、例年10月の第3日曜日ですので、その6ヶ月前、つまり4月半ば頃から勉強を開始すれば、6ヶ月の学習期間が確保できますね。
とはいえ、1日に確保できる勉強時間によって、必要な学習期間は、いくらでも変化します。
1日3時間なら最短3ヶ月で合格可能
宅建の合格に必要な勉強時間が300時間とした場合に、1日の勉強時間によって学習期間がどのように変化するのか整理すると、下表のようになります。
1日の勉強時間 | 学習期間 |
---|---|
3時間 | 3ヶ月強 |
2時間 | 5ヶ月 |
1時間 | 10ヶ月 |
例えば、1日に3時間の勉強時間なら最短3ヶ月強で合格できる計算になりますね。
また、1日に2時間なら5ヶ月程度、1日に1時間なら10ヶ月程度の学習期間が必要になると考えてスケジュールを組んでいただければいいかと思います。
短期集中の方が勉強効率は高い
社会人が、宅建合格に必要な300時間の勉強時間を確保するには、1日に1時間ぐらいはすぐに確保できるとして、2時間もそこそこ頑張ればなんとかなると思いますが、1日3時間というのは、私の経験上、かなり無理をしないと確保できないと思います。
そこで、1日に2時間の勉強を目標とした場合、5ヶ月の学習期間になりますが、少し余裕を持たせて6ヶ月ぐらいを想定しておくのがベターではないでしょうか。
1日1時間の勉強時間で10ヶ月というのも、やむを得ないと思いますが、覚えたことを忘れてからまた覚え直すというサイクルが長くなり、勉強の効率が低下しますので、その点はご注意いただきたいと思います。
もちろん、1日に3時間の勉強時間を確保できる人は、短期集中で3ヶ月というスケジュールも可能です。
短期集中の方が、繰り返しのサイクルが早くなりますので、勉強の効率は格段に上がります。
このことは、私が司法書士の勉強をした際に、強く実感しました。1日の勉強時間が増えると、こんなにも勉強の捗り方が違うのかと痛感しましたね。
1日の勉強時間が2倍に増えれば、勉強が2倍捗るといった単純な話ではなく、3倍にも4倍にも効率が上がるイメージです。1回転するのが早くなればなるほど、記憶の定着が効率的に進むんですね。
仕事で忙しい社会人の勉強時間の作り方
では、仕事で忙しい社会人がどうやって勉強時間を作り出すのか、私が実際にやっていた以下の4つの方法を紹介します。
- 帰宅してから寝るまでの時間で勉強時間を確保する
- 朝早く起きて勉強時間を作り出す
- スキマ時間で勉強時間を作り出す
- 睡眠時間を削って勉強時間を作り出す (あまりおすすめできませんが・・・)
帰宅してから寝るまでの時間で勉強時間を確保する
私が宅建試験の受験勉強をしていた際は、毎日、仕事を終えて家に帰り、食事と入浴を済ませてから寝るまでの時間(約1時間~2時間)で勉強していました。
やはり、この時間帯が誰でも一番確保しやすく、また、集中できる時間かと思います。
朝早く起きて勉強時間を作り出す
朝早く起きて勉強時間を確保する、という方法もありますね。
仕事から帰ってきてからの時間では、体が疲れ果てて勉強なんてできない、、という方は、朝早く起きて勉強するのも良い方法かもしれません。
私は、宅建試験では夜しか勉強しませんでしたが、管理業務主任者試験の受験勉強の際は、朝1時間早く起きて勉強していました。
私は、朝早く起きるのが苦手なので、この勉強時間の作り方はけっこう辛かったですが、朝起きるのが得意な方には、いい方法だと思います。
スキマ時間で勉強時間を作り出す
スキマ時間(通勤時間・昼休みなど)を使って勉強することも考えられます。
私は、車通勤のため、通勤時間は使えませんでしたが、電車通勤の方にとっては、電車の中で過ごす通勤時間は、勉強するにはなかなか適した時間なのではないでしょうか。
また、スキマ時間としては、昼休みの時間もけっこう使えると思います。
私は、マンション管理士試験の受験勉強の際は、昼休みにスマホを使って勉強していました。
昼休みは1時間あったので、最低でも30分程度は時間が余りますよね。この時間に、休憩所でコーヒーを飲みながら、スマホで勉強していましたね。
その他にも、賃貸不動産経営管理士試験の受験勉強の際は、朝食(パン)を食べながらの時間や、その後のコーヒーを飲みながらの時間も、勉強時間にしていました。
あと、司法書士試験のときは、暗記事項をまとめた手のひらサイズの小さな紙切れを自分で作って、移動中に歩きながらチラチラ見ながら、何度も何度も暗唱して覚えていましたね。
睡眠時間を削って勉強時間を作り出す (あまりおすすめできませんが・・・)
司法書士試験の受験勉強の際は、かなり体に負担をかけてしまいましたが、仕事の残業が多く、どうしても勉強時間の確保ができなかったため、夜寝る時間を遅らせて、睡眠時間を1時間削って勉強していた時期もありました。
元々は6時間程度の睡眠時間でしたが、5時間まで減らしました(夜2時まで勉強して、朝7時に起きる)。その生活を続けた結果、体に異変が、、、ということで、あまりおすすめできない方法ですが、短い期間なら、瞬発力で乗り切ることも可能かもしれませんね。
以下の関連記事では、宅建の難易度・勉強時間について、他資格と比較しながら解説していますので、気になる方はそちらも合わせてご覧ください。
独学におすすめの勉強法
それでは次は、独学で宅建の勉強を始めるために必要なテキスト・問題集などの教材選びや、具体的な勉強法、そして、独学で勉強する際のコツ・注意点など、宅建の独学におすすめの勉強法について、お伝えしていきたいと思います。
おすすめ勉強法の全体の流れは、下記のようになりますので、以下で順に解説していきます。
- テキスト・過去問を選ぶ(最低限、1冊ずつあればOK)
- テキストを通読して全体像を把握する
- 章ごとにテキストを読み、そこに対応する過去問を解く。
- 過去問のみを解いていく(最低でも3回は解く)
- 模試を受験する(又は予想問題集を解く)
テキスト・問題集の選び方
宅健に独学で挑戦するためには、まずはテキスト選びから始めましょう。
そして、そのテキストに対応した過去問も併せて選びます。
独学の場合、最低限、テキストと過去問がそれぞれ一冊ずつあれば合格できます!
テキストの選び方
宅建試験に独学で合格しようとする場合、テキスト選びはとても重要です。
テキストを選ぶ際は、以下の2点に重点を置いて選ぶのがおすすめです。
- 噛み砕いた解説がなされているか
- メリハリをつけて記述されているか(暗記事項・解説、図表、イラスト)
宅建のテキストを選ぶうえで最も大切なことは、初心者がイチから理解できるよう、噛み砕いて解説されていることです。
ただし、ズラズラダラダラと解説が書かれていても、最後まで読む前に挫折してしまいます。
たとえ最後まで読めたとしても、何を理解して、何を暗記すればいいのかわからず、頭に何も残りません。
このため、しっかりとメリハリをつけて記述されていることも大切です。
このメリハリというのは、暗記事項と解説との区別のほか、図表で整理したり、イラストを使ったり、事例で解説するなどの工夫も含みます。
以下の関連記事では宅建の独学におすすめの初心者向けテキストや参考書を詳しく紹介していますので、気になる方はぜひ合わせてご覧ください。
- おすすめテキストこちら⇒宅建の独学におすすめのテキスト・参考書
過去問の選び方
過去問を選ぶ際は、以下の2点に注意して選ぶのがおすすめです。
- 色んな種類があるが、分野別過去問題集が必須
- 原則、テキストと同シリーズの問題集を選ぶ
宅建の問題集には、「分野別過去問題集」「一問一答問題集」「年度別過去問題集」など、いくつかの種類がありますが、この中で必須なのは「分野別過去問題集」です。
各シリーズとも、分野別過去問題集は必ず出版されていますが、年度別や一問一答などは付加的な問題集になりますので、出版されていないシリーズも結構あります。
宅建試験は、最低限「基本テキスト」と「分野別過去問題集」の組み合わせだけを、しっかり取り組めば、それだけで十分に合格できます。
ですので、一問一答問題集や年度別問題集など、あまり手を広げずに、これと決めた基本テキストと分野別過去問題集に絞って学習するのが、合格への一番の近道です。
そして、原則、テキストと同シリーズの分野別過去問題集を選ぶことをおすすめします。
というのは、問題集には、テキストの参照ページが明記されているものがほとんどです。問題集を解きながら、解説を読んだだけではよくわからない場合や周辺知識を確認したいような場合に、素早くテキストの参照ページに戻って確認できるからです。
以下の記事では、宅建の独学におすすめの問題集や過去問をまとめています。独学を検討している方は、ぜひ合わせてご覧ください。
- おすすめ過去問はこちら⇒宅建の独学におすすめの問題集・過去問
効率の良いおすすめ勉強法
独学用のテキストと問題集が決まったら、自宅などでテキストを読んでインプット学習をし、過去問を解いてアウトプット学習をする、という形で勉強を進めることになります。
また、外出先などでスキマ時間を使って勉強することもできますね。
それでは、独学で宅建に合格するために私が実践した効率的なおすすめ勉強法について具体的に紹介したいと思います。
テキストを通読して全体像を把握する
独学用のテキスト・過去問が決まったら、いよいよ勉強開始です!
まずは、テキストを一通り読みます。
この際は、とにかくわからないことがあっても気にせずに、ドンドン読み進めることがポイントです。
細かいところは気にせず、大雑把にイメージを把握するつもりで読み進めるのがいいと思います。細かいところを気にしすぎると前に進めなくなり、挫折してしまうおそれがありますので。。
テキストを章ごとに読み、そこに対応する過去問を解く
テキストを一通り読み終わったら、次は問題演習に入ります。
ただし、ここですぐに過去問を解こうとしても、テキストの最初に書いてあったことなどスッカリ忘れていますので、挫折感を味わうだけです。
このため私は、再度テキストを章ごとに読み直してから、その項目に対応する過去問を解く、という方法をおすすめします。
問題を解くことによって、テキストを読むだけでは理解できなかった部分も理解できるようになりますし、テキストには問題を解くために直接必要のない記述も含まれていますので、とにかく1周目にテキストを読む際は、余計なところで引っ掛からないように注意してください。
なお、過去問を解く際に、テキストに書いてあった内容が頭に浮かばないときは、必ずテキストの該当部分を読み直すようにします。
過去問のみを解いていく(最低でも3回は解く)
このようにして過去問を一通り解き終わった後は、過去問だけを再度解いていきます。(過去問は、最低でも計3回は解くようにしましょう)
ただし、宅建試験は試験範囲が広いため、過去問だけをイチから解いていると最後まで解き終わる頃には最初の内容を忘れてしまいます。
このため私は、過去問だけを解いていきながら、それと平行して補助的にテキストも通読するようにしました。
具体的には、1日の勉強時間が2時間あるとすると、1時間は問題を解き、もう1時間はテキストを読む、という具合です。
この際は、過去問とテキストとは、できるだけ離れた範囲(異なる範囲)をするようにしました。
名付けて、「パラレル・ディスタンス勉強法」です。
過去問とテキストの平行学習(パラレル)、かつ、過去問とテキストの距離を離す(ディスタンス)という、私が編み出した勉強法です。大したことではありませんが、仰々しい言い方をして楽しんでいます(笑)
このパラレル・ディスタンス勉強法というのは、具体的には、例えば、学習範囲が1章から10章まであるとしたら、過去問の1章を解く日は、テキストの6章を読み、過去問の2章を解く日は、テキストの7章を読むという具合です。
こうすることによって、覚えた知識を忘れにくくなります。これを3周ぐらい回したと思います。
それと、最後の1ヶ月ぐらいは、テキストに掲載されていたゴロ合わせや重要事項をまとめた表などのコピーをとって、通勤途中に見るようにしていました。
模試を受験する(又は予想問題集を解く)
宅建試験を受験する場合は、独学の場合であっても、模試(模擬試験)は受験しておいた方がよいと言われることがあります。
模試を受験することで、自分の苦手分野・弱点を把握することができ、ここで把握した弱点を本試験に向けて集中的に補強していくことができるからです。
また、受験指導校が過去の出題傾向を分析したうえでの予想問題が出題されるため、その年の本試験に出題される可能性が高い問題を押さえることもできます。
そして、本試験と同じ時間・形式で行われるため、解答の時間配分やマークシートの解答形式、本試験での緊張感に慣れることなどの効果も期待できます。
模試にはこのように様々な効果がありますし、1回受験するだけなら数千円で受験できますので、時間が確保できる方は、できるだけ受けておくべきです。
模試としては、予備校が実施する模試を受験する方法と、それに代えて予想問題集(模試)を解く方法の2種類が考えられます。
私自身は、模試を受験するような時間的余裕がなかったため、「予想問題集」を解く方法で対応しました。
それぞれ、以下のページで紹介していますので、参考にしてください。
独学で合格するコツ・注意点
次は、私が独学で勉強する際に実践している勉強法のコツ・注意点をお伝えしたいと思います。
- わからなくても気にせず前に進むこと!
- 知識はテキストに集約する
- 問題集を解くことでテキストを記憶する
- テキストの確認した箇所に線を引く
- 科目別に優先度をつけてメリハリを
- 勉強のモチベーションをいかに維持するかがポイント
わからなくても気にせず前に進むこと!
独学の場合、通信講座や通学講座を受講する場合と違って、わからないことがあっても講師に質問することはできません。
このため、わからないことが出てきた場合は、自分で悩むか参考書を調べるか、ネットで検索するなど、自分で解決するしかありません。
ただし、ここで深入りをしてしまうと、さっぱり前に進まなくなってしまいますので、これが独学の大きな落とし穴になります。わからないから悩む、、そして、解決できずに投げ出す。。。
こうならないようにするためには、気にせず前に進むことです。とにかく進める!
悩み込んでしまってはいけません。
何度も繰り返すうちに、わかることが多くあります。テキストでわからなくても、問題集を解けばわかることもあります。一度解いてわからなくても、二度目に解いたらわかることもよくあります。
ですので、とにかく悩み込むんでしまうこと、これが一番ダメです。この点には、くれぐれも注意してください。
知識はテキストに集約する
上記の勉強法③のところで、「過去問を解く際に、テキストに書いてあった内容が頭に浮かばないときは、必ずテキストの該当部分を読み直すようにします。」と書きました。
宅建試験は、ほぼほぼ暗記試験です。知識として頭に入っているかどうか、試験問題を解く際に、その知識を思い出すことができるかどうか、が問われる試験です。
思い出すときは、必ずテキストを思い出すようにします。問題集の解説を思い出すわけではありません。
テキストと問題集に記憶が分散してしまうと、正確な知識にならずロスが出てしまいます。
また、問題集で覚えると、体系的な知識になりません。バラバラで継ぎはぎの知識にしかならないんです。
必ずテキストを思い出すことを徹底することで、知識がテキスト1ヶ所に集約され、体系的な知識にすることができます。
そうすることで、同じ論点でも異なる角度から問われるような問題や、少し応用的な問題にも対応できるようになるはずです。
問題集を解くことでテキストを記憶する
問題集を解くことは、テキストの知識を記憶に定着させるための手段です。
テキストを読むだけではなかなか知識を定着させることができませんが、記憶を何度も出し入れすることで、定着させることができます。
問題を解くことで、目の前にテキストがない状態で、テキストの内容を思い出す練習ができるわけです。
問題を解く際に、テキストの内容が頭に浮かんでこなければ、必ずテキストを読み返すことを徹底しましょう。
問題演習とは、思い出す訓練です。問題を解くことで、テキストを記憶するんです。
そして、その問題で直接問われている知識だけでなく、関連知識もすべて頭に浮かべられる状態にまで記憶していきます。(関連知識というのは、過去問の解説ページで整理されているような周辺知識のことです。)
これは、私にとって、暗記系資格の勉強における鉄則だと思っています。
テキストの確認した箇所に線を引く
曖昧な知識を確認するためにテキストを読み返したときは、そのポイントとなる箇所に鉛筆やマーカーなどで線を引くようにしましょう。
私は、宅建試験の勉強の際は、マーカーで線を引いていましたが、最近は(司法書士試験やFP試験)、鉛筆(シャープペン)だけで線を引くようになりました。
マーカーで引くと、引き間違いや引き過ぎなどの修正がしにくいことや、強弱の変化を付けにくいというのが理由です。
マーカーで色分けをすれば、意味合いに変化を持たせることもできますが、私はシャープペンで、下線のみ、四角く囲む、丸く囲むなど変化をつけています。
また、何度読んでも記憶に残っていないところは、そこを確認するたびにシャープペンで何重にも線を引いたり、グリグリ囲ったりしながら、頭に叩き込んでいくことができるので、私は鉛筆(シャープペン)で線を引く方が好きです。
科目別に優先度をつけてメリハリを
宅建試験の試験科目は、大きく分けて、宅建業法、権利関係、法令上の制限、税・その他の4つに分かれます。
この中で、最も重要なのが宅建業法で、次いで権利関係です。
宅建業法だけで、全出題数50問のうち20問が出題されます。そして、権利関係は14問です。
宅建業法(宅地建物取引業法)は、宅地や建物の取引に関するルールを定めた法律であり、重要事項説明や37条書面(契約書)など、宅建士になってからの実務において直接的に必要な法律です。
出題範囲が狭いわりに出題数が最も多いため、最重要科目として得点源にすべき科目です。
また、権利関係は、民法・借地借家法・区分所有法・不動産登記法から出題されますが、14問のうち10問が民法からの出題になっています。
民法は、他の法律系や不動産系の資格試験において必ずといっていいほど試験科目に含まれる科目であり、日常生活にも深く関わる分野ですが、出題範囲が広く、苦手とする受験生が多い試験科目です。
このため、いかに効率的に学習し、最低限の得点を稼げるかがポイントになります。
法令上の制限と税・その他は、それぞれ8問ずつの出題ですので、できるだけ時間をかけずにポイントを絞って学習するようにしましょう。
宅建試験は、全問正解を目指す必要はありません。例年、7割程度が合格ラインとされていますので、科目ごとにメリハリをつけて学習することが大切です。
勉強のモチベーションをいかに維持するかがポイント
モチベーションが下がったときに、どうやってモチベーションを上げればいいか、私自身の経験をもとに、挙げてみたいと思います。
- 友人や家族など周りの人に、宅建試験を受験することを公表する。
周りの人に言ってしまうと、不合格になると恥ずかしいという気持ちから、頑張ろうという気持ちになりますよね。 X(Twitter)で勉強アカウントをつくるのもいいですね。 - 勉強する場所を変える。
いつも同じ場所で勉強していると、だらけてしまいますが、そんな場合は、勉強する場所を変えるというのもいいかもしれません。喫茶店や図書館、コワーキングスペースなどで勉強してもいいですし、外に出るのが難しければ、家の中で、違う部屋に移動するだけでも気分転換になるのではないでしょうか。 - 何のために宅建試験の合格を目指しているのか思い返す。
そもそも何のために宅建の合格を目指しているのか思い返してみれば、またやる気もアップしてきます。 - 合格したら〇〇をする。といった計画を立てる。
合格したらご褒美で旅行に行くとか、ご馳走を食べに行くとか、色んな計画を立てるというのもいいですね。 - 1日に〇時間必ずやると決める。または、〇ページ必ず読むと決める。
具体的に数値目標がある方が、やる気が出ますよね。達成感も出ます。 - 根を詰めないで、余裕をもって。休憩を取りながら。
あまり根を詰めすぎると、精神的にも体力的にも持ちませんので、ほどほどに。 - 勉強の記録をつける。
今日は何ページ進んだ、何時間勉強した。という記録を毎日つけましょう。これをすると、達成感が出ます。逆に、今日はあまり進まなかった、、明日はがんばろう!という気持ちにもなります。 - 勉強が遅れてきたら、随時スケジュールを見直す。
スケジュールどおりに進まないから、もうダメだ、、間に合わない。。とすぐに諦めてはいけません。ここからが勝負どころです。ここで踏ん張れる人が合格するんです。スケジュールどおりできる人なんていません。妥協できるところは妥協して、最低限・最小限の勉強内容に絞り込んで、スケジュールを見直しましょう。
独学で宅建に挑戦する場合、実は、勉強を続けるモチベーションを維持することが一番大変です。
宅建試験に合格できるかどうかは、このモチベーションを維持できるかどうか、にかかっているといっても過言ではないと思います。
つまり、最初に立てたスケジュールどおりに勉強できれば、きっと誰でも合格できると思うんです。
しかし、スケジュールどおりに勉強ができる人なんて、ほとんどいないと思います。私もそうです。
私の場合は、スケジュールを崩しながらも、なんとかスケジュールの修正を繰り返し、ぎりぎりのラインで最後の仕上げまで持っていってゴールを迎えるというパターンが多いです。
とにかく、最低限、テキスト1周+問題集2~3周は回せるように、試験当日まで勉強を続けないといけません。
勉強スケジュールの組み方
それでは実際に、私がおすすめする勉強法に沿って具体的に勉強スケジュールを組んでみたいと思います。
- テキストを通読する 【60時間】
- 章ごとにテキストを読み、対応する問題集を解く【110時間】
- 問題集のみを解いていく【100~150時間】
テキストを通読する時間(1周60時間)
まず、宅建の基本テキストは、600ページ前後のものが主流ですので、600ページとしておきます。
そして、1時間に10ページ読むとすると、1冊を通読するのに60時間かかることになります。
問題集を解く時間(1周50時間)
次に、問題集です。問題集の収録問題数は、四肢択一式で300問程度のものが主流ですので(多いものは600問ありますが)、300問としておきます。
そして、1時間に6問(1問10分)解くとすると(解説を読む時間も含みます)、全問を解き終わるのに50時間かかることになります。
具体的なスケジュール例(合計300時間)
- テキスト1冊を読む ⇒ 60時間
- 問題集1冊を解く ⇒ 50時間
以上を前提に、どれぐらいの勉強時間になるのかスケジュールを組んでみると、次のようになります。
勉強内容 | 勉強時間 |
---|---|
(1) テキストを通読する | 60時間 |
(2) 章ごとにテキストを読み、そこに対応する問題集を解く | 60時間+50時間 = 110時間 |
(3) 問題集のみを解いていく | 50時間×2~3回 = 100~150時間 |
合計 | 270~320時間 |
以上のようなスケジュールになり、概ね300時間の勉強時間になってきますね。
スケジュールは柔軟に見直しを
上記はあくまでも、ひとつの例ですので、実際にこれと同じようにスケジュールが進むわけではありませんが、参考にしていただければと思います。
実際の勉強スケジュールの組み方としては、まずは大まかなスケジュールを立てたあと、ひとまず勉強を始めてみて、自分が1時間で何ページぐらい読めるのか、そして1時間に何問ぐらい解けるのかを確認しながら進めていきます。
その後、そのペースに基づいて、随時スケジュールを見直していく、というスケジュールの組み方をするのが良いかと思います。
スケジュールに余裕があることがわかれば、過去問を解く回数を増やしたり、四肢択一の過去問のほか、肢別過去問集を採り入れることなども検討すればいいと思います。
逆に、スケジュールが間に合わないことがわかれば、過去問を解く回数を(科目に応じて)減らすことや、そもそも使う過去問を、収録問題数が少ない厳選された過去問集に変更することなどを検討しながら、柔軟にスケジュールを見直していけばいいかと思います。
- おおまかなスケジュールを立てる。
- 勉強を進めながら、1時間で何ページ読めるのか、何問解けるのかを確認する。
- 柔軟にスケジュールを見直す。
⇒余裕があるなら、過去問を解く回数を増やしたり、別の過去問集を採り入れることなどを検討
⇒間に合わないなら、解く回数を減らしたり、厳選問題集に変更することなどを検討
宅建の勉強時間と独学勉強法まとめ
以上、独学で宅建に合格するための勉強法や勉強時間について紹介してきました。
最後に、ここまでの内容をまとめておきます。
- 合格に必要な知識は市販教材にすべて載っている
- ただし、独学には乗り越えなけらばならない壁がある
- しかし、正しい勉強法で勉強すれば独学でも合格できる!
- 必要な勉強時間の目安は300時間
- 要する勉強期間は6ヶ月前後 (3ヶ月~10ヶ月程度)
- 短期集中の方が勉強効率は上がる
- 勉強時間は、夜以外にも工夫すれば作り出せる(早起きする、スキマ時間など)
- 最低限、基本テキストと分野別過去問題集が一冊ずつあれば合格できる
- おすすめの勉強法は、テキストを通読→テキストを章ごとに読み直しながら対応する過去問を解く→問題集だけを再度解く(3周) →模試(又は予想問題集)を解く
- 問題集を解くことでテキストの記憶をする。テキストを確認した際には線を引く。
- 独学では、悩み込むんでしまうことが一番ダメ。とにかく前に進むこと。
- モチベーションの維持が一番大変なため、維持するための工夫が必要
独学は、確かに通信講座や通学講座を受講する場合に比べ、デメリットも多くありますが、多くの方が独学でも合格しているという事実もあります。
私自身も、まったく法律の勉強などしたことのない初心者でしたが、半年間の独学で合格することができました。
このページでは独学特有のデメリットをできるだけ払拭できるような勉強法について記載してきたつもりですので、この記事を参考に、宅建試験に独学でチャレンジし、見事に合格を勝ち取ってください!
独学にかかった費用
ちなみに、私が宅建試験対策に要した費用は、テキスト・問題集の購入費用として、16,200円でした。
これは、独学ならではのお安さです!
このほかに、宅建試験の受験手数料として、8,200円がかかります。
私が実際に購入したテキスト等の教材は以下のとおりです。
【テキスト 1冊】
- 宅建学院「らくらく宅建塾」
⇒ メインのテキストとして、この1冊のみを使用しました。
【問題集 3冊】
- 宅建学院「宅建士問題集 過去問宅建塾〔1〕〔2〕〔3〕」
⇒ メインの問題集として、このシリーズのみを使用しました。
【その他参考書 1冊】
- 宅建学院「ズバ予想宅建塾直前模試編」
⇒ 直前期に、模試を解いて力試しをしたり、法改正や出題予想ポイントなど情報収集に使用しました。
独学による受験結果
私が半年間の独学で宅建試験を受験した結果は次のとおりです。
平成16年度合格 : 50点満点中、42点 (合格ラインは32点)
下の写真が、宅建試験の合格証書です。財団法人 不動産適正取引推進機構 理事長の名で発行されています。(当時は「宅地建物取引士」ではなく、「宅地建物取引主任者」でした)
遅ればせながら、宅建試験の合格から17年が経過した令和3年に、ようやく宅建の資格登録をしました。
独学が不安な方は通信講座もおすすめ
なお、独学が不安な方や、短期合格を目指したい方には、通信講座もおすすめです。
下記の記事では、宅建のおすすめ通信講座を徹底的に比較してランキング形式で紹介しています。費用の安さや合格率の高さ、サポートの充実度など項目別のおすすめ講座も紹介していますので、参考にしてください。