宅建士とは?仕事内容や独占業務を解説!
宅建士は非常に人気のある資格ですが、実際のところ、宅建士とはどんな仕事をする資格なのでしょうか。
このページでは、宅建士の資格の概要や仕事内容、3つの独占業務、そして他の関連資格との違いについて、ご紹介したいと思います。
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宅建士とは?
宅建士とは、正式には『宅地建物取引士』といい、土地・建物に関する専門知識を持った不動産取引のプロフェッショナルです。
また、宅建業者の事務所ごとに、従業員5人に1人以上の割合で設置することが義務付けられており、宅建士にしかできない3つの独占業務があるため、不動産取引において宅建士はとても重要な役割を担っています。
- 正式名称は、「宅地建物取引士」 ⇒略して宅建士(又は宅建)
- 土地・建物に関する専門知識を持った不動産取引のプロフェッショナル
- 宅建業者の事務所ごとに、従業員5人に1人以上の割合で設置
- 3つの独占業務がある【①重要事項の説明、②重要事項説明書への記名、③契約書(37条書面)への記名】
- 宅建士とは試験合格+資格登録+宅建士証の交付を受けた人
- 法改正により宅建主任者から宅建士へ
- 宅建士は不動産資格の筆頭資格/法律資格の登竜門
正式名称は『宅地建物取引士』
宅建(又は宅建士)とは、正式には『宅地建物取引士』といいます。
この宅建士は、土地や建物に関する専門的な知識を持った不動産取引のプロフェッショナルとして、土地や建物の売買又は貸借といった不動産取引を安全・円滑に実現することを業務としています。
宅建業者への設置が義務付けられている
宅建士は、法律の規定により、宅地建物取引業者(宅建業者。いわゆる不動産屋さんですね。)の事務所ごとに、従業員5人に1人以上の割合で設置することが義務付けられています。
なお、この宅建士は、専任(常勤・専従)の宅建士でなければなりません。
宅建士には3つの独占業務がある
また、不動産取引の際に、宅建士にしかできない3つの独占業務【①重要事項の説明、②重要事項説明書への記名、③契約書(37条書面)への記名】があるため、不動産取引において宅建士はとても重要な役割を担っています。
この宅建士の独占業務については、次の項「宅建士の3つの独占業務」で解説します。
試験合格+資格登録+宅建士証の交付を受けた人
宅建士とは、宅建試験に合格するだけでなく、実務経験の有無や合格からの期間に応じて登録実務講習や法定講習を受講したうえで、宅建士として都道府県知事に資格登録し、宅建士証(宅地建物取引士証)の交付を受けた人のことをいいます。
つまり、宅建試験に合格しただけでは、「宅建士」とは言えないということですね。
下記の関連記事では、これらの手続についてご紹介します。
法改正により宅建から宅建士へ
現在、「宅建」と「宅建士」という二つの言葉が存在していますが、これは平成27年4月の法改正により、「宅地建物取引主任者」が「宅地建物取引士」に変更されたことによるものです。
この法改正により宅建が士業の仲間入りを果たしたことで、「宅建」という言葉はすべて「宅建士」に置き換わるのかと思いましたが、長年の名残で、「宅建」も「宅建士」もどちらの言葉も併存し続ける状況になっています。
現在では、すべて「宅建士」で統一するか、又は、微妙なニュアンスの違いから、宅建の試験や宅建の資格を指す場合に「宅建」と呼び、宅建の資格を持っている人や士業としての宅建士を指す場合に「宅建士」と呼ぶような使い分けになっているイメージですね。
宅建士は不動産資格の筆頭資格/法律資格の登竜門
宅建士は、不動産業に関連する4大資格において最も人気のある筆頭資格です。
その難易度は、①マンション管理士(合格率約8%) ②宅建士(合格率約15%) ③管理業務主任者(合格率約20%) ④賃貸不動産経営管理士(合格率約30%)の順になっていますが、これらの不動産系資格の中では、まず宅建から始めるとよいと言われています。
また、宅建士の資格は、他の様々な法律系資格の試験科目に含まれる「民法」という重要な科目を学習しますので、法律系資格の登竜門として扱われており、宅建の資格を取得してから、行政書士や司法書士などの法律系資格にステップアップして挑戦する方も多くいらっしゃいます。
まさに私もその一人で、最初に宅建の資格を取ってから、行政書士→管理業務主任者→マンション管理士→賃貸不動産経営管理士→司法書士、と順に挑戦していきました。
宅建士の仕事内容は?3つの独占業務
それでは、宅建士の独占業務について具体的に説明したいと思います。
宅建士の独占業務は、以下の3つの業務となります。
- 重要事項の説明
- 重要事項説明書への記名
- 契約書(37条書面)への記名
重要事項の説明
不動産の取引は高額なものとなりますので、トラブルを未然に防止するため、宅建業者は、不動産の購入や賃貸の契約前に、物件に関する重要事項について、宅建士から買主(借主)に必ず説明させなければならないこととされています。
この「重要事項」というのは、所在地、売主(貸主)、土地・建物の用途やその制限、電気・ガス・水道の整備状況など、不動産を取引するうえで、買主(借主)が正しい判断をするための材料となる重要な事項をいいます。
例えば、家を建てるために土地を購入する場合に、法令上の制限で建物が建てられなかったら意味がありませんよね。購入した後に気づいたのでは遅いですから、後でトラブルにならないように、必ず契約を締結する前に、重要事項を説明することが義務付けられています。
この重要事項説明という重大な任務を任されているのが、宅地建物取引士(宅建士)というわけです。
重要事項説明書への記名
重要事項を説明する際は、その重要事項を記載した書面「重要事項説明書」を交付して説明を行う必要があり、この重要事項説明書について、宅建士が、不動産取引のプロフェッショナルとして、誤りがないか責任をもって確認した上で、記名を行うこととされています。
契約書(37条書面)への記名
宅建士が重要事項説明書に基づき重要事項を説明し、買主(借主)が納得した後、契約を締結する際に、宅建士が責任を持って、契約書の記載内容に間違いがないかどうか確認をして、記名することとされています。
以上が、宅建士が独占的に行うことができる3つの業務です。
仕事内容を不動産業4大資格で比較
不動産業に関連する4大資格として、宅建士のほか、管理業務主任者、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士があります。
これら4つの資格は密接に関連しているため、それぞれのどこがどう違うのか、わかりにくいかと思います。
仕事内容の比較表
そこで、簡単に表で整理してみましたので、正確ではない表現もありますが、参考にしていただければと思います。
不動産業関連 4大資格 |
主な仕事内容 |
---|---|
宅建士 |
不動産(土地・建物)の取引(売買・交換・貸借)の代理・媒介業務 <3つの独占業務> ・重要事項の説明 ・重要事項説明書への記名 ・契約書(37条書面)への記名 |
管理業務主任者 |
分譲マンションの管理業務 <4つの独占業務> ・管理受託契約に関する重要事項説明 ・管理受託契約に関する重要事項説明書への記名 ・管理受託契約書への記名 ・管理事務に関する報告 |
マンション管理士 |
分譲マンションの管理に関する指導、アドバイス、コンサルティング等の業務 <独占業務なし> |
賃貸不動産経営管理士 |
賃貸マンションの管理業務 <業務管理者としての業務> 以下の事務の管理・監督 ①管理受託契約に関する重要事項説明と書面の交付 ②管理受託契約書の交付 ③その他6項目 |
以上のように、簡単に表にまとめてみましたが、違いがわかりにくいのは、「管理業務主任者」、「マンション管理士」、「賃貸不動産経営管理士」の3つの資格ではないでしょうか。
業務対象の違いがポイント
まず、この3つの資格を区別する大きなポイントは、業務の対象が「分譲マンション」なのか「賃貸マンション」なのかというところです。
「管理業務主任者」と「マンション管理士」は、「分譲マンション」を業務の対象とするのに対し、「賃貸不動産経営管理士」は、「賃貸マンション」を業務の対象としています。
ちなみに、宅建士は、分譲マンションも賃貸マンションも、どちらも業務対象となります。
- 管理業務主任者・マンション管理士 ⇒ 分譲マンション
- 賃貸不動産経営管理士 ⇒ 賃貸マンション
- 宅建士 ⇒ 分譲マンション・賃貸マンション
新築マンションを例に、4つの資格の仕事内容を確認
では、マンション(分譲・賃貸)を例にとって、4つの資格の仕事内容を確認してみたいと思います。
入居者の募集
まず、新築マンションが建った場合、分譲マンションであれ賃貸マンションであれ、入居者の募集をする場面は、宅建士の仕事内容となります。
分譲マンションであれば、「売買」という不動産取引の代理・媒介業務になりますし、賃貸マンションであれば、「賃貸」という不動産取引の代理・媒介業務になります。
マンションの管理
次に、マンションを管理する場面(管理受託契約の締結)を考えた場合、分譲マンションの管理であれば、管理業務主任者の仕事内容になりますし、賃貸マンションの管理なら、賃貸不動産経営管理士の仕事内容となります。
マンション管理組合の運営など
そして、分譲マンションの場合は、通常の管理事務に加えて、区分所有者全員で構成されたマンション管理組合の運営の問題や、大規模修繕や建替えなど区分所有者同士の合意形成を図りながら計画的に工事の施工を進めていかなければならないといった問題などが発生しますので、このような難しい問題を解決するためにマンション管理士が登場するというわけです。
マンションの転売や転居
その後、さらに分譲マンションを転売したり、新たな入居者と契約を締結したりする際には、宅建士が再び登場するというような形で、これら4つの資格は密接に関連しているということが、おわかりいただけるかと思います。
宅建士の活躍の場
不動産会社(宅建業者)
宅建士は、不動産会社(宅建業者)が主な活躍の場であることは言うまでもありませんね。
宅建業者に勤めるのが最も一般的な形態ですが、自ら不動産会社を立ち上げる道もあります。
その他にも、建築会社、金融機関、不動産管理会社のような業界においても活躍の場が広がっています。
- 公務員にも、宅建士の資格は役に立ちます。詳しくはこちら⇒公務員が宅建士を取得するとこんなに役立ちました!【体験談】
建築会社
自社で建築した物件を販売する際に宅建の資格が必要となるため、建築会社においても宅建士の資格が必要とされています。
金融機関
銀行などの金融機関では、不動産の担保価値を評価して融資する機会が多いため、宅建士の知識が有効とされています。
また、都市銀行の多くはグループ会社に不動産販売会社を有しているため、宅建士の資格が重視されています。
不動産管理会社
不動産管理会社では、不動産分譲の仲介を行い、管理までも自社で行う会社が多くなっているため、宅建の資格は有益とされています。
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