宅建合格後の流れは?登録から宅建士証の交付まで徹底解説!
宅建試験に合格した後、宅建士になるには、つまり、宅建士として業務を行うためには、都道府県知事の登録(資格登録)を受け、かつ、当該知事の発行する宅地建物取引士証(宅建士証)の交付を受ける必要があります。
この宅建合格後の手続の流れが案外ややこしいため、このページでは、宅建の資格登録から宅建士証の交付手続の詳細について解説したいと思います。
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宅建合格後の流れは?
では、宅建試験に合格後、宅建士になるための手続について、解説していきます。
宅建士になるには3つのステップが必要
宅建士になるには、①宅建試験の合格 ⇒ ②資格登録 ⇒ ③宅建士証の交付の3つのステップが必要になります。
そして、②の資格登録を受けるためには、宅建業の実務経験が2年以上あるか、又は、国が実施する登録実務講習を受講すること、そして、登録の欠格要件に該当していないことが要件とされています。
また、③の宅建士証の交付を受けるためには、宅建試験の合格後1年を超えている場合は、法定講習の受講が必要となります。
- 宅建試験に合格
- 都道府県知事の登録(資格登録)
- 宅建業の実務経験が2年以上ない場合は、国が実施する登録実務講習の受講が必要
- 登録の欠格要件に該当していないこと
- 宅地建物取引士証の交付
- 宅建試験合格後1年を超えている場合は、法定講習の受講が必要
登録の要件
それでは、宅建試験に合格した後、宅建士として登録を受けるための要件について、もう少し詳しく見ていきたいと思います。
宅建士として都道府県知事の登録を受けるための要件は、以下の3つです。
- 宅建試験に合格すること
- 過去10年以内に、宅地又は建物の取引に関し実務経験が2年以上あるか、又は、国が実施する登録実務講習を修了すること
- 欠格事由に該当していないこと
(1)宅建試験に合格すること
宅建士として登録するには、まず、年に1回実施される宅建試験に合格する必要があります。
(2-1)2年以上の実務経験があること
次の要件「2年以上の実務経験があること」というのは、以下のことをいいます。
宅地建物取引業者における実務経験
宅地又は建物の取引に関する2年以上の実務経験というのは、宅建業者に勤務し、顧客への説明や物件の調査など、具体的な宅地建物の取引に関する業務が該当します。
この業務からは、一般管理業務は除かれていますので、仮に宅建業者に勤務していたとしても、受付、秘書、総務、人事、経理、財務のような一般管理業務は実務経験には該当しません。
また、実務を行なっている勤務先の従業者名簿に記載されている必要もあります。
なお、この2年以上の実務経験は、登録申請時の過去10年以内であることが必要です。
国、地方公共団体等における実務経験
また、国、地方公共団体等において、宅地又は建物の取得又は処分の業務に2年以上従事した方も、この実務経験を満たします。
(2-2)2年以上の実務経験がない場合は、登録実務講習を修了すること
そして、2年以上の実務経験がない場合は、国が実施する「登録実務講習」を受講し、修了することで、「2年以上の実務経験を有する者と同等以上の能力を有する者」と認められ、宅建士として登録することができます。
この登録実務講習というのは、LEC、TAC、日建学院など、国土交通大臣の登録を受けた登録実務講習実施機関で受講することができます。(登録実務講習実施機関一覧(国交省ホームページ))
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登録実務講習では、まずはじめに「通信講座」の教材が送られてきますので、テキストを読んだり、問題を解くなど、約1か月程度の自己学習に取り組みます。
この通信講座の終了後、2日間のスクーリング(講師による講義)がありますので、会場で物件調査の方法や重要事項説明書・契約書の作成方法などについて学習します。
そして、2日目に実施される修了試験で80%以上を正解すれば合格となり、修了証が交付されます。
登録実務講習の受講料は、おおむね2万円程度のところが多いです。(LEC、TAC、日建学院は、いずれも税込21,000~22,000円程度で実施)
なお、登録実務講習の修了についても、申請時点で過去10年以内であることが必要です。
(3)欠格事由に該当していないこと
宅建試験に合格し、2年以上の実務経験がある又は登録実務講習を修了したとしても、欠格事由に該当する場合は、宅建士として登録を受けることができません。
欠格事由というのは、詳しく書くとかなりのボリュームになってしまいますので、概要のみ以下に記載しておきます。
- 宅建業の営業に関し、成年者と同一の行為能力を有しない未成年者
- 破産者で復権を得ない者
- 一定の理由で宅建業の免許取消処分を受けた者
- 一定の理由で宅建業の登録消除処分を受けた者
- 事務禁止処分中に自らの申請で登録が消除された者
- 一定の刑罰に処せられた者
- 暴力団員等
- 心身の故障により宅建士の事務を適正に行うことができない者
なお、欠格事由の詳細は、宅地建物取引業法第18条に記載があります。
登録の方法
次は、 宅建士の登録をする方法について、解説していきます。
- 都道府県知事に登録を申請する。
- 1~2ヶ月で登録通知ハガキが届く。
登録の申請方法
宅建士の登録は、都道府県知事に対して申請します。
実際の申請窓口は、県庁の場合や、県民局などの出先機関の場合、宅建業協会の場合など様々ですので、登録先の都道府県のホームページなどでご確認ください。
登録の申請に必要な書類等は、下記のとおりです。
- 登録申請書
- 顔写真(6ヶ月以内に撮影した縦3cm×横2.4cmのカラー写真)
- 登録手数料(37,000円)
- 誓約書(欠格事由に該当しない旨の誓約書)
- 住民票の写し(発行日から3ヶ月以内のもの)
- 身分証明書(発行日から3ヶ月以内のもの)
※ 成年被後見人・被保佐人でないこと(禁治産者・準禁治産者でないことを含む)及び破産者でないことの証明書です。運転免許証などのことではありません。戸籍謄本の発行と同様に本籍地の市区町村で発行されます。 - 登記されていないことの証明書(発行日から3ヶ月以内のもの)
※ 「成年被後見人、被保佐人とする記録がないこと」の証明書です。東京法務局か全国の地方法務局で発行されます。各支局では発行できませんので注意が必要です。なお、郵送でも請求できますので、郵送の場合は東京法務局に請求します。⇒東京法務局(登記されていないことの証明申請について) - 実務経験証明書又は登録実務講習修了証明書
- 宅建試験の合格証書(原本及びコピー。原本照合後、原本は返却)
私が居住している兵庫県加古川市では、東播磨県民局の加古川土木事務所が受付窓口になっており、そこの窓口に必要書類を持参し、申請を受け付けてもらいました。
登録の通知
登録申請が受付されると、1~2ヶ月程度で登録が完了します。
登録が完了すると、登録年月日・登録番号が、登録通知ハガキにより通知されます。(私の場合は、約3週間で届きました。)
宅建士証(宅地建物取引士証)の交付手続
宅建士になるためには、都道府県知事の登録を受けたあと、次は、当該知事から宅地建物取引士証(宅建士証)の交付を受ける必要があります。
- (合格後1年以内の場合)都道府県知事に交付申請すれば交付が受けられる。
- (合格後1年を超えている場合)法定講習の受講申込と併せて交付申請を行い、法定講習の受講後に交付が受けられる。
宅建試験の合格後1年以内の場合
宅建試験の合格後1年以内の場合は、宅建士の資格登録を受けた都道府県知事に対し、宅地建物取引士証の交付を申請すれば、交付を受けることができます。
申請の際に必要な書類等は以下のとおりです。
- 宅地建物取引士証交付申請書(正・副1部)
- 顔写真(6ヶ月以内に撮影した縦3cm×横2.4cmのカラー写真)
- 登録通知ハガキ
- 交付手数料(4,500円)
宅建試験の合格後1年を超えている場合
宅建試験の合格後1年を超えている場合は、宅地建物取引士証の交付を受けるために、知事が指定した法定講習の受講が必要となります。
法定講習は、宅建士証の5年ごとの更新の際に受講するものと同一の講習で、宅地建物取引業協会や全日本不動産協会などで実施していますので、申請先の都道府県にお問い合わせのうえ、申し込むようにしてください。
法定講習
私が住んでいる兵庫県では、兵庫県宅地建物取引業協会の取引士講習センターが法定講習を実施しています。
5年ごとの講習の対象者には案内の通知が届きますが、新規登録のために法定講習を受講する場合は、各自で申込書を入手する必要があります。
私は、宅建業協会のホームページを確認し、郵送で申込書を取り寄せました。
法定講習の申込みと取引士証の交付申請の必要書類は下記のとおりです。
- 法定講習受講申込書
- 宅地建物取引士証交付申請書
- 顔写真(縦3cm×横2.4cmのカラー写真)3枚
- 16,500円(受講料12,000円+交付手数料4,500円)
- 運転免許証などの本人確認書類(コピー可)
- 登録通知ハガキ(郵送の場合は不要)
法定講習は、朝9:35から夕方16:50まで、みっちりと講義を受講しました。
講習内容は、1.税制 2.宅地建物取引士の使命と役割及びケーススタディ 3.紛争事例と関係法令(都市計画法・建築基準法等) 4.紛争事例と関係法令(民法・宅地建物取引業法等)という内容でした。
そして、法定講習が終わった最後に、宅建士証の交付を受けることができました。
宅建合格・資格登録・宅建士証の有効期限は?
最後に、宅建試験の合格、宅建士の資格登録、宅建士証のそれぞれについて、その有効期限をご紹介しておきます。
宅建合格後、放置していても問題なし
このページでは、宅建士として登録することを前提に解説してきましたが、実際のところ、宅建試験に合格しても、登録する人の方が少ないのではないでしょうか。
ここで気になるのが、合格後に登録手続をとらず、放置していても大丈夫なの?という点ですね。
「宅建試験の合格」は、一生有効です。
ですので、宅建試験に合格後、登録せずに放置していても全く問題ありません。
私自身も、宅建試験に合格してから何もせず放置し、合格から17年後に登録手続をとり、無事に登録できました。(2004年合格→2021年登録)
宅建士の資格登録も一生有効
ついでに言うと、「宅建士の資格登録」も一生有効です。
登録まで済ませて、宅地建物取引士証の交付を受けずに放置していても問題ありません。
宅建士証の有効期間は5年
しかし、「宅地建物取引士証」は、有効期間が5年になっています。
宅建士として業務を続けるためには5年ごとに更新手続き(法定講習の受講)が必要となりますので、注意が必要です。
- 宅建試験の合格 ⇒ 一生有効
- 宅建士の資格登録 ⇒ 一生有効
- 宅地建物取引士証 ⇒ 5年ごとに更新が必要
ちなみに、宅建試験に合格した段階では、「私は宅建試験の合格者です。」としか名乗れません。
登録をした段階でも、「私は宅建士の資格登録者です。」としか名乗れません。
そして、宅建士証の交付を受けた段階で初めて「私は宅建士です。」と名乗れるようになります。
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