更新日:2023年10月28日
行政書士試験の勉強に、六法は必要なの?必要だとしたらどんな六法を使えばいいの?など、疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで、このページでは、行政書士試験・司法書士試験の合格者である管理人が、六法の必要性や六法の選び方、そして、おすすめの六法についてご紹介したいと思いますので、ぜひ参考にしてください。
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行政書士試験に六法は不要?
行政書士の試験勉強に、六法は不要なのでしょうか?
確かに、合格に必要な知識はテキストに載っていますので、六法を使わずに勉強しようと思えば不可能ではありません。
しかし、そもそも行政書士という資格は、「街の法律家」として活躍が期待される士業ですので、法律をテキストで学ぶだけでなく、やはり六法を引き、条文に慣れ親しんでおくことは必須であると思います。
試験に通ったはいいけれど、条文を読んだこともないし、六法も引けないような法律家になりたくないですよね??
それに、行政法など科目によっては条文から直接勉強した方が理解が早い科目もありますので、行政書士の試験勉強には、必ず六法を使うことをお勧めします。
- ”街の法律家”として活躍するために、条文に慣れ親しんでおくことは必須
- 条文から直接勉強した方が理解が早い科目(行政法など)もある
六法の選び方
では、行政書士の受験勉強では、どんな六法を使えばいいのでしょうか。
六法の種類
一般的な六法としては、デイリー六法(三省堂)やポケット六法(有斐閣)、判例六法(有斐閣)などのコンパクトな六法があります。
さらに言えば、模範六法(三省堂)や判例六法Professional(有斐閣)といった、いわゆる六法全書をイメージするような大きいサイズの六法もあります。
また、そのような一般的な六法とは別に、特に行政書士試験用に編集された六法も出版されています。
この行政書士試験用の六法の中でも、判例の収録があるものと、判例がないものとに分かれます。
六法の種類 | 六法の具体例 | |
---|---|---|
一般的な六法 | コンパクト |
|
大きいサイズ |
|
|
行政書士試験用の六法 | 判例あり |
|
判例なし |
|
一般的な六法は無駄が多い
一般的な六法の中では、行政書士試験で使うとすれば、デイリー六法かポケット六法あたりまでで十分だと思います。
それ以上のものは、あまりにも余計な法令が多すぎて、邪魔になるだけですので。
そもそも、デイリー六法やポケット六法にしても、収録されている法令は、行政書士試験には全く関係のない法令がほとんどです。
行政書士試験用の六法では、収録法令数は30件前後ですが、デイリー六法やポケット六法は、200件以上の法令が収録されています。つまり大部分は、無関係で使わない法令ということです。
これって無駄が多すぎますよね??しかも、文字が小さくて、読みづらいです。
※ デイリー六法、ポケット六法を含め、市販の六法を網羅的に比較したページはこちら⇒司法書士のおすすめ六法
行政書士試験用の六法はコンパクト
一方、行政書士試験用に編集された六法は、まさに行政書士試験のための六法ですので、無駄な法令は含まれずコンパクトです。しかも、文字も大きくて読みやすいです。
ですので、行政書士の受験勉強には、行政書士試験用の六法が使いやすくておススメですね。
判例ありor判例なしのどちらを選ぶか
なお、行政書士試験用の六法としては、「判例が収録されているタイプ」と、「判例が収録されていないタイプ」の2種類があります。
「判例収録あり」の六法は、判例の調べものをする際に便利ですが、逆に、条文を引く際には、やや手間取ることや、本が分厚くて持ち運びに不便というデメリットがあります。
逆に、「判例収録なし」は、判例はもちろん調べられませんが、条文を引く際にスピーディーに引くことができますし、コンパクトで持ち運びに便利というメリットがあります。
最近は、テキストの別冊付録として判例収録のないコンパクトな六法が付属するようになってきました。
例えば、伊藤塾の「うかる!行政書士 総合テキスト」やLECの「行政書士 合格のトリセツ 基本テキスト」、早稲田経営出版の「合格革命 行政書士 基本テキスト」など、メジャーなテキストには全て六法が付属しています。
とはいえ、このようなテキスト附属の六法は、収録法令が少ないというデメリットがありますので、その点には注意が必要です。
私自身も、行政書士の受験勉強では、条文しか掲載されていないタイプの六法をメインに使用していましたので、最低限、「判例収録なし」のものがあれば、試験対策としては足りると思います。(一応、判例収録ありの六法も持っていましたが、ほとんど使いませんでした。)
※ そもそもデイリー六法やポケット六法には判例は収録されていません。
一般的な六法 | 行政書士試験用の六法 |
---|---|
|
|
ということで、現在出版されている行政書士試験用の六法について、「判例収録なし」と「判例収録あり」の2種類について、それぞれおすすめの六法をご紹介していきたいと思います。
判例なし六法おすすめ4選
まずは、行政書士試験用の「判例収録なし」のコンパクトな六法からご紹介していきます。
No.1:ケータイ行政書士 ミニマム六法(三省堂)
判例の収録がない六法として、三省堂から「ケータイ行政書士 ミニマム六法」が出版されています。
この六法は、判例の収録はなく、条文のみが掲載されたとてもコンパクトな六法になっています。
「判例収録あり」の六法はいずれもA5サイズで厚みが4cm程度ありますが、こちらのケータイ六法は、B6サイズ(よりも若干小さい)で厚みも2cm程度しかありません。
そして、別冊付録では収録し切れていない法令も載っており、行政書士試験で必要な法令が網羅されています。
※ ただし、コンパクトさを実現するために、収録条文はミニマムにセレクトされています。つまり、収録法令には含まれていても、重要条文以外は大胆にカットされているということです。
印刷は2色刷り(青系)で、各条の見出しと、条文内の重要なキーワードが青く着色されていますので、読みやすいですね。
また、もうひとつ特徴的なのが、条文の「カッコ書き」をすべてカットして、欄外(各ページの最下部)に注釈として記載していることです。こうすることで、読みにくい条文もスムーズに読むことができますね。
さらに、過去の行政書士試験での出題履歴も、出題年度を「H〇」といった形で表示することで、把握できるようになっています。
レイアウトも、横書き2段組みが採用されています。
個人的には、横書きの六法は、2段組みが圧倒的に読みやすいと感じますので、この六法は使いやすいと思います。
コンパクトな六法としては、かなり完成度の高い六法だと思います。さすが、「三省堂」ですね!
ただ1点、ページの端の「第〇条」のインデックスがないということだけは、残念でなりませんが。。
ですが、条文だけ引けるようなコンパクトな六法が必要な場合は、この「ケータイ行政書士 ミニマム六法」を購入して間違いないと思います。
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ケータイ行政書士 ミニマム六法 2024![]() 著者: 竹井 弘二 (編集) 出版社: 三省堂 発売日: 2023/10/23 ページ数: 328ページ サイズ: 11.8 x 1.8 x 18.9 cm 価格: 1,760円 |
No.2:行政書士合格六法(三省堂)
次は、2023年版から新たに発刊された「行政書士合格六法」です。
まずは、ケータイ六法との共通点から見ていきたいと思います。
こちらの合格六法も、三省堂からの出版で、監修者も同じくLECの植松講師です。判例の収録はなく、条文のみが掲載されています。
印刷も2色刷り(青系)で、各条の見出しと、条番号が青く着色されていますので、読みやすいですね。(ケータイ六法は、各条の見出しと重要キーワードが青字)
また、「カッコ書き」を読みやすくする工夫が施されてる点も同じですが、ケータイ六法は、カッコ書きをカットして欄外に記載していましたが、こちらの合格六法は、カッコ書きはそのままの位置で、網掛けにすることで読み飛ばせるようにしてあります。
ケータイ六法と合格六法の違い
では、ケータイ六法と合格六法の違いについて触れていきます。
ケータイ六法は、横書き二段組でしたが、合格六法は縦書き二段組になっており、本格的な六法といった雰囲気ですね。
そして、ケータイ六法にはなかった、各ページ上部の第〇条〜第〇条のインデックスが記載されています。
(左から、@行政書士試験六法 A行政書士受験必携六法 B行政書士合格六法 Cケータイ六法)
サイズは、ケータイ六法よりも大きいA5サイズで、「判例あり六法」と同じですが、厚みに関しては、上記の比較写真のとおり、「判例あり六法」の半分〜3分の2ぐらいの厚みになっています。
あとは、各ページに「Note」というメモ欄が設けてありますので、メモ書きがしやすくなっています。
ケータイ六法 | 行政書士合格六法 |
---|---|
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【共通点】
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ケータイ六法と合格六法の使い分け
ということで、合格六法もなかなか使い勝手の良さそうな六法ですが、使い分けをどうするかですね。。
私としては、条文を引くための普段使いの六法としては、ケータイ六法をおすすめしたいです。やはりコンパクトで、いつでも手に取って片手でページを開いて参照できるというのがメリットですよね。
ただし、ケータイ六法には省略されている条文があるというデメリットがありますので、省略されている条文を参照するために、そして、判例を参照するために、「判例あり」の六法をもう1冊購入する、という形に、私だったらするかなと思います。
もし、条文を引くために「合格六法」を使い、判例のために「判例あり六法」を使うとしたら、どちらもゴツい六法になってしまいますからね。。
ですので、もし「判例あり六法」を購入する予定がない方であれば、条文を省略せずにしっかりと掲載してくれている「合格六法」の方がいいかもしれませんね。
とはいえ、ケータイ六法は、重要ではない条文を省略しているわけですから、敢えて重要ではない条文を、六法を使って確認する必要性は薄いかと思いますが。
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行政書士合格六法 2023 著者: 植松和宏 (監修), 三省堂編修所 (編集) 出版社: 三省堂 発売日: 2022/11/24 ページ数: 555ページ サイズ: 14.9 x 2.4 x 21.1 cm 価格: 2,640円 |
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No.3:行政書士テキスト付属の六法
次は、行政書士の基本テキストに、別冊付録として付属しているタイプの六法についても、ご紹介しておきます。
別冊付録の六法は、下記のとおり、メジャーなテキストにはほぼ全て付属するようになりました。
「うかる!行政書士」ハンディ行政書士試験六法
伊藤塾の「うかる! 行政書士 総合テキスト 」では、別冊「ハンディ行政書士試験六法」という名称になっており、印刷は白黒印刷で、条文のみが掲載されています。
別冊六法の付属は、伊藤塾が最初に2014年版から始め、その後、他社が次々と追随してきている状況です。
「合格のトリセツ基本テキスト」行政書士試験六法
LECの「行政書士 合格のトリセツ 基本テキスト 」では、第5分冊が「行政書士試験六法」となっており、印刷は白黒印刷で、条文のみが掲載されています。(2020年版から)
「合格革命 行政書士」 別冊六法
早稲田経営出版の「合格革命 行政書士 基本テキスト 」も、「合格革命 行政書士 別冊六法」が付属しており、条文のみが掲載されています。印刷は2色刷り(赤系)で、特に重要なキーワードが赤字で表示されています。(2021年版から付属)
「みんなが欲しかった!」行政書士試験六法
TACの「みんなが欲しかった! 行政書士の教科書 」では、第5分冊「みんなが欲しかった!行政書士試験六法」となっており、同じく条文のみが掲載されています。印刷は2色刷り(赤系)で、特に重要なキーワードが赤字で表示されています。(2018年版から付属)
このような別冊六法が付属しているタイプのテキストを使用する場合は、別途、「判例収録なし」の六法を購入する必要性は低いかと思います。
ただし、「ケータイ行政書士 ミニマム六法」や「行政書士合格六法」よりも収録法令が少ない点には注意が必要です。
基本的には、六法を引いて確認するのは主要な法令だけでも十分だと思いますが、もし、別冊付録だけでは不便だと感じた場合は、上記の三省堂の六法を購入すればいいのではないでしょうか。
No.4:六法アプリ
メインの六法としては使いにくいかと思いますが、アプリ版の六法も、外出先で六法が手元にない場合など、スマホに入っていれば便利ですよね。
私がスマホに入れている六法アプリは、無料で利用できる「And六法」というアプリです。
このアプリは、探したい条文に一発で飛べるというのが、とても気に入っています。
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上記の左側の画像で、一番下の黒いところに、1から0までの数字と「の」があると思いますが、この数字をタップすれば、その条文にジャンプしてくれます。
例えば、「13条」なら、1→3と順にタップすれば13条に飛んでくれますし、「32条の2」なら、3→2→の→2とタップすればOKです。
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判例あり六法2冊の比較
次は、「判例収録あり」の六法をご紹介したいと思います。
判例が詳しく掲載されている行政書士試験用の六法を購入するとすれば、早稲田経営出版(Wセミナー)の「行政書士試験六法」か、東京法経学院の「行政書士受験必携六法」のいずれかの2択になると思います。
No.1:行政書士試験六法(Wセミナー)
まずご紹介するのは、Wセミナー(早稲田経営出版)の「行政書士試験六法」です。
この六法は、行政書士試験に必要な法令が網羅されており、重要条文ごとに「判例」のほか、条文に関連する「過去問」が一問一答式で掲載されているのが特徴です。
本文は、読みやすい横書きで、欄外余白に「過去問の解答(〇・×)・出題年度」が掲載されています。
また、2色刷り(青系)になっていますので、条文と判例の見分けが付きやすいのも便利ですね。
判例は青い網掛けで掲載され、過去問は青文字で印刷されています。
判例付き六法は、条文を探したいときに判例が邪魔で肝心の条文が見つけにくいという欠点がありますが、2色刷りなら、その欠点が克服できますね。
また、2021年版までは、各ページ上部に第〇条というインデックスがないのが欠点でしたが、2022年版からはインデックスが付き、改善されました。
- 重要条文ごとに判例・過去問を掲載
- 2色刷り(判例:青網掛け、過去問:青文字)
- 横書き(欄外余白に過去問の解答・出題年度)
- 各ページ上部に条番号を明記
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行政書士 試験六法(2023年度) 著者: 行政書士試験研究会 出版社: 早稲田経営出版 発売日: 2022/12/28 ページ数: 1296ページ サイズ: 21 x 14.8 x 2.5 cm 価格: 3,740円 ※2024年度版の予約販売中(12/27発売予定) |
No.2:行政書士受験必携六法(東京法経学院)
次にご紹介するのは、東京法経学院の「行政書士受験必携六法」です。
2022年版までは市販されていましたが、2023年版は、東京法経学院の直販のみになってしまいました。(売れ行きが悪くなったからでしょうか??)
この六法は、行政書士試験に必要な法令を収録した専用の六法で、重要な法令の条文ごとに「判例要旨」が収録されています。
また、重要な条文には、「ワンポイントアドバイス」としてコメントが記載されているほか、重要なフレーズ・語句をゴシック体で強調することで、その条文のキーワードをはっきりと認識できるようになっています。
レイアウトは、横書きで2段組になっていますので、読みやすいですね。
また、各ページの端にインデックスとして「第〇条」という表示もありますので、検索もしやすいです。
ただし、上記の行政書士試験六法とは違って白黒印刷ですので、「条文」と「判例」との見分けがつきにくいというのが欠点ですね。
- 重要条文ごとに判例、ワンポイントアドバイスを掲載
- 重要フレーズ・語句をゴシック体で強調
- 横書き2段組み
- 各ページ上部に条番号を明記
- 白黒印刷 のため、条文と判例の見分けがつきにくい
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行政書士受験必携六法(2023年版)![]() <東京法経学院直販> 著者: 東京法経学院編集部 出版社: 東京法経学院 発売日: 2023年1月 ページ数: 992ページ サイズ: A5判 価格: 4,510円 |
六法の使い方
六法の使い方としては、私の場合は、条文を引くときは条文に素早く辿り着けるように判例なしの六法を使用しました。
そして、判例を調べるときにのみ、判例ありの六法を使用しました。
やはり、「条文」を引く頻度の方が圧倒的に多いため、素早く引けるコンパクトな六法をメインに使用する方が便利ですね。
一方、判例については、重要な判例は、「テキスト」の本文に掲載されていますので、基本的にはそれで十分かと思います。
ただし、過去問を解きながら、テキストに掲載されていない判例が出てきたときに、どうしても気になる場合もありますので、そういった場合にのみ「判例収録あり」の六法で調べる、といった使い方でよいのではないかと思います。
なお、六法は、テキストや過去問の解説に出てくる条文は必ず確認するようにし、鉛筆で線を引くようにしていました。
ラインマーカーなどでカラフルに線を引くという方法もありますが、私は、黒鉛筆で十分と思います。
行政書士のおすすめ六法まとめ
ということで、行政書士の六法について、ご紹介してきました。
最後のまとめとしては、
- 条文を引くには、「判例収録なし」のコンパクトな六法が便利!
- コンパクトな六法は、テキストの別冊付録で基本的には足りる
- もし不足を感じた場合は、「ケータイ行政書士 ミニマム六法」がおススメ!
- 判例の調べものには、「判例収録あり」の六法があると便利! (必ずしも必要ではない)
- 「判例収録あり」の六法は、早稲田経営出版と東京法経学院があるが、早稲田経営出版の「行政書士試験六法」がおススメ!
- なお、外出先では、六法アプリがあれば便利
という形になります。
それでは、行政書士の六法を購入する際は、当ページを参考にしてみてください。
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