更新日:2023年9月13日
行政書士試験は、とても人気のある資格で、例年約4万人が受験していますが、その合格率は10%程度と低く、難関な資格のイメージがあると思います。
しかし、行政書士試験は択一式の問題が中心で、絶対評価の試験でもあるため、独学でもテキスト1冊をしっかりと読み込み、問題集を複数回繰り返すだけで、短期合格も十分に可能な資格です。
ただし、この簡単そうに思えることを一定期間毎日続けるというのが、一番大変なことなんですが。。
このページでは、行政書士試験に「独学」で合格するために必要な勉強時間や、おすすめ勉強法など、どうすれば独学で合格できるのか、実際に独学で合格した私の経験に基づき、その方法を詳しくご紹介していきたいと思います。
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行政書士は独学で合格できる!
まずはじめに、そもそも行政書士試験は独学で合格できるのかどうか不安に感じる方が多いかもしれませんが、行政書士は独学でも合格できます。
独学でも合格できる理由
独学でも行政書士に合格できると考えるには、以下の理由があります。
理由@:市販教材が十分に揃っている
行政書士試験は、とても人気があり、受験者数がとても多い資格です。
受験者が少ない資格の場合は、市販教材の品揃えが悪く、十分な知識・情報が得られない資格試験も確かにあります。
しかし、行政書士は違います。各社から市販教材が数多く出版され、合格に必要なテキスト・問題集が十分に揃っています。
理由A:合格に必要な知識は市販教材だけで手に入る
とはいえ、資格予備校や通信講座を受講しないと入手できないような知識や情報があるんじゃないの?と疑問を抱く方もいらっしゃるかもしれません。
私も昔は、そんな風に思っていました。
市販教材の多くは資格予備校が出版しているわけですから、予備校は講座を受講してもらうために、本当に重要な情報は隠して、市販教材には載せてないんじゃないか?合格の決め手になるような知識は、講座を受講しないと教えてくれないんじゃないか?と。
しかし、私の経験上、そんな疑問・不安は、すべて払拭されました。
私自身、これまでに、行政書士・宅建士・土地家屋調査士・司法書士などの国家試験に合格してきましたが、すべて市販教材に載っている知識だけで合格できました。
ですので、独学だからといって心配することはありません。合格に必要な知識・情報は、すべて市販教材に載っています。
- 市販教材が十分に揃っている
- 合格に必要な知識は市販教材だけで手に入る
事実、私を含め多くの人が独学で合格している
そうは言っても、本当に独学で合格できるの?とまだ疑っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
今の時代、ネットで検索すればすぐにわかりますが、独学で合格している方は数多くいらっしゃいますし、私自身も独学で合格することができました。
行政書士試験の合格率は、例年、おおむね10%前後で推移しており、他の有名な資格試験は以下のような合格率になっていますので、他の国家資格と比較した場合、行政書士は中くらいの標準的な難易度といえます。
<法律系の国家資格>
- 司法書士試験: 4〜5%
- 社会保険労務士試験: 6%
<不動産系の国家資格>
- マンション管理士試験: 8〜9%
- 土地家屋調査士試験: 8〜9%
- 宅建士試験:15%
- 管理業務主任者試験: 20%
また、行政書士ほどの人気資格となれば、大して勉強しないで受験する方も多いと思いますので、10%という数値に、そこまで惑わされる必要はありません。
一定期間、しっかりと勉強に取り組めば、独学でも十分に合格できるはずです。
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ただし、独学には乗り越えないといけない壁がある
独学は、コストが安く済み、誰でもいつでも手軽に始められるというメリットがある一方で、独学には、乗り越えないといけない壁(デメリット)がいくつもあります。
これがないと、予備校や通信講座が存在する意味がありませんからね。
- どの教材を選べばいいかわからない。
- テキストを自分で読み進めないといけない。
- 教材の使い方がわからない。
- 今の勉強法で合っているのか不安。
- 自分でスケジュール管理をしないといけない 。
- わからなくても質問できない。
- モチベーションを維持するのが大変。
などなど、独学のメリットに比べ、挙げればキリがないほど数多くの壁(デメリット)が存在しています。
独学の場合、こういったデメリットを乗り越えないといけません。
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正しい勉強法で勉強すれば独学でも合格できる!
しかし、当サイトは、「独学で資格取得」をテーマとしており、私自身も独学特有のデメリットに悩まされ、あれやこれやと試行錯誤を繰り返しながらも、独学で行政書士試験に合格できた経験があります。
独学で勉強する場合、誤った勉強法では合格できません。合格できたとしても、ものすごく時間がかかってしまいます。
行政書士試験に独学で合格するためには、正しい勉強法で勉強する必要があるのです。
このページでは、私自身の経験を踏まえ、独学特有のデメリットをできるだけ払拭したうえで、行政書士試験に独学で合格できる方法をお伝えしていければと考えています。
独学で行政書士試験に合格することを目指して、がんばっていきましょう!
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行政書士の勉強時間の目安は?
では、独学で行政書士に合格するためには、どれぐらいの勉強時間が必要なのでしょうか。
- 初心者の勉強時間の目安は、500時間(〜800時間)
- 宅建合格者なら最短300時間で合格も可能
- 6ヶ月〜1年前から勉強を始めるのが標準的
初心者の目安は500時間(〜800時間)
一般的に、初心者が行政書士試験に合格するためには、500時間程度の勉強時間が必要と言われています(最近は800時間とする説も増えてきています)。
人それぞれ、法学部で法律を学んだことがあるかどうか、他資格の受験経験など予備知識がどれだけあるかなど違いがありますので、500時間というのはあくまでも目安となりますが、初心者の方は、とりあえずこの勉強期間を参考に、勉強計画を立てていただければと思います。
宅建合格者なら最短300時間で合格も可能
なお、私の場合は、既に宅建試験のために、行政書士試験の重要な科目のひとつ「民法」を学習済みだったことから、実際の勉強時間は、約240時間で済みました。
ですので、宅建試験など、試験科目が被る試験の学習経験者なら、私のように最短300時間ほどの勉強時間で合格することも可能だと思います。
6ヶ月〜1年前から勉強を始めるのが標準的
一般的に、行政書士に合格するためには6ヶ月から1年程度の勉強期間が必要と言われています。
とはいえ、1日の勉強時間によって、この勉強期間というのは大きく変わりますよね。
私の場合は、行政書士試験に独学で合格するまでに勉強した期間は、約4ヶ月間でした。
1日の勉強時間は約2時間で、4ヶ月の勉強期間、つまり、2時間×4ヶ月=約240時間の勉強時間ということになります。
行政書士試験は、11月の第2日曜日に実施されますので、その4ヶ月前の8月から勉強を開始したと思います。
1日に3時間で半年、2時間なら8ヶ月かかる
では、行政書士の勉強時間が500時間とした場合に、1日の勉強時間によって、必要な勉強期間がどのように変化するか、確認しておきたいと思います。
例えば、1日に3時間の勉強時間が確保できる方であれば、半年程度の期間になりますし、1日に2時間の方なら8ヶ月程度、1日に1時間しか勉強できない方であれば、1年半程度の期間が必要になると考えていただければよいかと思います。
1日の勉強時間 | 要する勉強期間 |
3時間 | 半年 |
2時間 | 8ヶ月 |
1時間 | 1年半 |
3ヶ月〜4ヶ月で短期合格するために必要な1日の勉強時間
このように考えると、もし仮に、最短3ヶ月〜4ヶ月という短期合格を果たすには、どれぐらいのスケジュールで勉強しないといけないのでしょうか。
3ヶ月で合格するための勉強スケジュール
例えば、3ヶ月で500時間というのは、社会人がフルタイムで働きながら勉強する場合、平日と土日で勉強時間に差が出るはずですので、1週間で40時間の勉強をする必要があると考えた方がわかりやすいですね。(40時間×4週×3ヶ月≒500時間)
3ヶ月で合格するための1週間の勉強時間 | |
例1 | (平日)3時間×5日=15時間 (土日)12.5時間×2日=25時間 1週間合計 40時間 |
例2 | (平日)4時間×5日=20時間 (土日)10時間×2日=20時間 1週間合計 40時間 |
いかがでしょうか?ちょっと現実離れしているように感じますよね。。
私の経験上、フルタイムで仕事をしている場合、平日の勉強時間は、どう頑張っても3時間が限界でしたし、休日は8時間ぐらいが限界でした。
もちろん、もっと勉強できる方もいらっしゃるかと思いますが、この案は、本当に最悪のケースですよね。できることなら、もっと余裕を持って勉強したいですよね。
4ヶ月で合格するための勉強スケジュール
ということで、例えば、4ヶ月で500時間の勉強をしようとした場合は、1週間で30時間になります。(30時間×4週×4ヶ月≒500時間)
4ヶ月で合格するための1週間の勉強時間 | |
例1 | (平日)3時間×5日=15時間 (土日)7.5時間×2日=15時間 1週間合計 30時間 |
例2 | (平日)2時間×5日=10時間 (土日)10時間×2日=20時間 1週間合計 30時間 |
どうでしょうか。平日に3時間なら、土日は7時間30分。平日に2時間なら土日は10時間ということになります。
正直、かなりハードなスケジュールには違いありませんが、頑張ればできないことはなさそうですよね。
勉強は、長期間になればなるほど大変ですが、4ヶ月という短期決戦なら、瞬発力で乗り切ろうと思えば乗り切れる期間です。
ということで、最短合格を目指すにしても、4ヶ月ぐらいの期間は見ておいた方が良さそうですね。
難易度・勉強時間を宅建・社労士・司法書士などと比較
ちなみに、行政書士試験の合格に必要な500時間という勉強時間は、他の資格試験に比べると、どのような位置づけになるのでしょうか。
資格試験の合格に必要な勉強時間というのは、その資格の難易度と、ある程度の相関関係があります。
有名どころの法律系・不動産系資格を含めて一覧表にしてみると、以下のようになります。
資格名 | 難易度(合格率) | 必要な勉強時間 |
司法書士 | 約 4% | 3,000時間 |
社労士 | 約 6% | 1,000時間 |
土地家屋調査士 | 約 8% | 1,000時間 |
マンション管理士 | 約 8% | 500時間 |
行政書士 | 約10% | 500時間(〜800時間) |
宅建士 | 約 15% | 300時間 |
管理業務主任者 | 約 20% | 300時間 |
賃貸不動産経営管理士 | 約 30% | 100時間 |
このように、難易度の高い(合格率の低い)資格試験ほど、合格に必要な勉強時間も多くなっていますね。
宅建と比べると、約2倍の勉強時間が必要になることがわかります。
一方、さらに難易度の高い社労士や司法書士と比べてみると、行政書士は、そこまで難しい資格ではない、ということもわかりますね。
仕事で忙しい社会人が勉強時間を作る方法
次は、行政書士に独学で合格するための勉強時間の作り方について、ご紹介します。
- 帰宅してから寝るまでの時間で勉強時間を確保する
- 朝早く起きて勉強時間を作り出す
- スキマ時間で勉強時間を作り出す
- 睡眠時間を削って勉強時間を作り出す (あまりおススメできませんが・・・)
帰宅してから寝るまでの時間で勉強時間を確保する
私が行政書士試験の受験勉強をしていた際は、毎日、仕事を終えて家に帰り、食事と入浴を済ませてから寝るまでの時間(約2時間)で勉強をしていました。
やはり、この時間帯が誰でも一番確保しやすく、また、集中できる時間かと思います。
朝早く起きて勉強時間を作り出す
そのほか、朝1時間早く起きて勉強時間を確保する、という方法もありますね。
仕事から帰ってきてからの時間では、体が疲れ果てて勉強なんてできない、、という方は、朝早く起きる、というのも良い方法かもしれません。
私は、行政書士試験では夜の時間だけを使って勉強しましたが、管理業務主任者試験の受験勉強の際は、朝1時間早く起きて勉強することも実践しました。
私は、朝早く起きるのが苦手でしたので、この勉強時間の作り方は、けっこう辛かったですが、朝起きるのが得意な方には、いい方法だと思います。
スキマ時間で勉強時間を作り出す
ほかにも、スキマ時間(通勤時間・昼休みなど)を使って勉強することも考えられます。
私は、車通勤でしたので、通勤時間というのは使えませんでしたが、電車通勤の方にとっては、電車の中で過ごす通勤時間というのは、なかなか勉強するには適した時間なのではないでしょうか。
また、スキマ時間としては、昼休みの時間も、けっこう使えるかと思います。
私は、マンション管理士試験の受験勉強の際は、昼休みにスマホを使って勉強することもやりました。
昼休みは1時間ありましたので、最低でも30分程度は余る時間がありますよね。この時間に、喫煙所でタバコを吸いながら、コーヒーを飲みながら、スマホで勉強していましたね。
その他にも、賃貸不動産経営管理士試験の受験勉強の際は、朝食(パン)を食べながらの時間や、その後のコーヒーを飲みながらの時間も、勉強時間にしていました(これは独学ではなく、講義動画を視聴していました)。
睡眠時間を削って勉強時間を作り出す (あまりおススメできませんが・・・)
あと、司法書士試験の受験勉強の際は、かなり体に負担をかけてしまいましたが、仕事の残業が多く、どうしても勉強時間の確保ができなかったため、夜の寝る時間を遅らせて、睡眠時間を1時間削って勉強していたこともありました。
元々は6時間程度の睡眠時間でしたが、5時間まで減らしました。その生活を続けた結果、体に異変が、、、ということで、あまりおススメできない方法ですが、短い期間であれば、瞬発力で乗り切ることも可能かもしれませんね。
理想的な勉強時間・勉強期間
このように、社会人の方が勉強時間を確保するのは、なかなか大変だと思いますが、できれば短期集中で、1日2〜3時間程度を確保して、8ヶ月〜半年程度の学習期間で合格を目指すのが、ベターではないかと思います。
1日1時間で1年半というのも、やむを得ないかと思いますが、覚えたことを忘れてからまた覚え直すというサイクルが長くなり、勉強の効率が低下してしまいますので、その点はご注意いただきたいと思います。
行政書士の独学におすすめの勉強法
それでは次は、独学で行政書士に合格するために私が実践した効率的な勉強法について具体的にご紹介したいと思います。
独学で行政書士の勉強を始めるためには、まずテキストと問題集を選ぶところから始めます。
そして、自宅などで勉強時間を確保して、テキストを読んでインプット学習をし、問題集を解いてアウトプット学習をする、という形で勉強を進めていくことになります。
また、外出先などでスキマ時間を使って勉強することもできますね。
おすすめ勉強法の全体の流れは、下記のリストのようになりますので、以下で順にご紹介していきます。
- テキスト・問題集を選ぶ(最低限、1冊ずつあればOK) 。
- テキストを通読し、全体像を把握する。
- 章ごとにテキストを読み、そこに対応する問題集を解く。
- 問題集のみを解いていく(最低でも3回は解く)。
- 模試を受験する(又は予想問題集を解く)。
勉強法@:テキスト・問題集を選ぶ
では、行政書士に独学で挑戦するためには、まずはテキスト選びから始めましょう。
そして、そのテキストに対応した問題集も併せて選びます。
独学の場合、最低限、テキストと問題集がそれぞれ一冊ずつあれば合格できます!
テキストの選び方
行政書士試験に独学で合格しようとする場合に、テキスト選びはとても重要です。
行政書士の勉強は、まず基本テキストを使って知識のインプット学習を行うところから始めます。
ただし、行政書士のテキストは、様々な出版社から各種のテキストが出版されていますので、どれを選べばいいのか、なかなか決めるのが難しいと思います。
テキストを選ぶうえで最も大切なことは、初学者がイチから理解できるよう、丁寧な解説がなされているかどうか、ということだと思います。
そして、判例が重要な憲法では、争点や判旨などが整理してわかりやすく記述されていること、また、法の理解が重要な民法や行政法では、法の趣旨や事例などわかりやすい解説がなされていること、がポイントになってきます。
ただし、ズラズラダラダラと解説が書かれていても、最後まで読む前に挫折してしまいますし、たとえ最後まで読めたとしても、何を理解して、何を暗記すればいいのかわからず、結局何も残らないということになってしまいますので、しっかりとメリハリをつけて記述されていることも大切です。
このメリハリというのは、暗記事項と解説との区別のほか、図表で整理したり、イラストを使ったり、事例で解説したり、判例の争点・判旨等の区別などの工夫も含みます。
ということで、この2点に重点を置いて、テキストを選ぶのがよいと思います。
- 丁寧な解説がなされているか(憲法:判例、民法・行政法:法の理解)
- メリハリをつけて記述されているか(暗記事項・解説、図表、イラスト、事例、判例)
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問題集の選び方
基本テキストを使ってインプット学習をした後は、問題集を使ってアウトプット学習を行うことにより、知識を定着させていきます。
行政書士の問題集には、「分野別過去問題集」、「一問一答問題集」、「年度別過去問題集」など、いくつかの種類がありますが、この中で必須となるのは、「分野別過去問題集」です。
各シリーズとも、分野別過去問題集は必ず出版されていますが、一問一答や年度別などは付加的な問題集になりますので、出版されていないシリーズも結構あります。
行政書士試験は、最低限「基本テキスト」と「分野別過去問題集」の組み合わせだけを、しっかり取り組めば、それだけで十分に合格できます。
ですので、一問一答問題集や、年度別問題集など、あまり手を広げずに、これと決めた基本テキストと分野別過去問題集に絞って学習をしていただくのが、合格への一番の近道だと思います。
そして、原則、テキストと同シリーズの分野別過去問題集を選ぶことをおススメします。
というのは、問題集には、テキストの参照ページが明記されているものがほとんどですので、問題集を解きながら、その解説を読んだだけではよくわからない場合や周辺知識を確認したいような場合に、素早くテキストの参照ページに戻って確認することができるからです。
- 色んな種類があるが、分野別過去問題集が必須
- 原則、テキストと同シリーズの問題集を選ぶ
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勉強法A:テキストを通読し、全体像を把握する
まずは、行政書士試験の試験科目のうち、法令科目について、基本テキストを一通り読みます。(一般知識については後述します。)
この際、テキストに出てくる条文は必ず六法で確認し、線を引くようにしました(私は黒鉛筆で引いていました)。
一回目のテキストを読む際は、とにかくわからないことがあっても気にせずに、ドンドン読み進めることがポイントです。
細かいところは気にせず、大雑把にイメージを把握するつもりで読み進めるのがいいと思います。細かいところを気にしすぎると前に進めなくなり、挫折してしまうおそれがありますので。。
勉強法B:テキストを章ごとに読み、そこに対応する問題集を解く
このようにして、テキストを一通り読み終わったら、次は問題演習に入るわけですが、ここですぐに問題集をやろうとしても、テキストの最初の方に書いてあったことなんて、テキストを読み終わった頃にはスッカリ忘れてしまっていると思いますので、すぐに問題集を解いても挫折感を味わうだけになりかねません。
このため、私は、再度、テキストを章ごとに読み直してから、その項目に対応する問題集(過去問)を解いていく、という方法をおススメします。
この際、問題集の解説だけではわからない部分については、テキストの該当部分を読み直したりしながら学習を進めます。また、 参照すべき条文については六法で確認します。
問題を解くことによって、テキストを読むだけでは理解できなかった部分も理解できるようになってきますし、テキストには問題を解くために直接必要のない記述も含まれていますので、とにかく最初にテキストを読む際は、余計なところで引っ掛からないように注意してください。
勉強法C:問題集のみを解いていく(最低でも3回は解く)
このようにして、テキストと問題集の平行学習が終わったら、次は、問題集のみを再度解いていくという流れで進めます。解くときの要領は、上記と同様です。
この問題集については、3回程度繰り返し解くことができれば、もう合格レベルに達していると思います。
勉強法D:模試を受験する(又は予想問題集を解く)
行政書士試験を受験する場合は、独学の場合であっても、模試(模擬試験)は受験しておいた方がよいと言われることがあります。
模試を受験することにより、自分の学習の進み具合の確認ができ、自分の苦手分野・弱点を把握できますし、順位が出ますので自分の実力を知ることができますので、ここで把握した弱点を、本試験に向けて集中的に補強していくことができます。
また、受験指導校が過去の出題傾向を分析したうえでの予想問題が出題されるため、その年の本試験に出題される可能性が高い問題を押さえることもできます。
そして、本試験と同じ時間・形式で行われるため、解答の時間配分やマークシートの解答形式、本試験での緊張感に慣れることなどの効果も期待できます。
私自身は、模試を受験するような時間的余裕がなかったため受験しませんでしたが、模試にはこのように様々な効果がありますし、1回受験するだけなら数千円で済みますので、時間が確保できる方は、受けるに越したことはないと思います。
模試としては、予備校が実施する模試を受験するという方法と、それに代えて予想問題集(模試)を解くという方法の2種類が考えられます。
それぞれ、以下のページでご紹介していますので、参考にしてください。
【参考】一般知識の勉強法
ちなみに、一般知識については、私は試験の2週間前ぐらいからテキストを読みましたが、問題集は解きませんでした。
一般知識の対策に無駄に時間を費やすことは避けるべきですので、試験直前期に、最後の詰め込み学習として、「政治経済社会」、「情報通信・個人情報保護」、「文章理解」のうち、「情報通信・個人情報保護」の分野を中心に、テキストを読み込んで、なんとか最低限の対応ができるようにしておけばよいと思います。
もちろん、日頃から社会に関心をもって、ニュースなどで情報取集をしておくというのが一番の対策だとは思いますが。。。
【参考】記述式の勉強法
なお、法令科目に関して、記述式の問題が3問出題されますが、私は特別な対策は何もしませんでした。
40字程度で解答文を作成するため、一問一答的な解答にしかなりませんので、択一対策の学習の中でしっかりと知識が身についていれば、ある程度の解答は書けると思います。
ただし、択一式はしっかり解けるのに、記述式はさっぱり書けないという方は、記述式に特有の解き方(テクニック)を身につければ対応できるようになるはずですので、「記述式問題集」を別途購入して対策することはとても有効だと思います。
勉強スケジュールの組み方(勉強時間の配分)
それでは実際に、私がおススメする勉強法に沿って具体的に勉強時間を配分し、スケジュールを組んでみたいと思います。
テキストを読む時間(1周80時間)
まず、行政書士の基本テキストは、800ページ前後のものが主流ですので、800ページとしておきます。
そして、1時間に読めるページ数は、私の場合でしたら10〜15ページぐらいですので、ここでは10ページと仮定しておきます。
800ページを1時間に10ページのペースで読むと、テキストを通読するのに80時間かかることになります。
問題集を解く時間(1周100時間)
次に、問題集です。問題集の収録問題数は、五肢択一式(選択式・記述式を含めて)の厳選問題集の場合は300問程度のものが主流ですが、ここでは過去10年分の過去問を解くと仮定し、600問としておきます。
そして、1時間に6問(1問10分)解くとすると(解説を読む時間も含みます)、全問を解き終わるのに100時間かかることになります。
具体的なスケジュール例(トータル500時間)
- テキストを読む ⇒ 80時間
- 問題集を解く ⇒ 100時間
※繰り返すたびに、100時間→90時間→80時間→70時間と、スピードが速くなると仮定します。
以上を前提に、どれぐらいの勉強時間になるのかスケジュールを組んでみると、次のようになります。
- テキストを通読する
⇒ 80時間 - 章ごとにテキストを読み、そこに対応する問題集を解く
⇒ 80時間+100時間 = 180時間 - 問題集のみを解いていく(3回)
⇒ 90時間+80時間+70時間= 240時間 - 合計 500時間
以上のようなスケジュールになり、概ね500時間の勉強時間になってきますね。
スケジュールの組み方
上記はあくまでも、ひとつの例ですので、実際にこれと同じようにスケジュールが進むわけではありませんが、参考にしていただければと思います。
実際の勉強スケジュールの組み方としては、まずは大まかなスケジュールを立てたあと、ひとまず勉強を始めてみて、自分が1時間で何ページぐらい読めるのか、そして1時間に何問ぐらい解けるのかを確認しながら、そのペースに基づいて、随時スケジュールを見直していく、というスケジュールの組み方をするのが良いかと思います。
スケジュールに余裕があることがわかれば、過去問を解く回数を増やしたり、五肢択一の過去問のほか、肢別過去問集を採り入れることなども検討すればいいと思います。
逆に、スケジュールが間に合わないことがわかれば、過去問を解く回数を(科目に応じて)減らすことや、そもそも使う過去問を、収録問題数が少ない厳選された過去問集に変更することなどを検討しながら、随時スケジュールを見直していけばいいかと思います。
- おおまかなスケジュールを立てる。
- 勉強を進めながら、1時間で何ページ読めるのか、何問解けるのかを確認する。
- 随時スケジュールを見直す。
⇒余裕があるなら、過去問を解く回数を増やしたり、別の過去問集を採り入れることなどを検討
⇒間に合わないなら、解く回数を減らしたり、厳選問題集に変更することなどを検討
独学で勉強する際の注意点
次は、独学で勉強する際の注意点について、下記でお伝えしたいと思います。
- わからなくても、気にせず前に進むこと。
- 悩みこんでしまうのが一番ダメ!
- 勉強のモチベーションをいかに維持するかがポイント
わからなくても気にせず前に進むこと
独学の場合は、通信講座や通学講座を受講する場合と違って、わからないことがあっても講師に質問することはできません。
このため、わからないことが出てきた場合は、自分で悩むか参考書を調べるか、ネットで検索するなど、自分で解決するしかありません。
ただし、ここで深入りをしてしまうと、さっぱり前に進まなくなってしまいますので、これが独学の大きな落とし穴になります。わからないから悩む、、そして、解決できずに投げ出す。。。
こうならないようにするためには、気にせず前に進むことです。とにかく進める!
悩み込んでしまうのが一番ダメ!
悩み込んでしまってはいけません。
何度も繰り返すうちに、わかることが多くあります。テキストでわからなくても、問題集を解けばわかることもあります。一度解いてもわからなくても、二度目に解いたらわかることもよくあります。
ですので、とにかく悩み込むんでしまうこと、これが一番ダメです。この点には、くれぐれも注意してください。
勉強のモチベーションをいかに維持するかがポイント
独学で行政書士に挑戦する場合、実は、勉強を続けるモチベーションを維持することが一番大変です。
行政書士試験に合格できるかどうかは、モチベーションを維持できるかどうか、にかかっていると言っても過言ではないと思います。
つまり、最初に立てたスケジュールどおりに勉強できれば、きっと誰でも合格できると思うんです。
しかし、スケジュールどおりに勉強ができる人なんて、ほとんどいないと思います。私もそうです。
私の場合は、スケジュールを崩しながらも、なんとかスケジュールの修正を繰り返し、ぎりぎりのラインで最後の仕上げまで持っていってゴールを迎えるというパターンが多いです。
とにかく、最低限、テキスト1周+問題集2〜3周は回せるように、試験当日まで勉強を続けないといけません。
モチベーションが下がったときに、どのようにしてモチベーションを上げればいいか、私自身の経験をもとに、挙げてみたいと思います。
- 友人や家族など周りの人に、行政書士試験を受験することを公表する。
周りの人に言ってしまうと、不合格になると恥ずかしいという気持ちから、頑張ろうという気持ちになりますよね。 - 勉強する場所を変える。
いつも同じ場所で勉強していると、だらけてしまいますが、そんな場合は勉強する場所を変えるのもいいかもしれません。喫茶店や図書館などで勉強してもいいですし、外に出るのが難しければ、家の中で、違う部屋に移動するだけでも気分転換になるのではないでしょうか。 - 何のために行政書士試験の合格を目指しているのか思い返す。
そもそも何のために行政書士の合格を目指しているのか思い返してみれば、またやる気もアップしてきます。 - 合格したら〇〇をする。といった計画を立てる。
合格したらご褒美で旅行に行くとか、ご馳走を食べに行くとか、色んな計画を立てるというのもいいですね。 - 1日に〇時間必ずやると決める。または、〇ページ必ず読むと決める。
具体的に数値目標がある方が、やる気が出ますよね。達成感も出ます。 - 根を詰めないで余裕をもって。休憩を取りながら。
あまり根を詰めすぎると、精神的にも体力的にも持ちませんので、ほどほどに。 - 勉強の記録をつける。
今日は何ページ進んだ、何時間勉強した。という記録を毎日つけましょう。これをすると、達成感が出ます。逆に、今日はあまり進まなかった、、明日はがんばろう!という気持ちにもなります。 - 勉強が遅れてきたら、随時スケジュールを見直す。
スケジュールどおりに進まないから、もうダメだ、、間に合わない。。とすぐに諦めてはいけません。ここからが勝負どころです。ここで踏ん張れる人が合格するんです。スケジュールどおり勉強できる人なんていません。妥協できるところは妥協して、最低限・最小限の勉強内容に絞り込んで、スケジュールを見直しましょう。
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独学で行政書士に合格する勉強法と勉強時間まとめ
以上、行政書士に独学で合格するための勉強時間や勉強法についてご紹介してきました。
最後に、ここまでの内容を整理しておきたいと思います。
- 合格に必要な知識は市販教材にすべて載っている
- ただし、独学には乗り越えないといけない壁がある
- 正しい勉強法で勉強すれば独学でも合格できる!
- 勉強時間の目安は500時間 (〜800時間)
- 勉強期間は半年〜1年程度が標準的
- 4ヶ月の短期合格も、頑張れば可能
- 勉強時間は、夜以外にも工夫すれば作り出せる(早起きする、スキマ時間など)
- 最低限、基本テキストと分野別過去問題集が一冊ずつあれば合格できる
- テキストは、丁寧な解説とメリハリが大切
- おすすめの勉強法は、テキストを通読→テキストを章ごとに読み直しながら対応する過去問を解く→問題集だけを再度解く(3周)
- 独学でも、模試の受験(又は予想問題集)は、取り組んだ方がよい
- 独学では、悩み込むんでしまうことが一番ダメ。とにかく前に進むこと。
- モチベーションの維持が一番大変なため、維持するための工夫が必要
独学は、確かに通信講座や通学講座を受講する場合に比べ、デメリットも多くありますが、多くの方が独学でも合格しているという事実があります。
私自身も、宅建の受験経験があったとはいえ、4ヶ月間の独学で合格することができました。
このページでは独学特有のデメリットを、できるだけ払拭できるように記載してきたつもりですので、この記事を参考に、行政書士試験に独学でチャレンジし、見事に合格を勝ち取ってください!
独学にかかった費用
ちなみに、私が行政書士試験対策に要した費用は、テキスト・問題集・六法の購入費用として、1万8千円でした。
独学ならではのお安さに収まっています!
このほかに、行政書士試験の受験手数料として、10,400円(私が受験した当時は7,000円)がかかります。
私が実際に購入したテキスト等の教材は以下のとおりです。
【テキスト 4冊】
- LEC「出る順行政書士 合格基本書」
→ 途中から別のテキストに乗り換えたため、メインのテキストとしては使用しませんでした。 - LEC「出る順行政書士 重要事項総まとめ」
→ 一般知識の補強に使用しました。 - 週刊住宅新聞社「うかるぞ行政書士 基本テキスト」(現在は絶版)
→ メインのテキストとして使用しました。 - 週刊住宅新聞社「うかるぞ行政書士 行政法入門講座」(現在は絶版)
→ 行政法の理解を深めるために使用しました。
【問題集 3冊】
- LEC「出る順行政書士 ウォーク問過去問題集」2分冊
→ メインの問題集として使用しました。 - LEC「出る順行政書士 直前予想模試」
→ 試験直前期に、解答の時間配分等を確認するために使用しました。
- LEC「行政書士 合格六法」
→ メインの六法として使用しました。 - ダイエックス「行政書士マスター六法&判例」(現在は絶版)
→ 判例を引くために使用しました。
独学による受験結果
最後に、私が独学で行政書士試験を受験した結果を掲載しておきます。
合格通知
平成19年度合格 : 300点満点中、204点(択一式:180点、記述式24点)
※ 合格ライン:180点以上
合格証書
行政書士試験の合格証書です。総務大臣と県知事の名で発行されています。
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