行政書士の独学に必要な勉強時間は?初心者におすすめの勉強法
更新日:2025年2月23日
このページでは、行政書士の独学に必要な勉強時間や初心者におすすめの勉強法について解説します。
また、短期合格のコツや勉強スケジュール、勉強時間の配分など、実際に独学で合格した私の経験に基づき詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください!
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行政書士の独学に必要な勉強時間は?
では、行政書士試験に独学で合格するために必要な勉強時間から、解説していきます。
- 初心者の勉強時間の目安は、500時間(~800時間)
- 宅建合格者なら最短300時間で合格も可能
- 学習期間は6ヶ月~1年が標準的
初心者の勉強時間の目安は500時間(~800時間)
一般的に、初心者が行政書士試験に合格するためには、500時間の勉強時間が必要といわれています(※最近は800時間とする説も増えてきました)。
人それぞれ、法学部で法律を学んだことがあるかどうか、他資格の受験経験など予備知識がどれだけあるかなど違いがありますので、500時間というのはあくまでも目安になりますが、初心者の方は、とりあえず500時間を目処に勉強計画を立てていただければと思います。
下記の関連記事では、行政書士の勉強時間や難易度について、他資格と比較しながら解説していますので、気になる方はそちらも合わせてご覧ください。
宅建合格者なら最短300時間で合格も可能
宅建試験の合格者なら、最短300時間の勉強時間で合格することも可能です。
実際に私の場合は、宅建試験の受験勉強で、行政書士試験の重要な科目のひとつ「民法」を学習済みだったことから、独学で約240時間の勉強時間で行政書士に合格できました。
ですので、宅建試験や司法書士試験など、試験科目が被る資格試験の合格者なら、私のように300時間ほどの勉強時間で行政書士に合格することも可能なはずです。
学習期間は6ヶ月~1年が標準的
一般的に、行政書士に合格するためには6ヶ月から1年程度の学習期間が必要と言われています。
とはいえ、1日の勉強時間によって、この学習期間というのは大きく変わりますよね。
私の場合は、行政書士試験に独学で合格するまでの学習期間は、約4ヶ月間でした。
行政書士試験は、11月の第2日曜日に実施されますので、その4ヶ月前の8月から勉強を開始しました。
1日の勉強時間は何時間?何ヶ月で合格できる?
では、行政書士試験に合格するためには、1日に何時間ぐらい勉強すればいいのか、また、その勉強時間に応じて何ヶ月で合格できるのか、以下で解説していきます。
- 1日に3時間の勉強で半年、2時間なら9ヶ月かかる
- 3ヶ月の短期合格は非現実的、4ヶ月なら可能性あり
- 1日の勉強時間が多い方が勉強効率は高い
1日に3時間の勉強で半年、2時間なら9ヶ月かかる
行政書士の勉強時間が500時間とした場合に、1日の勉強時間によって、必要な学習期間がどのように変化するか整理すると、以下のようになります。
1日の勉強時間 | 学習期間 |
---|---|
3時間 | 半年 |
2時間 | 9ヶ月 |
1時間 | 1年半 |
例えば、1日に3時間の勉強時間が確保できるなら半年程度の期間になりますし、1日に2時間なら9ヶ月程度、1日に1時間しか勉強できないなら1年半程度の期間が必要になる、と考えていただければいいかと思います。
3ヶ月の短期合格は非現実的、4ヶ月なら可能性あり
もし仮に、最短3ヶ月(~4ヶ月)という短期合格を果たすには、どれぐらいのスケジュールで勉強しないといけないのでしょうか。
以下では、実際に3ヶ月の学習期間で進める場合のスケジュールの目安を紹介します。
3ヶ月で合格するための勉強スケジュール
3ヶ月で500時間というのは、社会人がフルタイムで働きながら勉強する場合、平日と土日で勉強時間に差が出るはずですので、1週間で40時間の勉強をする必要があると考えた方がわかりやすいですね。(40時間×4週×3ヶ月≒500時間)
例 | 3ヶ月で合格するための1週間の勉強時間 |
---|---|
例1 | (平日)3時間×5日=15時間 (土日)12.5時間×2日=25時間 1週間合計 40時間 |
例2 | (平日)4時間×5日=20時間 (土日)10時間×2日=20時間 1週間合計 40時間 |
いかがでしょうか?ちょっと現実離れしているように感じますよね。。
私の経験上、フルタイムで仕事をしている場合、平日の勉強時間は、どう頑張っても3時間が限界でしたし、休日は8時間ぐらいが限界でした。
もちろん、もっと勉強できる方もいらっしゃるかもしれませんが、この案は、本当に最悪のケースですよね。できることなら、もっと余裕を持って勉強したいですよね。
4ヶ月で合格するための勉強スケジュール
では、4ヶ月で500時間の勉強をしようとした場合は、1週間で30時間になります。(30時間×4週×4ヶ月≒500時間)
例 | 4ヶ月で合格するための1週間の勉強時間 |
---|---|
例1 | (平日)3時間×5日=15時間 (土日)7.5時間×2日=15時間 1週間合計 30時間 |
例2 | (平日)2時間×5日=10時間 (土日)10時間×2日=20時間 1週間合計 30時間 |
いかがでしょうか。平日に3時間なら、土日は7時間30分。平日に2時間なら土日は10時間ということになります。
正直、かなりハードなスケジュールには違いありませんが、頑張ればできないことはなさそうですよね。
勉強は、長期間になればなるほど大変ですが、4ヶ月という短期決戦なら、瞬発力で乗り切ろうと思えば乗り切れる期間です。
ということで、最短合格を目指すにしても、4ヶ月ぐらいの期間は見ておいた方がよさそうですね。
1日の勉強時間が多い方が勉強効率は高い
1日1時間で1年半勉強するのも、1日3時間で半年勉強するのも、勉強時間の合計は同じですが、その勉強効率は1日3時間の方が圧倒的に高くなります。
というのは、1日の勉強時間が少なくて長期戦になる場合は、覚えたことを忘れてからまた覚え直すサイクルが長くなってしまい、記憶の定着がなかなか進まないためです。
1日の勉強時間を長くして短期集中で勉強する方が、繰り返しのサイクルが早くなりますので、勉強の効率は格段に上がります。
このことは、私が司法書士の勉強をした際に、強く実感しました。1日の勉強時間が増えると、こんなにも勉強の捗り方が違うのか、と痛感しましたね。
1日の勉強時間が2倍に増えれば勉強が2倍捗るといった単純な話ではなく、3倍にも4倍にも効率が上がるイメージです。1回転するのが早くなればなるほど、記憶の定着が効率的に進むんですね。
忙しい社会人はスキマ時間を活用する
行政書士試験の勉強は、基本的には、仕事が終わってから勉強したり、朝早く起きて勉強することになると思います。
私も、仕事から帰ってきてから行政書士の勉強をしていましたし、管理業務主任者試験では、朝1時間早く起きて勉強していました。司法書士試験では、睡眠時間を削って勉強していたこともありました。
しかし、仕事で忙しい社会人は、なかなか勉強時間の確保が難しいと思います。
そこで、活用すべきは”スキマ時間”です。
- 通勤時間
- 昼休み時間
- 食事時間
- 移動時間
- 入浴中・布団の中の時間
通勤時間
私は、車通勤のため通勤時間は使えませんでしたが、電車通勤の方にとっては、電車の中で過ごす通勤時間は、勉強するには適した時間なのではないでしょうか。
昼休み時間
昼休みの時間もけっこう使えると思います。
私は、マンション管理士試験の際は、昼休みにスマホを使って勉強していました。
昼休みは1時間あったので、最低でも30分程度は時間が余りますよね。この時間に、休憩所でコーヒーを飲みながら、スマホで勉強していましたね。
食事時間
賃貸不動産経営管理士試験の際は、朝食(パン)を食べながらの時間や、その後のコーヒーを飲みながらの時間も、勉強時間にしていました。
移動時間
司法書士試験のときは、暗記事項をまとめた手のひらサイズの小さな紙切れを自分で作って、移動中に歩きながらチラチラ見ながら、何度も何度も暗唱して覚えていましたね。
入浴中・布団の中の時間
FPの試験では、入浴中や布団の中で、その日に勉強した内容を、ひととおり頭に思い浮かべて再生することで、記憶に定着させたりしていました。
このように、勉強に活用できるスキマ時間は、探せばいくらでもあります。
仕事で忙しく、なかなか勉強時間が確保できない方は、このようなスキマ時間をフル活用して、勉強時間を確保してみてください。
初心者の独学におすすめの行政書士の勉強法
それでは、初心者が独学で行政書士に合格するためのおすすめ勉強法について、具体的に紹介したいと思います。
独学で勉強を始めるには、まずテキストと問題集を選ぶところから始めます。
そして、自宅などで勉強時間を確保して、テキストを読んでインプット学習をし、問題集を解いてアウトプット学習をする、という形で勉強を進めていきます。
また、外出先などでスキマ時間を使って勉強することもできますね。
行政書士のおすすめ勉強法の全体の流れは下記のようになりますので、以下で順に解説していきます。
- テキスト・問題集を選ぶ(最低限、1冊ずつあればOK)
- テキストを通読して全体像を把握する
- 章ごとにテキストを読み、そこに対応する問題集を解く
- 問題集のみを解いていく(最低でも3回は解く)
- 模試を受験する(又は予想問題集を解く)
①テキスト・問題集を選ぶ
行政書士に独学で挑戦するためには、まずはテキスト選びから始めましょう。
そして、そのテキストに対応した問題集も併せて選びます。
独学の場合、最低限、テキストと問題集がそれぞれ一冊ずつあれば合格できます!
テキストの選び方
行政書士試験に独学で合格しようとする場合、テキスト選びはとても重要です。
以下の2点に重点を置いて選ぶのがおすすめです。
- 丁寧な解説がなされているか(憲法:判例、民法・行政法:法の理解)
- メリハリをつけて記述されているか(暗記事項・解説、図表、イラスト、事例、判例)
テキストを選ぶうえで最も大切なことは、初心者がイチから理解できるよう、丁寧に解説されていることです。
そして、判例が重要な憲法では、争点や判旨などが整理してわかりやすく記述されていること、また、法の理解が重要な民法や行政法では、法の趣旨や事例などわかりやすい解説がなされていること、がポイントになってきます。
ただし、ズラズラダラダラと書かれていても、最後まで読む前に挫折してしまいます。
たとえ最後まで読めたとしても、何を理解して、何を暗記すればいいのかわからず、頭に何も残りません。
このため、しっかりメリハリをつけて記述されていることが大切です。
メリハリというのは、暗記事項と解説との区別のほか、図表で整理したり、イラストを使ったり、事例で解説したり、判例の争点・判旨等の区別などの工夫も含みます。
以下の記事では行政書士の独学におすすめの初心者向けテキストや参考書を詳しく紹介していますので、気になる方はぜひ合わせてご覧ください。
- おすすめテキストはこちら⇒行政書士の独学におすすめのテキスト・参考書
問題集の選び方
問題集の選び方は、以下の2点に注意して選ぶのがおすすめです。
- 色んな種類があるが、分野別過去問題集が必須
- 原則、テキストと同シリーズの問題集を選ぶ
行政書士の問題集には、「分野別過去問題集」「一問一答問題集」「年度別過去問題集」など、いくつかの種類がありますが、この中で必須なのは「分野別過去問題集」です。
行政書士試験は、最低限「基本テキスト」と「分野別過去問題集」の組み合わせだけを、しっかり取り組めば、それだけで十分に合格できます。
このため、一問一答問題集や年度別問題集など、あまり手を広げずに、これと決めた基本テキストと分野別過去問題集に絞って学習するのが、合格への一番の近道です。
そして、原則、テキストと同シリーズの分野別過去問題集を選ぶことをおすすめします。
というのは、問題集にはテキストの参照ページが明記されています。解説を読んだだけではよくわからない場合や周辺知識を確認したい場合に、素早くテキストに戻って確認できるからです。
以下の記事では、行政書士の独学におすすめの問題集や過去問をまとめています。独学を検討している方は、ぜひ合わせてご覧ください。
- おすすめ問題集はこちら⇒行政書士の独学におすすめの問題集・過去問
②テキストを通読して全体像を把握する
まずは、行政書士試験の試験科目のうち、法令科目について基本テキストを一通り読みます。(一般知識については後述します。)
この際、テキストに出てくる条文は必ず六法で確認し、線を引くようにします(私は黒鉛筆で引いていました)。
一回目のテキストを読む際は、とにかくわからないことがあっても気にせずに、ドンドン読み進めるのがポイントです。
細かいところは気にせず、大雑把にイメージを把握するつもりで読み進めるのがいいと思います。細かいところを気にしすぎると前に進めなくなり、挫折してしまうおそれがありますので。。
③テキストを章ごとに読み、そこに対応する問題集を解く
テキストを一通り読み終わったら、次は問題演習に入ります。
ただし、ここですぐに問題集を解こうとしても、テキストの最初の方に書いてあったことなんてスッカリ忘れていますので、挫折感を味わうだけです。
このため、私は、再度テキストを章ごとに読み直してから、その項目に対応する問題集(過去問)を解く、という方法をおすすめします。
問題を解くことによって、テキストを読むだけでは理解できなかった部分も理解できるようになりますし、テキストには問題を解くために直接必要のない記述も含まれていますので、とにかく最初にテキストを読む際は、余計なところで引っ掛からないように注意してください。
なお、問題を解く際に、テキストに書いてあった内容が頭に浮かばないときは、必ずテキストの該当部分を読み直すようにします。
また、 参照すべき条文については六法で確認します。
④問題集のみを解いていく(最低でも3回は解く)
テキストと問題集の平行学習が終わったら、次は、問題集のみを再度解いていきます。
解くときの要領は、上記と同様です。
この問題集については、3回程度繰り返し解くことができれば、もう合格レベルに達しているはずです。
⑤模試を受験する(又は予想問題集を解く)
行政書士試験を受験する場合は、独学の場合であっても、模試(模擬試験)は受験しておいた方がよいと言われることがあります。
模試を受験することにより、自分の学習の進み具合の確認ができ、自分の苦手分野・弱点を把握できるからです。
また、順位が出ますので自分の実力を知ることができますので、ここで把握した弱点を、本試験に向けて集中的に補強していくことができます。
さらに、受験指導校が過去の出題傾向を分析したうえでの予想問題が出題されるため、その年の本試験に出題される可能性が高い問題を押さえることもできます。
そして、本試験と同じ時間・形式で行われるため、解答の時間配分やマークシートの解答形式、本試験での緊張感に慣れることなどの効果も期待できます。
私自身は、模試を受験するような時間的余裕がなかったため受験しませんでしたが、模試にはこのように様々な効果がありますし、1回受験するだけなら数千円で済みますので、時間が確保できる方は、受けるに越したことはないと思います。
模試としては、予備校が実施する模試を受験するという方法と、それに代えて予想問題集(模試)を解くという方法の2種類が考えられます。
それぞれ、以下のページで紹介していますので、参考にしてください。
【参考】基礎知識(旧:一般知識)の勉強法
ちなみに、基礎知識(旧:一般知識)については、私は試験の2週間前ぐらいからテキストを読みましたが、問題集は解きませんでした。
基礎知識の対策に無駄に時間を費やすことは避けるべきです。
試験直前期に最後の詰め込み学習として、「一般知識」「行政書士法等」「情報通信・個人情報保護」「文章理解」のうち、「行政書士法等」、「情報通信・個人情報保護」の分野を中心に、テキストを読み込んで、なんとか最低限の対応ができるようにしておけばよいと思います。
もちろん、日頃から社会に関心をもって、ニュースなどで情報取集をしておくというのが一番の対策だとは思いますが。。。
【参考】記述式の勉強法
なお、法令科目に関して、記述式の問題が3問出題されますが、私は特別な対策は何もしませんでした。
40字程度で解答文を作成するため、一問一答的な解答にしかなりませんので、択一対策の学習の中でしっかりと知識が身についていれば、ある程度の解答は書けると思います。
ただし、択一式はしっかり解けるのに、記述式はさっぱり書けないという方は、記述式に特有の解き方(テクニック)を身につければ対応できるようになるはずですので、「記述式問題集」を別途購入して対策することはとても有効だと思います。
勉強スケジュールと勉強時間の配分
それでは実際に、私がおすすめする勉強法に沿って具体的に勉強時間を配分し、スケジュールを組んでみたいと思います。
テキストを読む時間(1周80時間)
まず、行政書士の基本テキストは、800ページ前後のものが主流ですので、800ページとしておきます。
そして、1時間に読めるページ数は、私の場合10~15ページぐらいですので、ここでは10ページと仮定しておきます。
800ページを1時間に10ページのペースで読むと、テキストを通読するのに80時間かかることになります。
問題集を解く時間(1周100時間)
次に、問題集です。問題集の収録数は、五肢択一式(選択式・記述式を含めて)の厳選問題集の場合は300問程度のものが主流ですが、ここでは過去10年分の過去問を解くと仮定し、600問としておきます。
そして、1時間に6問(1問10分)解くとすると(解説を読む時間も含みます)、全問を解き終わるのに100時間かかることになります。
具体的な勉強スケジュール表(トータル500時間)
- テキストを読む ⇒ 80時間
- 問題集を解く ⇒ 100時間
※繰り返すたびに、100時間→90時間→80時間→70時間と、スピードが速くなると仮定します。
以上を前提に、どれぐらいの勉強時間になるのかスケジュールを組んでみると、次のようになります。
勉強内容 | 勉強時間 |
---|---|
テキストを通読する | 80時間 |
章ごとにテキストを読み、そこに対応する問題集を解く | 80時間+100時間 = 180時間 |
問題集のみを解いていく(3回) | 90時間+80時間+70時間= 240時間 |
合計 | 500時間 |
以上のようなスケジュールになり、概ね500時間の勉強時間になってきますね。
スケジュールは柔軟に見直しを
上記はあくまでも、ひとつの例ですので、実際にこれと同じようにスケジュールが進むわけではありませんが、参考にしていただければと思います。
実際の勉強スケジュールの組み方としては、まずは大まかなスケジュールを立てたあと、ひとまず勉強を始めてみて、自分が1時間で何ページぐらい読めるのか、そして1時間に何問ぐらい解けるのかを確認しながら進めていきます。
その後、そのペースに基づいて、随時スケジュールを見直していく、というスケジュールの組み方をするのが良いかと思います。
スケジュールに余裕があることがわかれば、過去問を解く回数を増やしたり、五肢択一の過去問のほか、肢別過去問集を採り入れることなども検討すればいいと思います。
逆に、スケジュールが間に合わないことがわかれば、過去問を解く回数を(科目に応じて)減らすことや、そもそも使う過去問を、収録問題数が少ない厳選された過去問集に変更することなどを検討しながら、随時スケジュールを見直していけばいいかと思います。
- おおまかなスケジュールを立てる。
- 勉強を進めながら、1時間で何ページ読めるのか、何問解けるのかを確認する。
- 随時スケジュールを見直す。
⇒余裕があるなら、過去問を解く回数を増やすことや、別の過去問集を採り入れることなどを検討
⇒間に合わないなら、解く回数を減らすことや、厳選問題集に変更することなどを検討
独学で短期合格するコツと注意点
次は、行政書士試験に独学で短期合格するためのコツと注意点について、下記でお伝えしたいと思います。
独学を進めるうえで注意しておきたいポイントは主に以下の5つです。
- 知識はテキストに集約する
- 問題集を解くことでテキストの記憶をする
- テキストの確認した箇所に線を引く
- わからなくても、気にせず前に進むこと
- 基礎知識科目は最小限に/行政法・民法を重点的に
- 勉強のモチベーションをいかに維持するかがポイント
①知識はテキストに集約する
上記の勉強法③のところで、「問題集を解く際に、テキストに書いてあった内容が頭に浮かばないときは、必ずテキストの該当部分を読み直すようにします。」と書きました。
行政書士試験は、ほぼほぼ暗記試験です。知識として頭に入っているかどうか、試験問題を解く際に、その知識を思い出すことができるかどうか、が問われる試験です。
思い出すときは、必ずテキストを思い出すようにします。問題集の解説を思い出すわけではありません。
テキストと問題集に記憶が分散してしまうと、正確な知識にならずロスが出てしまいます。
また、問題集で覚えると、体系的な知識になりません。バラバラで継ぎはぎの知識にしかならないんです。
必ずテキストを思い出すことを徹底することで、知識がテキスト1ヶ所に集約され、体系的な知識にすることができます。
そうすることで、同じ論点でも異なる角度から問われるような問題や、少し応用的な問題にも対応できるようになるはずです。
②問題集を解くことでテキストを記憶する
問題集を解くことは、テキストの知識を記憶に定着させるための手段です。
テキストを読むだけではなかなか知識を定着させることができませんが、記憶を何度も出し入れすることで、定着させることができます。
問題を解くことで、目の前にテキストがない状態で、テキストの内容を思い出す練習ができるわけです。
問題を解く際に、テキストの内容が頭に浮かんでこなければ、必ずテキストを読み返すことを徹底しましょう。
問題演習とは、思い出す訓練です。問題を解くことで、テキストを記憶するんです。
そして、その問題で直接問われている知識だけでなく、関連知識もすべて頭に浮かべられる状態にまで記憶していきます。(関連知識というのは、過去問の解説ページで整理されているような周辺知識のことです。)
これは、私にとって、暗記系資格の勉強における鉄則だと思っています。
③テキストの確認した箇所に線を引く
曖昧な知識を確認するためにテキストを読み返したときは、そのポイントとなる箇所に鉛筆やマーカーなどで線を引くようにしましょう。
私は、行政書士試験の勉強の際は、マーカーで線を引いていましたが、最近は(司法書士試験やFP試験)、鉛筆(シャープペン)だけで線を引くようになりました。
マーカーで引くと、引き間違いや引き過ぎなどの修正がしにくいことや、強弱の変化を付けにくいというのが理由です。
マーカーで色分けをすれば、意味合いに変化を持たせることもできますが、私はちょっと面倒くさいので、シャープペンで、下線のみ、四角く囲む、丸く囲む、など変化をつけています。
また、何度読んでも記憶に残っていないところは、そこを確認するたびにシャープペンで何重にも線を引いたり、グリグリ囲ったりしながら、頭に叩き込んでいくことができるので、私は鉛筆(シャープペン)で線を引く方が好きです。
④わからなくても気にせず前に進むこと
独学の場合は、通信講座や通学講座を受講する場合と違って、わからないことがあっても講師に質問することはできません。
このため、わからないことが出てきた場合は、自分で悩むか参考書を調べるか、ネットで検索するなど、自分で解決するしかありません。
ただし、ここで深入りをしてしまうと、さっぱり前に進まなくなってしまいますので、これが独学の大きな落とし穴になります。わからないから悩む、、そして、解決できずに投げ出す。。。
こうならないようにするためには、気にせず前に進むことです。とにかく進める!
悩み込んでしまってはいけません。
何度も繰り返すうちに、わかることが多くあります。テキストでわからなくても、問題集を解けばわかることもあります。一度解いてもわからなくても、二度目に解いたらわかることもよくあります。
ですので、とにかく悩み込むんでしまうこと、これが一番ダメです。この点には、くれぐれも注意してください。
⑤基礎知識科目は最小限に/行政法・民法を重点的に
行政書士試験は、「絶対評価」が採用されており、法令科目で50%以上、かつ、基礎知識科目で40%以上、かつ、総合得点で60%以上(=180点以上)が得点できれば合格です。
この合格点を効率的に超えるためには、コツがあります。
配点も足切り点も低い基礎知識科目の対策は最小限にとどめる
行政書士試験は法令科目と基礎知識科目に分かれています。
科目 | 配点 | 基準点 |
---|---|---|
法令科目 | 244点 | 足切り点 122点(50%) |
基礎知識科目 | 56点 | 足切り点 24点(40%) |
合計 | 300点 | 合格点 180点(60%) |
法令科目は、全体300点の配点のうち244点を占めており、最低でも122点の得点が必要です。
一方、基礎知識科目は、全体300点のうち56点の配点しかなく、そのうち24点以上を取れば足切り点がクリアできます。
このように、基礎知識科目は配点が少なく、足切り点も低めに設定されていますので、多くの勉強時間を注ぐのは効率が悪いですよね。
基礎知識は出題範囲が無駄に広く、掴みどころのない科目です。高得点を狙おうとすると多くの学習時間を費やす必要があるため、足切りに引っ掛からないように最低限の学習で済ませるのが効率的です。
このため、法令科目を中心に対策するようにしましょう。
法令科目のうち特に配点の高い行政法と民法を重点的に勉強する
法令科目244点のうち、「行政法」は112点、「民法」は76点の配点があり、この2科目の合計188点で法令科目の77%、試験全体の63%を占めています。
法令科目 | 五肢択一式 | 多肢選択式 | 記述式 | 合計 |
---|---|---|---|---|
憲法 | 20点 | 8点 | - | 28点 |
行政法 | 76点 | 16点 | 20点 | 112点 |
民法 | 36点 | - | 40点 | 76点 |
商法(会社法) | 20点 | - | - | 20点 |
基礎法学 | 8点 | - | - | 8点 |
合計 | 160点 | 24点 | 60点 | 244点 |
つまり、この行政法と民法だけで、合格点の180点を超えるということです。(ただし、基礎知識で足切りを超える必要はあります。)
行政法と民法は、基礎知識のような掴みどころのない科目とは違い、試験範囲をしっかり勉強すれば確実に点数が取れる科目です。
勉強すれば勉強しただけ得点できますので、この2科目にしっかりと勉強時間を割いて、確実に高得点できるように仕上げるのが、行政書士試験合格のカギといえますね。
⑥勉強のモチベーションをいかに維持するかがポイント
勉強のモチベーションが下がったときに、どうやってモチベーションを上げればいいか、私自身の経験をもとに、挙げてみたいと思います。
- 友人や家族など周りの人に、行政書士試験を受験することを公表する。
周りの人に言ってしまうと、不合格になると恥ずかしいという気持ちから、頑張ろうという気持ちになりますよね。 - SNSで勉強アカウントを作る。
X(Twitter)で勉強アカウントをつくるのもいいですね。
毎日(毎週)、勉強の進捗をポスト(ツイート)することで、フォロワーに監視されているような気持ちになりますし、お互いに「いいね」を押し合って励まし合いながら勉強を続けることができます。 - 勉強する場所を変える。
いつも同じ場所で勉強していると、だらけてしまいますが、そんな場合は勉強する場所を変えるのもいいかもしれません。
喫茶店や図書館などで勉強してもいいですし、外に出るのが難しければ、家の中で、違う部屋に移動するだけでも気分転換になるのではないでしょうか。
私はよく、コワーキングスペースを利用しています。家に比べると、集中力が断然上がります。 - 何のために行政書士試験の合格を目指しているのか思い返す。
そもそも何のために行政書士の合格を目指しているのか思い返してみれば、またやる気もアップしてきます。 - 合格したら〇〇をする。といった計画を立てる。
合格したらご褒美で旅行に行くとか、ご馳走を食べに行くとか、色んな計画を立てるというのもいいですね。 - 1日に〇時間必ずやると決める。または、〇ページ必ず読むと決める。
具体的に数値目標がある方が、やる気が出ますよね。達成感も出ます。 - 根を詰めないで余裕をもって。休憩を取りながら。
あまり根を詰めすぎると、精神的にも体力的にも持ちませんので、ほどほどに。 - 勉強の記録をつける。
今日は何ページ進んだ、何時間勉強した。という記録を毎日つけましょう。これをすると、達成感が出ます。逆に、今日はあまり進まなかった、、明日はがんばろう!という気持ちにもなります。 - 勉強が遅れてきたら、随時スケジュールを見直す。
スケジュールどおりに進まないから、もうダメだ、、間に合わない。。とすぐに諦めてはいけません。ここからが勝負どころです。ここで踏ん張れる人が合格するんです。スケジュールどおり勉強できる人なんていません。妥協できるところは妥協して、最低限・最小限の勉強内容に絞り込んで、スケジュールを見直しましょう。
独学で行政書士に挑戦する場合、実は、勉強を続けるモチベーションを維持することが一番大変です。
行政書士試験に合格できるかどうかは、モチベーションを維持できるかどうか、にかかっているといっても過言ではないと思います。
つまり、最初に立てたスケジュールどおりに勉強できれば、きっと誰でも合格できると思うんです。
しかし、スケジュールどおりに勉強ができる人なんて、ほとんどいないと思います。私もそうです。
私の場合は、スケジュールを崩しながらも、なんとかスケジュールの修正を繰り返し、ぎりぎりのラインで最後の仕上げまで持っていってゴールを迎えるというパターンが多いです。
とにかく、最低限、テキスト1周+問題集2~3周は回せるように、試験当日まで勉強を続けないといけません。
行政書士は独学で合格できる?
ここで改めて、そもそも行政書士試験は独学で合格できるのかどうか、不安に感じる方が多いかもしれませんが、行政書士は独学でも合格できます。
独学でも十分に合格できる理由
独学でも行政書士に十分合格できると考えるには、主に以下の理由があります。
- 市販教材が十分に揃っている
- 合格に必要な情報・知識は市販教材だけで手に入る
理由①:市販教材が十分に揃っている
行政書士は人気資格であり、受験者数がとても多いため、各社から市販教材が数多く出版され、合格に必要なテキスト・問題集が十分に揃っています。
受験者数が少ない資格の場合は、市販教材の品揃えが悪く、十分な知識・情報が得られないことも確かにあります。
しかし、行政書士は、受験対策に必要なテキスト・参考書・六法・過去問・一問一答・予想模試・アプリなど、択一対策から記述対策まで全てにおいて、市販教材が十分に揃っています。
理由②:合格に必要な情報・知識は市販教材だけで手に入る
私自身、これまでに、行政書士・宅建士・土地家屋調査士などの国家試験に合格してきましたが、すべて市販教材に載っている知識だけで合格できました。
資格予備校や通信講座を受講しないと手に入らない知識や情報があるんじゃないの?と疑問を抱く方もいらっしゃるかもしれません。
私も昔は、そんな風に思っていました。
市販教材の多くは資格予備校が出版しているわけですから、予備校は講座を受講してもらうために、本当に重要な情報は市販教材に載せてないんじゃないの?合格の決め手になるような重要な知識は、講座を受講しないと教えてくれないんじゃないの?と。
しかし、私の経験上、そんな疑問・不安は、すべて払拭されました。
独学だからといって心配することはありません。合格に必要な情報・知識は、すべて市販教材に載っています。
事実、私を含め多くの人が独学で合格している
そうは言っても、本当に独学で合格できるの?とまだ疑う方もいらっしゃるかもしれませんね。
今の時代、ネットで検索すればすぐにわかりますが、独学で合格している方は数多くいらっしゃいますし、私自身も独学で合格することができました。
行政書士試験の合格率は、例年10%程度で推移していますが、他の有名な国家資格は、以下のとおり4%~20%の合格率で、10%を切るような難関資格も多く存在します。
- 司法書士試験: 4%
- 社会保険労務士試験: 6%
- 土地家屋調査士試験: 9%
- マンション管理士試験: 9%
- FP1級試験:10%
- 宅建士試験:15%
- 管理業務主任者試験: 20%
このように、行政書士の合格率10%というのは、他の国家資格と比較した場合、そこまで難しい難易度ではありません。
また、行政書士ほどの人気資格となれば、大して勉強せずに受験する方も多いので、10%という数値に、そこまで惑わされる必要はありません。
一定期間、しっかりと勉強に取り組めば、独学でも十分に合格できます。
ただし、独学には乗り越えないといけない壁がある
独学は、コストが安く済み、誰でもいつでも手軽に始められるメリットがある一方で、独学には、乗り越えないといけない壁(デメリット)がいくつもあります。
これがないと、予備校や通信講座が存在する意味がありませんからね。
- どの教材を選べばいいかわからない。
- テキストを自分で読み進めないといけない。
- 教材の使い方がわからない。
- 今の勉強法で合っているのか不安。
- 自分でスケジュール管理をしないといけない 。
- わからなくても質問できない。
- モチベーションを維持するのが大変。
このように、独学のメリットに比べ、挙げればキリがないほど数多くの壁(デメリット)が存在しています。
独学の場合、こういったデメリットを乗り越えないといけません。
正しい勉強法なら独学でも合格できる!
しかし、当サイトは、「独学で資格取得」をテーマとしており、私自身も独学特有のデメリットに悩まされ、あれやこれやと試行錯誤を繰り返しながらも、独学で行政書士試験に合格しました。
独学で勉強する場合、誤った勉強法では合格できません。合格できたとしても、ものすごく時間がかかってしまいます。
しかし、正しい勉強法で勉強すれば、独学でも合格できます!
当ページを参考に、安心して独学で行政書士試験にチャレンジしてください。
行政書士の勉強時間と勉強法まとめ
以上、行政書士に独学で合格するための勉強時間や勉強法について紹介してきました。
最後に、ここまでの内容を整理しておきたいと思います。
- 勉強時間の目安は500時間 (~800時間)
- 勉強期間は半年~1年程度が標準的
- 4ヶ月の短期合格も、頑張れば可能
- 忙しい社会人はスキマ時間を活用する
- 最低限、基本テキストと分野別過去問題集が一冊ずつあれば合格できる
- おすすめの勉強法は、テキストを通読→テキストを章ごとに読み直しながら対応する過去問を解く→問題集だけを再度解く(3周)
- 独学でも、模試の受験(又は予想問題集)は、取り組んだ方がよい
- 独学では、悩み込むんでしまうことが一番ダメ。とにかく前に進むこと。
- 問題集を解くことでテキストの記憶をする。テキストを確認した際には線を引く。
- モチベーションの維持が一番大変なため、維持するための工夫が必要
独学は、確かに通信講座や通学講座を受講する場合に比べ、デメリットも多くありますが、多くの方が独学でも合格しているという事実があります。
私自身も、宅建の受験経験があったとはいえ、4ヶ月間の独学で行政書士に合格することができました。
このページでは、私自身の経験を踏まえ、独学特有のデメリットを払拭できるよう記載しましたので、この記事を参考に、行政書士試験に独学でチャレンジし、見事に合格を勝ち取ってください!
独学にかかった費用
ちなみに、私が行政書士試験対策に要した費用は、テキスト・問題集・六法の購入費用として、1万8千円でした。
独学ならではのお安さに収まっています!
このほかに、行政書士試験の受験手数料として、10,400円(私が受験した当時は7,000円)がかかります。
私が実際に購入したテキスト等の教材は以下のとおりです。
【テキスト 4冊】
- LEC「出る順行政書士 合格基本書」
→ 別のテキストに乗り換えたため、ほとんど使用しませんでした。 - 週刊住宅新聞社「うかるぞ行政書士 基本テキスト」(現在は絶版)
→ メインのテキストとして使用しました。 - 週刊住宅新聞社「うかるぞ行政書士 行政法入門講座」(現在は絶版)
→ 行政法の理解を深めるために使用しました。 - LEC「出る順行政書士 重要事項総まとめ」
→ 一般知識の補強に使用しました。
【問題集 3冊】
- LEC「出る順行政書士 ウォーク問過去問題集」2冊
→ メインの問題集として使用しました。 - LEC「出る順行政書士 直前予想模試」
→ 試験直前期に、解答の時間配分等を確認するために使用しました。
- LEC「行政書士 合格六法」
→ メインの六法として使用しました。 - ダイエックス「行政書士マスター六法&判例」(現在は絶版)
→ 判例を引くために使用しました。
独学による受験結果
最後に、私が独学で行政書士試験を受験した結果を掲載しておきます。
合格通知
平成19年度合格 : 300点満点中、204点(択一式:180点、記述式24点)
※ 合格ライン:180点以上
合格証書
行政書士試験の合格証書です。総務大臣と県知事の名で発行されています。
独学が不安な方は通信講座もおすすめ
なお、独学が不安な方や、短期合格を目指したい方には通信講座もおすすめです。
下記の記事では、行政書士のおすすめ通信講座を徹底的に比較してランキング形式で紹介しています。費用の安さや合格率の高さ、サポートの充実度など項目別のおすすめ講座も紹介していますので、参考にしてください。
- 行政書士のおすすめ通信講座ランキング
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