司法書士試験の記述式対策 - 答案構成用紙の使い方【独学講座】
司法書士試験の受験生にとって、記述式試験における答案構成用紙の使い方(メモ書きの仕方)は、頭を悩ませる部分だと思います。
特に、独学者にとっては情報の収集源は限られるため、なかなか、これだ!と思える手法に辿り着くことは難しいかと思います。
そこで、このページでは、私なりに試行錯誤のうえ落ち着いた答案構成用紙の使い方をご紹介したいと思いますので、参考にしていただければ幸いです。
【執筆者】 |
執筆者紹介 |
司法書士の記述式対策
市販テキストと私の答案構成
司法書士の記述式試験における答案構成(メモ書き)について解説した市販テキストとしては、以下の3冊が有名です。
記述式の市販テキストの特徴
まずは、「答案構成用紙」の生みの親である山村講師(伊藤塾)の「うかる!司法書士 記述式答案構成力」が、王道ですね。
続いて、松本講師(辰已)の「リアリスティック記述式」や、小玉講師(元 辰已)の「超速解 司法書士試験記述式」も有名です。
- 上記3冊については、「司法書士の独学におすすめのテキスト」内の『記述式解法テクニックのおすすめ参考書』のところで詳しくご紹介しています。
- 記述式答案構成力⇒ 答案構成用紙に事実関係・登記事項の双方をメモ書きする
- リアリスティック記述式⇒ 答案構成用紙に登記事項のみをメモ書きしつつ、答案用紙そのものにも適宜メモ書きする
- 超速解記述式⇒ 答案構成用紙は使用せず、問題用紙に直接、登記事項をメモ書きする
私が辿り着いた答案構成
私自身、上記3冊を読んだうえで色々と試しながら、ようやく自分なりに答案構成用紙の使い方が落ち着いてきました。
私は、記述対策のメインテキストとしては、「オートマシステム〈記述式〉」を使用していましたので、テキストに直接メモ書きすると復習できなくなるため、自然と「答案構成用紙に登記事項のみをメモ書きする」という手法になりました。
それでは以下で、令和2年度(2020年度)の司法書士試験の記述式問題を題材として、具体的に、不動産登記法・商業登記法の答案構成用紙の使い方(メモ書きの仕方)について、紹介していきたいと思います。
なお、当ページに記載の手法を参考にされるかどうかは、ご自身でご判断くださいますようお願いします。
記述式対策【不動産登記法編】
- 答案構成用紙の使い方 -
では、不動産登記法の記述式における答案構成用紙の使い方から始めたいと思います。
まず、私なりのメモ書きの流れは以下のようになります。
- 提示された登記記録をメモ書きする。
- 事実関係の中から登記事項と考えられる事項をメモ書きする。
- メモ書きした登記事項のうち、申請が必要なものを〇(1回目)又は△(2回目)で囲み、申請順に番号を振る。
という手順になります。
1-1.登記記録をメモ書きする。
① 別紙1として、甲土地の登記事項証明書が提示されていますので、これを簡略化して答案構成用紙にメモ書きする。
1-2.事実関係からメモ書きする。
② 事実関係1・2より、相続関係説明図をメモ書きし、法定相続分、遺贈内容をメモ書きする。
③ 事実関係1・4・9より、遺言書の内容に更正するために、更正登記をメモ書きする。また、事実関係4より、Dに登記識別情報なしを追記する。
④ 事実関係8・9より、根抵当権設定をメモ書きする。
1-3.申請が必要なものを〇で囲み、申請順に番号を振る。
⑤ 以上が第1回目の申請分となりますので、申請が必要なものを〇で囲み、申請順に番号を振る。
2-1.登記記録をメモ書きする。
⑥ 次は、第2回目の申請分です。事実関係10より、別紙5で示された甲建物の登記記録をメモ書きする。
2-2.事実関係からメモ書きする。
⑦ 事実関係11・12より、Dの住所変更をメモ書きする。
⑧ 事実関係13より、乙建物への共同根抵当権設定と、その前提となる保存登記をメモ書きする。
2-3.申請が必要なものを△で囲み、申請順に番号を振る。
⑨ 以上が第2回目の申請分となりますので、申請が必要なものを△で囲み、申請順に番号を振る。
以上、これで答案構成用紙へのメモ書きは完了です。
登記の申請人、登記権利者、登記義務者を間違えないように注意しながら答案用紙に書き込んでいきます。
記述式対策【商業登記法編】
- 答案構成用紙の使い方 -
それでは次は、私なりの商業登記法記述式の答案構成用紙の使い方についてご紹介したいと思います。
まず、全体の流れとしては、
- 登記記録と定款からメモ書きする。
- 株主総会議事録、取締役会議事録、聴取記録等から登記事項をメモ書きする。
- 役員について検討する。
といった手順になります。
1-1.登記記録と定款からメモ書きする。
別紙1の登記記録と別紙2の定款の中から、重要な事項と役員をメモ書きする。
メモ書きする重要な事項と役員
- 株式会社かどうか、公開会社かどうか、取締役会設置会社かどうか、(株券発行会社かどうか←株券発行会社なら「券」とメモします)
- 発行可能株式総数、発行済株式総数
- 資本金の額、大会社かどうか
- 定足数の排除など←忘れないようにメモ書きしています。
- 役員
※ 縦の実線は、定時株主総会のタイミングで引いています。
※ 定款で、員数の定めがある場合は、それもメモします。
1-2.議事録、聴取記録等から登記事項をメモ書きする。
議事録、聴取記録等から登記事項をメモ書きする。
- 別紙3 定時株主総会議事録からは登記事項なし
- 別紙5 辞任届より、監査役Eの辞任を書き込む。
- 別紙6 臨時株主総会議事録、聴取記録より、メモ書きする。
メモ書きの際は、株主総会や取締役会などの出来事ごとに□で囲み、その下に「登記の事由」に相当する部分を〇で囲み、その横に効力発生日をメモ書きし、その下に「登記すべき事項」に相当する内容をメモ書きするようにしています。
ただし、株式の数・資本金の額が変動する場合は、左上のところにまとめて変更内容を書いていくようにしています。このため、「発行」や「組入れ」のところに「←」とメモしています。
1-3.役員について検討する。
役員の変更を検討してメモ書きし、申請できる役員変更登記を〇で囲む。
ここまでが、第1回目の申請分です。私は、商業登記法については、1回目の申請分だけで、まずは答案用紙を作成してしまいます。
2回目申請分を書き込んでいくと、役員変更の部分がごちゃごちゃしてきますので、一旦、解答を作成してしまった方がよいのではないかと思います。
では次は、第2回目の申請分に移っていきます。
2-2・3.議事録、聴取記録等から登記事項をメモ書きし、役員についても検討する。
別紙8、別紙9 臨時株主総会議事録、取締役の互選書より、メモ書きする。役員についても検討し、登記できる役員変更登記を△で囲む。
これで、2回目申請分の答案構成が完了です。これに基づいて、答案用紙に解答を書きこんでいきます。
司法書士の記述式対策
答案構成用紙の使い方【まとめ】
いかがでしたでしょうか。答案構成用紙を使ったメモ書きの仕方は、人それぞれ、自分がやりやすいと思う方法で、自分が間違えやすい部分を、いかに間違えないようにメモ書きするか、を考えながら、少しずつ身についてくるものだと思います。
上記でご紹介した答案構成用紙の使い方が、皆さんの参考になったかどうかわかりませんが、それぞれご自身で自分に合ったメモ書きの仕方を練り上げてみてください。