司法書士試験の暗記メモ・関連知識の覚え方(暗記マーカー機能付き)【独学講座】
更新日:2024年8月16日
司法書士試験の受験勉強では、よく似た制度・混同しやすい知識を比較しながら覚えることがとても大切です。
このページでは、こういった”特に暗記対策が必要となる知識”について、私自身が司法書士試験に合格した年度に作成した暗記メモに基づき、その内容を整理して紹介したいと思います。
なお、私は、2020年度及び2021年度の司法書士試験において、択一式で9割を超える知識レベルでしたが、当ページの掲載内容を参考にされる場合は、くれぐれもご自身でテキストを確認のうえ、ご利用いただきますようお願いします。
また、その後の法改正も確認していますが、誤った情報を発見した場合は、管理人までお知らせいただけますと幸いです。⇒メールフォーム
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【修正履歴】
2024.6.14 【雛形】抵当権の一部系の「根抵当権の準共有者XYのYに弁済」の記載を修正
2024.8.16 消滅時効・取消期間など数字モノの「嫡出否認の訴え」の出訴期間の法改正を反映
【執筆者】 |
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司法書士試験の暗記対策
司法書士試験の受験勉強では、その知識が何の知識なのか、よく似た制度・混同しやすい知識を比較しながら覚えることがとても大切です。
このため、テキストの余白などに、関連するページ番号をメモ書きするなど、関連知識のリンクを張りながら勉強することが必要になります。
ただし、関連ページが多くなりすぎる場合や、別途まとめて整理した方がわかりやすい場合は、別の場所に書き出した方が効果的に覚えられます。
私は、こういった”特に暗記対策が必要となる知識”について、別途メモに書き出して、移動中などのスキマ時間に、何度も何度も暗唱し、混同しやすい知識を固めていきました。
こうすることで、それまで苦手だった分野が一気に得意分野に転換することを実感しました。
ということで、以下では、実際に私が作成した暗記メモをベースに関連知識を整理しましたので、「民法・不動産登記法編」、「会社法・商業登記法編」、「民訴・民執・民保・司法書士法・刑法編」の3つに分けて紹介していきます。
暗記メモ・覚え方
民法・不動産登記法編
対象となる権利
様々な制度で、所有権や地上権など、どの権利が対象になるのかについて、記憶に定着させるのがなかなか難しかったため、別途書き出して暗記しました。
時効取得できる権利
即時取得できる権利
買戻特約
抵当権が設定できる権利
質権が設定できる権利
不動産売買の先取特権の対象権利
代価弁済の対象となる権利
抵当権消滅請求の対象となる権利
信託の目的
善管注意義務でないもの(自己と同一の注意)
善管注意義務か、自己と同一の注意でいいのか、という論点については、基本的には善管注意義務が適用されますが、例外的に、自己と同一の注意でいいものがありますので、それを別途書き出して覚えるようにしました。
なれない人(会社法・司法書士法に関連あり)
司法書士試験では、欠格事由などで、その制度の対象者に「なれない人」というものがよく出てきます。これは、民法だけでなく会社法や司法書士法でも登場してきますので、覚えるのがかなり厄介です。
ですので、別途書き出して覚えるようにしました。ちなみに、ここでは民法だけを記載していますが、関連として、会社法・司法書士法のところにも登場してきます。
民法と司法書士法では「未成年者・破産者」がベースになるイメージで、会社法では「法人」がベースになりますね。⇒ 会社法の「なれない人」、司法書士法の「なれない人」
公正証書遺言・秘密証書遺言の証人(立会人)
遺言執行者
後見人
後見監督人
信託の受託者
権利能力なき社団がなれるか
上記の「なれない人」に類似した観点のものですが、権利能力なき社団(法人格なき社団)が、なれるかなれないか、という論点です。
なれない
なれる
引き直しできるか
登記を申請する際に、法定の上限を超えた登記原因証明情報を添付して、法定の上限まで引き下げて登記申請ができるかどうか(引き直しができるかどうか)という論点で整理したものです。
ここに登場したものだけでいえば、10年以内のものは引き直し可、5年以内のものは引き直し不可、という形で整理できます。
引き直し可
引き直し不可
死亡で効力を失うか
これは、別途整理するほど複雑な論点ではありませんが。
使用貸借
定期贈与
できない人
債務者が、できるかできないかという論点については、意外に混同してしまうため、整理しました。
抵当権消滅請求・根抵当権消滅請求
極度額減額請求・代価弁済
競売の買受人
所有権仮登記・買戻権
このふたつの権利は、なにかと特別扱いになっていますので、整理しました。
名変登記
印鑑証明書
後れる登記・抵触する登記の抹消方法
この論点は、各制度でそれぞれ取扱いが異なっていて、比較して覚えないと覚えられないと思ったため、整理しました。
買戻し
時効取得
仮登記の本登記
仮処分
差押え後
利害関係人
この論点は、考えればわかる、といったあいまいな知識で長い間過ごしていましたが、実際に出題された場合に自信を持って解答できるようにするには、ガチッとした知識が必要と考え、整理して覚えることにしました。
仮登記
仮処分
債権額(極度額)の変更
順位変更
用益権の変更、抹消
区分地上権の設定
抵当権の譲渡・放棄
消滅時効・取消期間など数字モノ
暗記モノの定番、数字モノです。こういう暗記事項は、別途書き出して、スキマ時間などに繰り返し覚えるしかないですね。
区分 | 起算点 | |
---|---|---|
(A) | できるを知った時から | できる時から |
(B) | 追認可能時から | 行為時から |
債権
不法行為の損害賠償請求権
生命、身体の損害賠償請求権
「債権・所有権」以外の財産権
確定判決後
取消権
詐害行為取消権
相続回復請求権
相続の承認・放棄の取消
遺留分侵害額請求権
特別寄与料
婚姻・離婚の詐欺・強迫による取消
養子縁組の詐欺・強迫による取消
復氏
嫡出否認の訴え
強制認知
財産分与請求権(協議に代わる処分)
滞納シリーズ
収益なしシリーズ
2ヶ月・2年シリーズ
〇親等内の親族シリーズ
5年シリーズ
重過失or有過失
細かい論点ですが、民法改正の絡みでバリエーションが増えて混乱したため整理しました。
錯誤で表意者に重過失がある場合
顕名なき代理
代理人の権限濫用
表見受領権者
譲渡制限特約に違反
相殺禁止特約に違反
第三者弁済禁止特約に違反
契約不適合責任の1年以内の通知(種類・品質)
競売の契約不適合責任の損害賠償請求
遺言執行者に反する行為
共同親権で一方の意思に反して共同名義で代理行為
差押え禁止債権に対して、できないもの
差押え禁止債権や、譲渡制限特約付き債権などに対して、できるもの、できないものがあちこちで出てきますが、できないものは、とりあえずこの2つぐらいかなと思います。
一般債権者ができるか
A→Bへの通謀虚偽表示による所有権移転登記請求権を、Bの一般債権者であるCが代位行使
cf.A→Bへの通謀虚偽表示による所有権移転登記請求権を、Bから善意無過失で所有権を取得したCが、Bに代わって代位行使
債務者BがAに対して負担している債務について、Bの一般債権者Cが、消滅時効を援用
債務者BがAに対して負担している債務について、Bの一般債権者Cが、消滅時効の援用を代位行使
借家人ができるか
通謀虚偽表示により取得した土地上に建てられた建物の借家人は、善意の第三者に該当するか
借家人が、土地の取得時効を援用できるか
借家人が、建物買取請求権を代位行使できるか
借家人が、土地所有者に代わって土地の賃料を第三者弁済できるか
放棄・撤回できない
テキストを何回も繰り返していくと、 放棄できない、撤回できない、という表現があちこちで出てくることに気づきます。これは、例外も含めて整理しておく必要があると思い、整理しました。
あらかじめ放棄できない
放棄できない
撤回できない
検察官の登場
【○】は検察官が登場する。【×】は検察官が登場しない。
【雛形】一般承継人からの申請・相続登記など
ここで少し記述式の雛形が混ざり込んできてしまいました。
基本事項ではありますが、よく似たパターンが出てきますので、混同しないようにしっかりと覚える必要がありますね。
ちなみに、「亡A(改行)上記相続人B」と書く場合と、「亡A相続人B」と書く場合の違いは、「亡A」が登記名義人になるかどうか(「亡A」の住所も記載する必要があるかどうか)の違いとして、私は理解しています。
下記の例でいうと、「亡A」が登記名義人になる場合というのは、「亡A」名義とする保存登記と移転登記(権利者)であり、「亡A」が登記名義人にならない場合というのは、名変登記と移転登記(義務者)です。
保存(74-1-1前)
保存(74-1-1後)
名変
移転(権利者)
移転(義務者)
相続
【法人】移転(権利者)
【法人】移転(義務者)
【法人】合併(所有権)
【法人】合併(抵当権)
【雛形】抵当権の一部系
これ、面倒くさいですよね。。整理しないと無理です。
債権の一部を代位弁済(or 債権の一部を譲渡)
連帯債務者の一人の債権を譲渡
抵当権の共有者XYのXに弁済(or Yに弁済)
根抵当権の準共有者XYのXに弁済
根抵当権の準共有者XYのYに弁済
AB共有のうちA持分に設定された抵当権について、AがB持分も取得し、追加設定
AB共有の全体に設定された抵当権について、B持分に対する抵当権を放棄
共有抵当権者のAが持分を放棄(債権譲渡)
根抵当権者の債権の範囲に追加する特定債権の書き方
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暗記メモ・覚え方
【会社法・商業登記法編】知識の横断整理
なれない人(民法・司法書士法に関連あり)
民法のところで出てきましたが、欠格事由の関連知識です。この論点については、本当に苦手でしたが、比較して整理したところ、一発で覚えられました。⇒ 民法の「なれない人」、司法書士法の「なれない人」
発起人(持分会社の社員も同じ)
取締役、監査役
支配人
訴えまとめ
訴えの関係は、提訴期間と提訴権者については、最低限、暗記する必要があります。
提訴権者の基本形は、「株主等」と「株主等+α」のパターンがあります。
株主等 | 株主、取締役、監査役、執行役、清算人 |
+α | 破産管財人、不承認債権者 |
・資本金の額の減少の無効の訴え
・組織再編の無効の訴え
・設立無効の訴え
・持分会社の設立取消しの訴え
・株式の発行の無効の訴え
・自己株式の処分の無効の訴え
・(新株予約権の発行の無効の訴え)
・新株発行等の不存在の確認の訴え
・株主総会の決議の取消しの訴え
(手続違反、内容が定款違反、特別利害関係で著しく不当な決議)
・株主総会の決議の無効確認の訴え
(内容が法令違反)
・株主総会の決議の不存在の確認の訴え
決議関係まとめ
通常の株式会社の決議事項を覚えるだけでも大変ですが、それを色々と変化させたものが、創立総会や特例有限、さらには社員総会や評議員会と登場してきます。
もう最悪ですよね。。しかし、株式会社の標準形の、どのパターンが崩れたものか、という観点で整理すれば、案外すっきりと覚えられます。
創立総会
特例有限会社
普通決議 | |
---|---|
社員総会
評議員会
普通決議 | 特別決議 |
---|---|
善意・無重過失 or 善意・無過失
商人のところで、無過失なのか無重過失なのか覚えにくかったですが、別途書き出せば一発です。
名板貸
表見支配人
顕名なしの代理
二重の公告不可(官報公告+各別の催告が必須)
二重の公告が使えるか使えないか、という論点については、テキストのあちこちで出てきますので、整理しないと覚えられないと思い、別途書き出しました。
再任時は不要なもの
再任時に提供が不要となる添付書面を整理しました。
添付書面がほぼ不要なケース
この論点は、何度テキストを読んでも知識が定着しませんでしたが、別途書き出すことで、しっかりと頭に定着しました。
組織再編の消滅会社等
本店移転の新所在地分
20日前シリーズ
会社法では、「2週間前」というのが定番の期間ですが、「20日前」というのが稀に出てくるため、すごく混乱します。。このため、「20日前シリーズ」として、別途整理しました。
就任承諾書(承)・選定議事録(選)に印鑑証明書(印証)が不要なケース
この論点は、設立、清算、組織再編、持分会社、一般法人、と各場面で登場してきます。しっかりと整理しないと覚えられませんよね。
登記所届出印の押印があれば、印証不要なケース
これは、特に整理するほどのものではありませんが、上記との関連です。
裁判所関連で嘱託 or 申請
これは、ある程度学習が進んでから、あれ??と思い、整理したものです。要するに、解散判決後の清算人の就任だけが特別扱いということになりますが、関連する知識はまとめておいた方がよいと思います。
定款記載事項
最初の頃は、こんなもの覚えられるわけがない、、と思っていましたが、何度か回すうちに、株式会社をベースにすれば、案外すっきりと覚えられるんじゃないかと気づいて整理したところ、簡単に覚えられました。
項目 | 株式会社 | 持分会社 | 一般社団 | 一般財団 |
---|---|---|---|---|
委員会の選定or単独
この論点は、2021年度試験で、どストレートに問われましたね。整理しておいて大正解でした。
選定した委員ができること
委員単独でできること
(監)取と監査委員の違い
「(監)取」は、監査等委員会設置会社の監査等委員である取締役を指し、「監査委員」は、指名委員会等設置会社の監査委員を指しています。
任期・解任決議
兼任禁止の業務
【雛形】組織再編の設立登記など「年月日」が登記の事由に入ってくるもの
ここで記述式の雛形が混ざり込んできてしまいました。
このパターンは限られていますが、覚えようとして覚えない限り、覚えられないと思いますので、整理して暗記しました。
設立
新設合併
新設分割
株式移転
吸収合併
吸収分割
株式交換
組織変更
特例有限会社の移行
清算人の就任(or選任)
暗記メモ・覚え方
【民訴・民執・民保・司法書士法・刑法編】知識の横断整理
口頭弁論(審尋)する or しない
口頭弁論(又は審尋)をするかしないか、というのは、民事執行法と民事保全法を通じて、けっこう厄介な論点だと感じましたので、整理しました。
民執
民保
即時抗告できるか
この論点は、民訴の学習の中で、一番苦手でした。。しかし、一度書き出して整理してしまえば、なんてことはありませんね。
即時抗告(民訴・民執は1週間以内、民保は2週間以内)
※口頭弁論を経ない決定・命令に対する不服
管轄移送
訴状の却下
証拠の申出
文書提出命令
証拠保全
判決の更正決定
不適法な控訴の却下
(一審裁判所の決定)
引受承継
補助参加
訴えの変更を許さない旨の決定
〇歳未満シリーズ
綺麗に順番に並びました。
16歳未満
15歳未満
14歳未満
13歳未満
なれない人(欠格事由)(民法・会社法に関連あり)
民法・会社法でも出てきましたが、これらはまとめて覚えてしまうのがよいと思います。民法と司法書士法では「未成年者・破産者」がベースになるイメージ、会社法では「法人」ですね。⇒ 民法の「なれない人」、会社法の「なれない人」
また、年数は、会社法では2年、司法書士法では3年、という違いにも注意です。