司法書士になるには?試験・研修・登録の流れを解説!
更新日:2024年11月5日
司法書士という資格に興味を持ち、これから目指してみようと思ったものの、司法書士になるにはどうすればいいの?と疑問を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、このページでは、司法書士試験とはどんな試験なのか、そして、合格後に司法書士になるにはどんな手順を踏めばいいのか解説しますので、ぜひ参考にしてください。
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司法書士になるには?
それでは早速、司法書士になるための方法を解説していきます。
司法書士になるには、次の3つのステップがあります。
- 司法書士試験に合格する(又は法務大臣の認定を受ける)
- 新人研修を受講する
- 司法書士名簿に登録する
司法書士試験に合格する(又は法務大臣の認定を受ける)
司法書士になるには、まず、司法書士試験に合格する必要があり、司法書士試験に合格することで、”司法書士になる資格”を取得することができます。
なお、試験に合格しなくても、一定期間、裁判所事務官・書記官や法務事務官、検察事務官などに従事し、法務大臣の認定を受けた方も、司法書士になる資格を得ることができます。
試験日
司法書士試験は、 年に1回、7月の第1日曜日に実施されます。
試験は、「筆記試験」と「口述試験」の2段階あり、筆記試験の合格者のみを対象に口述試験が実施されます。
ただし、口述試験はほぼ全員が合格しますので、実質的な試験は筆記試験のみと考えておいて問題ありません。
筆記試験 | 毎年1回、7月の第1日曜日 【午前】9時30分~11時30分(2時間) 【午後】13時~16時(3時間) |
|
---|---|---|
口述試験 | (筆記試験合格者のみ)10月の平日 |
試験科目
筆記試験は、午前の部が五肢択一式35問、午後の部が五肢択一式35問と記述式2問の出題となっています。
試験科目は全部で11科目あり、午前に、憲法・民法・会社法・刑法、午後に、不動産登記法、商業登記法、供託法、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、司法書士法が出題されます。
筆記試験 |
午前 |
【択一式】35問 憲法、民法、商法(会社法)、刑法 |
---|---|---|
午後 |
【択一式】35問 不動産登記法、商業登記法、供託法、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、司法書士法 【記述式】2問 不動産登記法、商業登記法 |
|
口述試験 | 不動産登記法、商業登記法、司法書士法 |
司法書士は、「登記」するだけというイメージを持っている方にとっては、なぜこんなに試験科目があるのか不思議に思うかもしれませんが、司法書士には「裁判書類作成業務」がありますので、民事訴訟などの勉強も必要になってきます。
受験資格
司法書士試験には、年齢・性別・学歴などの制約はありません。
国家試験の中には、社労士のように受験資格に学歴が設けられている資格もありますが、司法書士試験にはそのような制約、条件等は一切ありません。
ですので、大卒に限らず、中卒や高卒の方も、どなたでも受験することができます。
合格者の年齢
このように、司法書士試験には学歴の制約も年齢制限も何もありませんので、大学生から70歳を超えるご年配の方まで、幅広い年齢層の方が合格されています。
合格者の年代別割合は、30代・40代がほぼ同数で最も多く、この年代だけで全体の約6割を占めています。
その次が20代・50代となっていますので、新卒で司法書士になるというよりも、社会人としてある程度働いてから司法書士を目指す方が多い傾向がありますね。
さらに、合格者の平均年齢は年々上昇傾向にあり、2017年度は37歳でしたが、2018年度は38歳、2019年度・2020年度は40歳、そして2021年度~2024年度は41歳となっています。つまり、高年齢化の傾向がより強まっていると言えそうです。
年度 | 合格者の平均年齢 | 最年少 | 最年長 |
---|---|---|---|
2017年 | 37.6歳 | 21歳 | 77歳 |
2018年 | 38.77歳 | 21歳 | 73歳 |
2019年 | 40.08歳 | 20歳 | 72歳 |
2020年 | 40.02歳 | 19歳 | 80歳 |
2021年 | 41.79歳 | 20歳 | 73歳 |
2022年 | 40.65歳 | 20歳 | 71歳 |
2023年 | 41.14歳 | 19歳 | 82歳 |
2024年 | 41.50歳 | 20歳 | 73歳 |
ですので、長年仕事を続け、定年までの人生が見えてきた段階で、「こんな年で、今さら勉強を始めても遅すぎるよなぁ、、」などと心配する必要はまったくありません。
60代でも70代でも80代でも合格される方はいらっしゃるんですから。司法書士に定年はありません。人生はまだまだこれからです。
難易度・合格率
では、この司法書士試験の難易度は、どれぐらいあるのでしょうか。
司法書士試験の合格率は4%程度しかありませんので、超難関資格です。
つまり、100人受ければ、96人が落ちることになります。
勉強時間でいうと、一般的に3,000時間程度の勉強が必要と言われていますので、例えば、1日に3時間勉強したとしても、3年かかる計算になります。
ですので、安易な気持ちで挑戦できるような資格ではないというのは、なんとなく想像がつくかと思います。
しかし、司法書士はとても魅力的な資格ですので、人生をかけて5年も10年も試験に挑戦し続ける方も多くいらっしゃいます。
一方、割合的には少数ですが、1~2年で合格してしまう方もいらっしゃいますので、やはり、いかに効率的に勉強するかがポイントですね。
新人研修を受講する
それでは、司法書士試験については以上として、次は、試験に合格した後の流れについて解説していきます。
試験に合格した後には、原則として1年以内に司法書士の登録を予定している方を対象にした新人研修が用意されています。
この新人研修には、中央研修・ブロック研修・司法書士会研修(配属研修)の3種類があります。
さらに、認定司法書士になるための特別研修もありますが、これは認定司法書士になることを希望する方のみが対象です。(とはいえ、ほとんどの合格者が特別研修を受講します。)
中央研修
中央研修は、日本司法書士会連合会(日司連)が実施する研修です。
eラーニング研修として、12月~翌1月の期間を2つのブロックに分けて実施されます。
この研修では、司法書士制度の歴史を知り、業務の成り立ち、職責・倫理などを学びます。
ブロック研修
ブロック研修は各司法書士協議会ごとに行われる研修で、全国8つのブロック(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州)ごとに開催されます。
この研修では、実務で必要とされる知識、実務に直結する知識を学びます。
司法書士会研修(配属研修)
司法書士会研修は、各都道府県の司法書士会ごとに行われる研修で、配属研修とも呼ばれます。配属研修では、一定期間、実際に司法書士事務所に配属され、実務を学ぶことができます。
なお、司法書士会研修では、配属研修だけでなく、数回の集合研修も実施されるところが多いようです。
司法書士名簿に登録する
以上の新人研修を修了後、司法書士会を経由して日本司法書士会連合会が備える司法書士名簿に登録し、事務所を設置する予定地の司法書士会に入会することで、司法書士になることができます。
具体的な手続としては、登録・入会を申請すると、司法書士会の役員との「登録面接」を経て、日本司法書士会連合会の「登録常務会」で登録が認められれば、司法書士名簿に登録されることになります。
なお、新人研修の修了前であっても司法書士名簿に登録し、司法書士会に入会することは可能ですが、研修自体は必ず受講する必要があります。(司法書士会によっては、新人研修の修了が入会条件となっているところもあるようですので、事前にご確認ください。)
司法書士になる方法まとめ
以上、司法書士になるにはどうすればいいか、その方法について解説してきました。
司法書士試験は、非常に難易度の高い試験であり、その道のりは険しいかもしれませんが、士業として独立開業が目指せる資格です。
新人研修など、新米の司法書士でも開業できるよう研修も充実していますので、未経験の方でも安心して開業できるはずです。
ぜひ皆さんも、司法書士を目指してください!