司法書士の独学におすすめのテキスト・参考書2024【比較ランキング!】
更新日:2024年11月16日
司法書士試験に『独学』で挑戦する際に、一番悩むのがテキスト・参考書選びだと思います。
司法書士の試験範囲は膨大ですので、いかに効率的に勉強するかがポイントです。このため、テキストや参考書も、必要最小限、かつ、必要十分なものを選ぶ必要があります。
このページでは、私自身が合格したときに実際に使用したテキストを含め、司法書士の独学におすすめのテキスト・参考書を紹介しますので、ぜひ参考にしてください!
※ 問題集はこちら⇒司法書士の独学におすすめの問題集・過去問
※ 六法はこちら⇒司法書士のおすすめ六法
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司法書士の独学用テキスト・参考書の選び方
では、司法書士試験に独学で挑戦するにあたり、まずはテキスト・参考書の選び方から紹介していきます。
テキスト・問題集・参考書の種類
まず、司法書士の勉強をするためには、どれだけのテキストが必要になるのか、その種類から説明します。
テキストは、大きく分けて、択一式対策と記述式対策に分かれます。
そして、それぞれについて、テキスト・問題集・参考書などがあります。
- 択一式対策
- 基本テキスト
- 要点整理テキスト
- 問題集 (過去問)
- 六法
- 記述式対策
- テキスト
- 解法テクニックの参考書
- 雛形集・問題集
- (答練・模試)
このように、様々な種類がある司法書士のテキストですが、どうやって選べばいいのでしょうか。
テキストは一式セットでは揃えられない
司法書士試験の場合、宅建や行政書士などの人気資格とは違って、テキストさえ選んでしまえば、あとは同一シリーズで揃えればいい、というわけにはいきません。
もちろん、一式セットで揃うようなシリーズも存在しますが、それは極めてレアケースで、大多数のテキストは一部しか揃えられません。
また、一式セットで揃うシリーズの中でも、それぞれに一長一短があります。
ですので、司法書士の受験生は、テキストはこのシリーズ、問題集はこのシリーズ、などと、各シリーズからつまみ食いしながら揃えていくのが一般的です。
択一式対策テキストの選び方
択一式対策としては、基本テキスト・要点整理テキスト(まとめ本)・問題集 (過去問)があります。
基本テキストは最後まで読み切れるものを選ぶ
このなかで、まずは「基本テキスト」から選んでいきます。
基本テキストは、学習の最初に使うものですし、その後も学習を続ける限り、最後まで使い続けるものになります。いわば、知識のベースとなるのが、この基本テキストですね。
司法書士受験生の多くは、基本テキストを読む段階で挫折してしまいます。試験範囲が膨大すぎて、最後まで読み切れないんです。
基本テキストというのは、1冊あたり300~500ページほどで11冊あります。合計5,000ページぐらいになりますので、基本テキストだけで本棚が一段埋まるほどです。
ですので、最後まで読み切ることができるかどうか、自分に合ったものを選ぶ必要がありますね。
独学者向けの基本テキストも、最近はかなり充実していて、読みやすさやメリハリを重視したもの、網羅性や理解を重視したものなど、自分に合ったものが選べるようになってきました。
最後まで読み切れる自信がない方は、まずは読み切り用のテキストで勉強を始めてから、あとで調べもの用のテキストを別で購入してもいいかもしれませんね。
私がおすすめする基本テキストについては、当ページで紹介していきます。
要点整理テキストで知識のベースを作るのもおすすめ
なお、司法書士の試験範囲は膨大なため、基本テキストをそのまま知識のベースにするのではなく、一旦、基礎知識の”理解”のために基本テキストを使用し、その後、要点のみをコンパクトに凝縮した「要点整理テキスト(まとめ本)」を使って、知識のベースを作っていく方法もあります。
私も、基本テキストを読んだ後は、要点整理テキストを使って知識のベースを作っていきましたので、私のおすすめの勉強法です。
おすすめの要点整理テキストについても、当ページで紹介します。
問題集(過去問)は自分の相性・可処分時間に応じたものを選ぶ
問題集については、収録数(過去何年分か)、収録範囲(厳選か全部か)、収録形式(五肢択一か一問一答か)、収録内容(オリジナルか過去問か)などによって種類が分かれてきます。
どれがいいかは一概には言えません。受験生・講師の中でも、様々な流派というか、考え方が存在しますので、ご自身との相性や可処分時間とも相談しながら決めていく必要がありますね。
おすすめの問題集・過去問は、別ページ(問題集のページ)で紹介していますので、下記の記事をご覧ください。
六法も法律家を目指すには必須
司法書士試験は、六法を使用せずに合格することも不可能ではありません。
しかし、司法書士という法律家を目指す以上、法律をテキストで学ぶだけでなく、やはり六法を使って条文を引き、法律に慣れ親しんでおくことは必須だと思います。
最近は、六法の選択肢も増えてきましたので、自分に合ったものが選べるようになってきました。
おすすめの六法については、別ページ(六法のページ)で紹介しますので、下記の関連記事をご覧ください。
- 受験生の多くは、基本テキストを読む段階で挫折してしまうため、最後まで読み切れるものを選ぶこと
- 読み切り用と調べもの用に別々のテキストを購入してもいいかも
- 要点整理テキスト(まとめ本)を使って、知識のベースを作るのもおすすめ
- 問題集(過去問)は、自身との相性や可処分時間に応じたもの(収録数・収録範囲・収録形式)を選ぶこと
- 六法も法律家を目指すには必須
記述式対策テキストの選び方
記述式対策としては、テキストや解法テクニックの参考書・雛形集・問題集などを揃えていく必要があります。
記述式対策のおすすめテキスト・解法テクニックの参考書については、当ページで紹介します。
おすすめの雛形集・問題集は、別ページ(問題集のページ)で紹介ので下記の関連記事をご参照ください。
独学であっても答練や模試の活用も必要
なお、記述式対策に関しては、本試験レベルの問題集が過去問以外にはほとんど存在しませんので、市販の問題集だけで対応するのは困難です。
このため、たとえ独学であっても、予備校の答練や模試も活用する必要があると思います。
おすすめの答練・模試については、下記のページで紹介していますので、そちらをご覧ください。
- テキスト、解法テクニック、雛形集・問題集を揃える必要がある
- 市販テキストだけでなく、予備校の答練・模試の活用が必要になる
独学におすすめの司法書士のテキスト
それでは、私がおすすめする択一対策のテキストから、順に紹介していきたいと思います。
司法書士受験用のテキストは、私が勉強を始めた当初(2007年頃)は、Wセミナーの「デュープロセス」や「プログレス」シリーズが有名だったため、どちらも実際に購入して試してみました。
※ プログレスは2010年頃に廃版となり、「スタンダード合格テキスト」へ移行
しかし、それよりも、当時新しく発刊されたテキストで(2008年初版)、Wセミナーの山本浩司講師が執筆した「オートマシステム(automa system)」が非常に読みやすくて気に入ったため、こちらをメインのテキストとして選択することにしました。
※ 2012年に「オートマチックシステム」→「オートマシステム」に改題
No.1:司法書士 オートマシステム(Wセミナー)
オートマシステムが登場するまでのテキストは、上記のデュープロセスやプログレスを含めて、無味乾燥というか”いわゆる教科書”という雰囲気で、独学者には適さないものばかりでした。
ところが、オートマシステムは、はっきり言ってそれらと比較にならないほど、わかりやすいテキストです。
オートマシステムの特徴は、講義形式で、非常に読みやすく、わかりやすいという点です。
規定の趣旨や背景、理由付けからしっかり解説があり、また、理解がスムーズに進むように構成(内容の順序)も工夫されています。
難しい内容も、わかりやすい表現や事例に置き換え、噛み砕いて説明されていること、さらに、適宜一問一答の過去問で知識を確認しながら学習が進められることなど、このテキストに書かれていることを理解しながら読んでいけば、自然に記憶に残るよう工夫されています。
出典:Amazon
オートマシステムは、覚えようとしなくても自然に覚えられるように「どうすれば記憶できるのか」を重視した「山本式記憶法」に基づいて記述されています。
この記憶法は、「ツーウェイ方式」と「ウサギとカメ方式」を組み合わせた山本浩司先生独自の理論です。
※ ツーウェイ方式・・・法律のオモテ側だけでなく実社会での実相を明らかにしながら学習すること
※ ウサギとカメ方式・・・法律の奥にある意味や立法者の思想を理解しながら記憶すること(足が速くとも油断のあるウサギにカメは勝てるという裏話と一緒に覚えることで、勝者はカメだと記憶できる)
なお、私がこのオートマシステムを使っていて唯一使いにくいと感じるのは、独特の構成(順序)になっているため、調べもの・探し物をする際に、すぐに見つけられない点です。。
しっかりと読み込めばどこに書いてあるか覚えてしまえるんでしょうけれど。。ただし、すぐに探せない場合は、テキストの最後に索引があり、「用語」からも「条文」からも検索できるようになっていて、すぐに見つけられますので大きな問題ではありません。
司法書士 山本浩司のオートマシステム(Wセミナー)
- 講義形式で読みやすい
- 趣旨・背景、理由付けからしっかりと解説
- わかりやすい表現や事例を使って噛み砕いて説明
- 適宜、一問一答の過去問で知識を確認
- 独特の構成順序はメリットでありデメリット
⇒ 独特の構成とすることで理解しやすくなっているが、調べものをする際にすぐに見つけられない。
司法書士 山本浩司のオートマシステム(1)民法(1) 第13版 著者:山本 浩司 出版社:早稲田経営出版 発売日:2024/10/24 ページ数:368ページ サイズ:A5判 価格:2,640円(電子書籍 2,508円) |
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民法(2) 第13版 204/10/24発売 436ページ 2,640円 |
民法(3) 第13版 2024/10/24発売 540ページ 3,410円 |
不登法(1)第12版 2023/12/17発売 452ページ 2,750円 |
不登法(2)第12版 2023/12/17発売 604ページ 3,410円 |
会社法・商法・商登法(1)第11版 2024/2/22発売 612ページ 3,410円 |
会社法・商法・商登法(2)第11版 2024/2/24発売 624ページ 3,410円 |
民訴・民執・民保法(第8版) 2023/11/19発売 500ページ 3,190円 |
供託・司書法(第8版) 2023/12/8発売 284ページ 2,090円 |
刑法(第7版) 2023/12/21発売 336ページ 2,310円 |
憲法(第7版) 2023/12/21発売 296ページ 2,310円 |
なお、司法書士受験生の中で、ナンバーワンのテキストとして高い評価のあるLECのブレークスルーというテキストがあります。
これは、独学で読み進めるには適していませんが、必要な情報が網羅されていて、調べものをするには有効なテキストです。
LEC司法書士講座の専用テキストとして長らく非売品でしたが、現在は、LECオンラインショップで一般向けにも販売されています。興味のある方は、LECの司法書士サイトへ(ブレークスルーテキスト)
No.2:司法書士 合格ゾーンテキスト(LEC)
オートマシステムが発刊されてから10年にわたり、これに対抗できるテキストは存在しませんでした。
ところが、LECから待望の独学者向けテキスト「根本正次のリアル実況中継 司法書士 合格ゾーンテキスト」が発刊されました。(2019年)
少々タイトルが長いですが、このタイトルに、テキストの特徴が表れていると思いますので、まず、ここから触れておきたいと思います。
「根本正次」講師は、2002年から講師として教壇に立ち、LECの司法書士講座では各種の冠講座を担当するなど、看板講師のひとりとしてご活躍されている先生です。
そして、「リアル実況中継」というのは、まさに講義形式の文体になっていて、話し言葉で生講義を聴いているように読み進められる記述になっています。
また、「合格ゾーン」というのは、LECから長年にわたり出版されている司法書士試験の定番ともいうべき過去問題集「合格ゾーン」のタイトルと同一になっています。
つまり、LECとして、この「合格ゾーン」のシリーズとして出版したということは、過去問題集と同様に、定番のテキストとして育てようという意気込みが見えてくるように感じます。
それでは、テキストの中身について、見ていきたいと思います。
出典:Amazon
一番大きな特徴は、やはり、生講義のような講義形式のテキストになっている点です。
法の趣旨や理由付けからしっかりと解説してくれますので、独学でも、初学者がイチから学習を進められると思います。
私の知る限りでは、このような講義形式でフルにラインナップされている司法書士のテキストは、これまで「オートマシステム」以外にありませんでした。その結果、独学の方におすすめきるテキストは「オートマシステム」しかなかったわけです。
しかし今回、この「合格ゾーンテキスト」が発刊されたことにより、これまで、司法書士の独学者のテキスト市場で独占状態だった「オートマシステム」の対抗馬となりうる存在が現れたといえますね。(その後さらに、以下で紹介する「リアリスティック」や「Vマジック」も出揃いました。)
私も購入して、実際に読んでみましたが、とてもわかりやすいです。
出典:Amazon
印刷は、赤系の2色刷りで、ページの構成としては、①重要条文を掲載し、②事例を図表で示し、③講義形式で解説していく。そして、④暗記事項を整理し、適宜、④過去問で理解度をチェックする、という構成で、とてもメリハリが利いていて読みやすいですね!
宅建や行政書士では、とてもわかりやすいテキストが出版されていますが、それに近づいたようなイメージです。
ひょっとすると、おすすめNo.1のオートマシステムよりもわかりやすいかもしれません。
さらに、このテキストの著者「根本正次」先生の無料解説動画(各科目の導入 第1章)も視聴できますので、理解も深まります。
その他、オートマシステムとの違いとして感じるのは、オートマシステムは独特の構成(学ぶテーマの順序が独特)になっているのに対し、合格ゾーンテキストは標準的な構成になっている点ですね。
オートマシステムの独特の構成は、スムーズに理解が進められるように工夫されたものですが、その一方で、独特であるがゆえに、検索しにくいという難点がありました。
ただ、この点については、同じオートマシステムの問題集を使えば何の問題もありませんが、答練や模試などを受けることも想定した場合には、やはり一般的な順序立てになっている合格ゾーンテキストの方が復習はしやすいと思いますね。
オートマシステムとどちらが良いのか、かなり迷うところだと思います。
ただし、合格ゾーンテキストは、このように、わかりやすくメリハリを利かせた構成にしたが故に、オートマシステムに比べると、論点が絞られており、それぞれの解説が浅くなっている点が気になります。
オートマシステムは、文章を読み進める中で、自然に記憶に残る仕組みになっており、特に暗記事項を抜き出して整理してあるわけではありません。
一方、合格ゾーンテキストは、解説の後に暗記事項を整理してありますが、解説が浅く、論点も絞られている。という違いですね。
司法書士の受験勉強は、テキストを読み終わる前に挫折してしまうというケースがよくあると思いますので、まずはひととおりの基礎知識のインプットを済ませ、過去問演習まで入っていく流れを重視するなら、合格ゾーンテキストの方がいいと思います。
司法書士の独学におすすめできるテキストは、これまではオートマシステムの一択でしたが、合格ゾーンテキストが現れたことで、この二択で悩むことになりそうですね。
司法書士 合格ゾーンテキスト(LEC)
- ”生講義”の形式で読みやすい
- 趣旨・理由付けからしっかりと解説
- メリハリが利いている
⇒ 条文→事例の図表→解説→暗記事項の整理→過去問チェック - 論点が絞られていて解説も浅いのはメリットでありデメリット
⇒ 初学者が試験範囲を一通り学習し終え、問題演習まで入っていくには適しているが、その後の学習の中で、調べものをするための基本テキストとしては不足する可能性あり。
根本正次のリアル実況中継 司法書士 合格ゾーンテキスト 1 民法I (総則)(令和7年版) 著者:根本 正次 (著), 東京リーガルマインドLEC総合研究所 司法書士試験部 (著, 編集) 出版社:東京リーガルマインド 発売日:2024/6/7 ページ数:341ページ サイズ:A5判 価格:2,640円(電子書籍 2,587円) |
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民法II(令和7年版) 20234/6/13発売 331ページ 2,640円 |
民法III(令和7年版) 2024/6/13発売 505ページ 3,410円 |
不登法I(令和7年版) 2024/6/19発売 459ページ 2,860円 |
不登法II (令和7年版) 2024/6/19発売 479ページ 2,970円 |
会社法・商法(令和7年版) 2024/6/25発売 648ページ 3,520円 |
商登法(令和7年版) 2024/6/25発売 586ページ 3,520円 |
憲法(令和7年版) 2024/7/1発売 205ページ 2,200円 |
刑法(令和7年版) 2024/7/1発売 199ページ 2,420円 |
民訴・民執・民保法(令和7年版) 2024/7/5発売 457ページ 2,970円 |
供託・司書法(令和7年版) 2024/7/5発売 205ページ 2,200円 |
No.3:司法書士試験 リアリスティック(辰已法律研究所)
次に紹介するのは、辰已法律研究所から出版されている「司法書士試験 リアリスティック」です。
このテキストは、辰已法律研究所の専任講師 松本雅典 講師が執筆しています。
松本雅典講師は、法律学習未経験ながら、たったの5ヶ月で司法書士試験に合格したという独自の方法論「5ヶ月合格法」で有名ですね。
このテキストは、2016年に発刊され、民法、不動産登記法が順次出版されましたが、会社法が2019年にようやく出版されるなど、なかなか全巻が出揃わない状況でした。
しかし、2020年11月に民訴等、2021年1月に供託法・司法書士法、さらに2021年9月に刑法、そして最後の憲法が2021年12月に出版され、ついに全巻が出揃いました!
このテキストは、ですます調の「講義形式」で初学者向けにわかりやすい表現で解説してくれるテキストです。
出典:Amazon
このテキストを読んで感じたことは、とにかく「理由付け」をしっかりと書いてくれている点ですね。
法の規定には、それぞれ理由があるわけですが、その理由をわからずただ暗記するのはとても苦しい作業になってしまいます。
その点、リアリスティックでは、理由付けがしっかりしているため、”なるほど”と理解しながらスムーズに読み進めていくことができますし、その結果、記憶に残り、思い出しやすくなります。
また、本文の構成も、まず「結論」を書いてから「理由」を書くという流れが徹底されていますので、これも読みやすさを助けてくれますね。
さらに、関連知識・関連論点を、具体的にページ数まで明記してリンクを張ってくれているのも、とても親切です。
ただ、上記の合格ゾーンテキストの「事例を図表で示し、講義形式で解説し、暗記事項を整理し、過去問で理解度をチェック」するといったメリハリのきいたテキストと比べてしまうと、リアリスティックは、単調でメリハリに欠ける記述にも見えてしまいますね。。
しかし、初学者が独学で読み進めていくことが十分に可能なテキストだと思います。
論点の網羅性は、オートマと同等か、それより詳しい印象です。(合格ゾーンテキストよりも網羅性がある。)
司法書士試験 リアリスティック(辰已)
- 講義形式で読みやすい
- とにかく「理由付け」がしっかりしていてスムーズに読める
- 関連知識・関連論点のリンクがある
- 論点の網羅性もある(オートマと同等か、それより詳しい)
司法書士試験 リアリスティック1 民法I(第4版) 著者:松本 雅典 出版社:辰已法律研究所 発売日:2023/1/20 ページ数:340ページ サイズ:A5判 価格:2,530円 |
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民法Ⅱ(第4版) 2022/5/14発売 428ページ 2,420円 |
民法Ⅲ(第5版) 2023/8/30発売 656ページ 3,300円 |
不動産登記法I(第5版) 2024/5/30発売 592ページ 3,410円 |
不動産登記法II(第5版) 2024/5/30発売 548ページ 3,190円 |
会社法・商登法Ⅰ(第3版) 2023/4/8発売 612ページ 3,520円 |
会社法・商登法Ⅱ(第3版) 2023/4/8発売 692ページ 3,740円 |
民訴・民執・民保(第2版) 2023/4/8発売 452ページ 3,300円 |
供託法・司法書士法(第3版) 2024/1/30発売 224ページ 2,090円 |
刑法 2021/9/18発売 292ページ 2,200円 |
憲法 2021/12/23発売 280ページ 2,200円 |
No.4:司法書士Vマジック(LEC/三省堂)
次にご紹介するのは、LEC司法書士講座の講師「森山和正」講師が執筆した「森山和正の司法書士Vマジック」です。
このテキストも、上記の合格ゾーンテキストと同時期(2019年)に、新たに発刊された司法書士のテキストです。
シリーズ全巻がなかなか出揃いませんでしたが、2022年5月21日「憲法・刑法」の出版により、ついに全巻出揃いました!
また、合格ゾーンテキストはLECから出版されていますが、こちらは三省堂からの出版となっています。
森山和正講師は、2004年から司法書士講座の講師を務め(東京法経学院→2010年からLEC)、カリスマ講師と呼ばれる人気講師です。
このテキストのほかにも、「ケータイ司法書士」という要点整理テキスト(まとめ本)や、「暗記の力技100」、「解法テクニック50」など、様々な人気書籍を執筆されています。2018年に、司法書士試験専用の「司法書士合格六法」を監修したことでも話題になりましたね。
ということで、森山和正講師は、私は個人的にとても好きな講師なのですが、この「司法書士Vマジック」に関しては、あまり好みではありません。。(あくまでも私の個人的な好みの問題です。)
このテキストは、いわゆる正統派の教科書です。
出典:Amazon
「はしがき」にも書いてありますが、”本試験では「である調」の文体と対峙することになりますから、「ですます調」の講義形式で、わかりやすさ、とっつきやすさを演出することはやめ、敢えて「である調」を採用した。”とのことです。
その考え方については、なるほど、、と言えなくもないですが、このテキストでは、文体だけでなく、本文の構成に関しても、いわゆる「教科書」です。本格的に、法律家として法律の勉強をする、というイメージですね。
図解や表もないわけではありませんが、基本的に、ひたすら「である調」の「文章」で解説が続きます。
森山先生の著書には、「ケータイ司法書士」がありますので、要点を整理したり、一問一答で知識を確認したりする役割は、すべてケータイ司法書士に委ねているんだと思います。
そのため、Vマジックは、要点のまとめや一問一答を収録せず、論点の解説のみに徹するテキストになっているものと思われます。
これは、独学者jが最初に読むには、辛いのではないかと感じますね、、、少なくとも私はこのテキストを最後まで読み切る根性はありません。。
ただし、ケータイ司法書士と併用する場合や、調べもののために使用する場合には、おすすめです。
司法書士 Vマジック(LEC・三省堂)
- 「である調」の正統派の教科書
- 文章による解説が中心
- 独学者が通読するには辛そう(私の個人的な感想です)
- ケータイ司法書士との併用や、調べものをするにはおすすめ
森山和正の 司法書士Vマジック1 民法I(第2版) 著者:森山 和正 出版社:三省堂 発売日:2022/7/9 ページ数:640ページ サイズ:A5判 価格:3,520円(電子書籍 3,300円) ※第3版の予約販売中(11/19発売予定) |
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民法II(第2版) 2022/7/9発売 680ページ 3,740円 |
不登法I(第2版) 2023/9/12発売 504ページ 3,080円 |
不登法II(第2版) 2023/9/12発売 544ページ 3,080円 |
会社法・商法(第2版) 2023/9/12発売 616ページ 3,740円 |
商登法(第2版) 2023/9/12発売 648ページ 3,960円 |
民訴系3法・供託・司書法(第2版) 2024/9/17発売 648ページ 3,960円 |
憲法・刑法(第2版) 2024/9/17発売 608ページ 3,960円 |
司法書士スタンダード合格テキスト(Wセミナー/TAC)
次は、Wセミナーの「司法書士スタンダード合格テキスト」です。
このテキストは独学者向けではありませんので、番外編として紹介しておきます。
スタンダード合格テキストは、Wセミナー(TAC)司法書士講座の公式テキストとして使用されるテキストです。
※ 前身は、「プログレス」シリーズでしたが、2010年頃からスタンダード合格テキストへとリニューアル
講座で使用するテキストですので、当然、試験範囲の全てを網羅したテキストになっています。つまり、講義のなかで、重要知識と重要でない知識とを取捨選択しながら使用するわけですね。
また、独学を前提としていないため、ズラズラとした無味乾燥な記述になっています。
この手のテキストを独学で選んでしまうと、ものすごい遠回りをすることになりますので、独学には、おすすめできません。
司法書士の人気テキスト比較ランキングまとめ
司法書士の独学者向け基本テキストとして、ついにオートマ・合格ゾーン・リアリスティック・Vマジックの4シリーズが出揃いました。
こうなってくると、どれを基本テキストとして選ぶのか、もの凄く悩みますよね。。
各テキストの比較一覧表
まず、オートマ・合格ゾーン・リアリスティック・Vマジックの4シリーズについて、上記でレビューしてきたポイントを一覧表に整理すると、以下のようになります。
合格ゾーンは読み切り重視の場合に選ぶ
この中で、合格ゾーンは、”読みやすい代わりに網羅性が低い”というはっきりした特徴がありますので、読み切りを重視した場合に選択する、という選び方ができます。
例えば、他のテキストで勉強を始めたけれど、読み切ることができずに挫折した場合や、そもそも最初から戦略的に、一通りの基礎知識をザックリと理解するために選ぶことが考えられますね。
オートマ・リアリスティック・Vマジックは自分との相性で選ぶ
一方、オートマ・リアリスティック・Vマジックに関しては、いずれもしっかりと全論点を網羅している点は共通していますが、本文の構成や、文体(口調)、説明の仕方などが全く異なります。
私自身はオートマで育ちましたのでオートマがイチ推しですが、 リアリスティックやVマジックも人気があります。
いずれの著者も司法書士受験界のトップに君臨する方々ですので、あとは実際に手に取って、自分との相性で選ぶしかないのではないでしょうか。
4シリーズのおすすめ購入パターン
とはいえ、基本テキストを選ぶにあたり、なんらかの目安・指針は示しておきたいと思いますので、”おすすめの購入パターン”を2通りご紹介しておきます。
まずは、読み切り重視(網羅性は低い)の特徴を持った「合格ゾーン」を最初に読むかどうかで分岐します。
そして、「合格ゾーン」を最初に選んだ場合は、問題演習に入った段階で、調べものをするテキストが別途必要になってきます。
調べものをするには、独特の構成順序になっているオートマは適しませんので、リアリスティック・Vマジックのいずれかを選択することになります。
一方、最初に合格ゾーンを読まない場合は、オートマ・リアリスティック・Vマジックの3シリーズを、ご自身との相性で選んでいただく。こんな具合でいかがでしょうか。
とはいえ、司法書士試験の受験生活は、何年もの期間を要しますので、途中で違うシリーズに買い替えて試しながら、最終的に落ち着いてくるのではないでしょうか。
- 読み切り重視の「合格ゾーン」で勉強開始 ⇒ 調べもの用に「リアリスティック・Vマジック」のいずれかを追加
- 「オートマ・リアリスティック・Vマジック」のいずれか相性の良いもので勉強開始 ⇒ 最後まで勉強のお供に
- とはいえ、長い受験生活を送るなかで、色々試すことになり、最終的に落ち着くのでは
要点整理テキスト(暗記本・まとめ本)おすすめ2選
次は、私がお気に入りの『要点整理テキスト(暗記本・まとめ本)』をご紹介したいと思います。
上記で紹介したオートマ・合格ゾーンなどの『基本テキスト』は、制度趣旨や理由づけなど、イチから学んでいくテキストです。
一方、ここで紹介するのは、制度趣旨や理由付けをすべてカットし、要点・結論のみをコンパクトにまとめた要点整理テキストです。
No.1:うかる!司法書士 必出3300選(伊藤塾)
要点整理テキストの一番のおすすめは、伊藤塾の「必出3300選」です。
このテキストは、見開きの左ページに一問一答、右ページに要点整理が”表形式”を中心に掲載されています。
一問一答と要点整理が見開きになっているため、インプット学習とアウトプット学習が同時にできるのが最大のメリットです。
左ページの一問一答で問われる知識をきっかけに、右ページの要点整理を頭に焼き付けていくイメージですね。
さらに、択一の全11科目が4冊にまとまっているコンパクトさです。
コンパクトでありながら重要知識が網羅されていて、また、コンパクトであるがゆえに反復学習が可能となります。
司法書士の試験範囲は膨大ですので、基本テキストを繰り返し読むのは現実的ではありません。
基本テキストをひととおり読み、大まかな理解が得られた後は、この要点整理テキストを使って、反復学習をするのが効率的だと思います。
「必出3300選」は、伊藤塾の伝説の講師「向田恭平」先生が作り上げた「択一クライマックス総整理講座」のテキストがベースになっています。
うかる! 司法書士 必出3300選 [1] 民法編(第3版) 著者:伊藤塾 出版社:日経BP 日本経済新聞出版 発売日:2022/11/17 ページ数:304ページ サイズ:A5判 価格:3,080円(電子書籍 2,772円) |
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うかる! 司法書士 必出3300選 [2] 不動産登記法編(第3版) 著者:伊藤塾 出版社:日経BP 日本経済新聞出版 発売日:2023/4/6 ページ数:224ページ サイズ:A5判 価格:2,530円(電子書籍 2,277円) |
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うかる! 司法書士 必出3300選 [3] 会社法・商法・商業登記法編(第3版) 著者:伊藤塾 出版社:日経BP 日本経済新聞出版 発売日:2022/8/3 ページ数:290ページ サイズ:A5判 価格:3,080円(電子書籍 3,018円) |
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うかる! 司法書士 必出3300選 [4] 憲法・刑法・民訴・民執・民保・書士・供託法編(第3版) 著者:伊藤塾 出版社:日経BP 日本経済新聞出版 発売日:2022/8/3 ページ数:304ページ サイズ:A5判 価格:3,080円(電子書籍 3,018円) |
- 必出3300選の使い方はこちら⇒司法書士必出3300選の使い方・活用法【これで択一9割超え!】
No.2:ケータイ司法書士(LEC)
次に紹介するのは、LEC森山和正講師の「ケータイ司法書士」です。
このテキストは、必出3300選(当時は必出3000選)が発刊された2年後に、同様のコンセプトで出版されました。(初版2013年)
ケータイ司法書士は、必出3300選とは逆に、左ページに要点整理があり、右ページに一問一答が配置されています。
そして、必出3300選との決定的な違いは、必出3300選は、要点整理が表形式でまとめられていることに対し、ケータイ司法書士は、すべて短い文章でまとめられている点です。
それと、赤シート(目隠しシート)に対応しているのは、必出3300選にはないメリットですね。
要点整理ページでは重要語句を目隠しして暗記できますし、一問一答ページでは、答えを隠しながら問題を解くことができます。
ただ、私としては、必出3300選の「表形式で整理されている」ところに惹かれていますので、ケータイ司法書士に心変わりすることはありません。
これは、好みの問題だと思いますので、表形式が自分に合わないと感じる方は、「ケータイ司法書士」を使えば、必出3300と同様の効果が得られるはずです。
ケータイ司法書士I 2025: 民法 著者:森山和正 出版社:三省堂 発売日:2024/9/17 ページ数:352ページ サイズ:B6判の変形(一般的なテキストより小さい) 価格:1,870円(電子書籍 1,700円) |
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ケータイ司法書士II 2025: 不登法・供託法・司法書士法 著者:森山和正 出版社:三省堂 発売日:2024/9/17 ページ数:280ページ サイズ:B6判の変形(一般的なテキストより小さい) 価格:1,870円(電子書籍 1,700円) |
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ケータイ司法書士III 2025: 会社法・商法・商登法 著者:森山和正 出版社:三省堂 発売日:2024/9/17 ページ数:320ページ サイズ:B6判の変形(一般的なテキストより小さい) 価格:1,870円(電子書籍 1,700円) |
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ケータイ司法書士IV 2025: 民訴系3法・憲法・刑法 著者:森山和正 出版社:三省堂 発売日:2024/9/17 ページ数:320ページ サイズ:B6判の変形(一般的なテキストより小さい) 価格:1,870円(電子書籍 1,700円) |
初心者向け入門テキストおすすめ2選
次は、いわゆる「入門テキスト」と呼ばれるものを紹介したいと思います。
入門テキストというのは、法律の学習を一度もしたことがないような完全な初心者が、基本テキストを使って本格的な学習に入る前に使用する導入的なテキストになります。
No.1:ゼロからスタート!司法書士1冊目の教科書(LEC)
最初に紹介するのは、LEC専任講師の海野禎子講師が執筆した「ゼロからスタート!海野禎子の司法書士1冊目の教科書」です。KADOKAWAからの出版となっています。
海野禎子講師は、1999年からLECで司法書士講座の講師を務め、LECの看板講師のひとりとして活躍されている人気講師です。
タイトルどおり、ゼロからスタートするための入門書で、司法書士試験の主要4科目(民法、不動産登記法、会社法、商業登記法)について、基礎的な事項をわかりやすく、身近な事例、身近な言葉に置き換えながら、ざっくりと学べるテキストになっています。
ページ数は200ページ程度で、約10時間ほどで読み切れる分量になっていますので、本格的に学習を始める前に、試験科目の概要を把握することで、つまづかずにスタートを切るためのテキスト、といった位置づけかと思います。
出典:Amazon
印刷はフルカラー印刷で、とても見やすいです。
また、ページの構成は見開き2ページで1テーマが完結するように構成されていて、左ページが解説、右ページが図表・イラストというレイアウトになっています。
これなら本当に、法律が初めての方でも、スイスイと読み進められると思いますね。
このテイストで、すべての科目を合格レベルまで解説してくれるテキストがあれば、最高なのになぁ、、と思ってしまいます。。(最近は、宅建や行政書士の基本テキストは、このようなテイストのものが主流になってきていますので。)
ちなみに、上記で紹介した「オートマシステム」と「合格ゾーンテキスト」については、完全な初心者でもイチから学べるテキストですので、敢えてこのような「入門テキスト」を読まなくても、問題ないと思います。
逆に、初心者が「リアリスティック」や「Vマジック」から始めるような場合は、入門テキストから始めた方がいいかもしれません。
ゼロからスタート! 海野禎子の司法書士1冊目の教科書(改訂版) 著者:海野 禎子(著)、LEC東京リーガルマインド(監修) 出版社:KADOKAWA 発売日:2024/7/2 ページ数:224ページ サイズ:A5判 価格:1,760円(電子書籍 1,584円) |
No.2:スタートアップ!司法書士超速習テキスト(スタディング)
次に紹介するのは、「スタートアップ!司法書士超速習テキスト」です。
このテキストは、元Wセミナー講師で、現在は、通信講座専門校の「スタディング」で司法書士講座の講師を務める「山田巨樹」講師が執筆したテキストです。
こちらも上記の「ゼロからスタート!」と同様に、いわゆる「入門テキスト」の部類に入るテキストで、主要4科目を対象としている点も同様です。
ただし、本編に入る前に、どんな試験対策が必要か、模試は受けるべきか、独立開業できるか、どんな業務をするか、といった司法書士試験の勉強法や資格の魅力などのガイダンスが入っています。
本編に関しては、見開きで1テーマを扱うという構成は同じですが、フルカラーではなく2色刷り(赤系)であるということと、ここまで言って申し訳ないですが、わかりやすさの点からは、「ゼロからスタート!」の足元にも及ばないのではないかと。。
この「超速習テキスト」は、確かに、本格的な学習を始める前の入門書として出版されていますが、初学者の入門用に、特別にわかりやすく平易な言葉で解説しようとしているようには見受けられませんね、、、通常のテキストに記載する解説内容から、基礎的な部分を抜粋してきただけのイメージです。
ということで、もし、「入門テキスト」を購入する場合には、この「超速習テキスト」ではなく、上記の「ゼロからスタート!」をおすすめします。
スタートアップ! 司法書士超速習テキスト 著者:山田巨樹 出版社:中央経済社 発売日:2021/9/25 ページ数:272ページ サイズ:A5判 価格:2,640円 |
おすすめの記述式対策テキスト
司法書士の記述対策のテキストとしては、Wセミナーの「ブリッジ」のシリーズが有名でした。
私もブリッジを購入し、使用してみましたが、択一対策のテキストと同様に、やはり山本浩司著のオートマシステム(automa system)〈記述式〉のシリーズの方がわかりやすかったため、こちらを選びました。
司法書士 山本浩司のオートマシステム〈記述式〉(Wセミナー)
このテキストは、問題演習を通じて、必要な知識や解き方について講義形式で解説する構成になっています。
択一のオートマシステムと同様に、読み進めていくうちに、順序よく実力がついていく実感が得られます。
論点も豊富ですので、これ1冊をしっかりやれば、必要な知識・解法が身につけられると思います。
なお、同著の記述対策のテキストとして「みるみるわかる!不動産登記法」・「みるみるわかる!商業登記法」というのもありますが、これは、択一のオートマシステムと記述式のオートマシステムの橋渡しをする位置づけで、実質的には、いずれかに記載されている内容が重複して記載されているだけでしたので、あえて購入の必要はないかなと思います。
司法書士 山本浩司のオートマシステム 不動産登記法 記述式(第12版) 著者:山本浩司 出版社:早稲田経営出版 発売日:2024/1/25 ページ数:532ページ サイズ:A5判 価格:3,850円(電子書籍 3,291円) |
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司法書士 山本浩司のオートマシステム 商業登記法 記述式(第11版) 著者:山本 浩司 出版社:早稲田経営出版 発売日:2023/11/19 ページ数:452ページ サイズ:A5判 価格:3,190円(電子書籍 2,728円) ※第12版の予約販売中(11/25発売予定) |
記述式解法テクニックの参考書おすすめ4選
記述式の問題を解く練習をしていくと、問題文に線を引いたり、メモ書きする方法について、どうすればわかりやすく効率的にできるのか、悩みが沸いてくると思います。
この悩みに見事に応えてくれるのが、次に紹介する4冊の参考書です。
まず1冊目が、①伊藤塾の山村拓也講師 著の「記述式 答案構成力」、2冊目が、②辰已法律研究所の松本雅典講師 著の「リアリスティック 記述式」、3冊目が、③元 辰已法律研究所の小玉真義講師 著の「超速解 司法書士試験 記述式」、4冊目が、④Wセミナーの山本浩司講師 著の「オートマ解法術 記述編」です。
これらは、いずれも、問題文の線の引き方、メモ書きの方法、問題文を読む順序など記述式試験に特有のテクニックについて、問題演習を通じて講義形式で解説してくれる参考書になっています。
いずれも、いかに間違えずに効率的に答案を作成するか、という点では共通していますが、次のような違いがあります。
- 「答案構成力」⇒ メモ用紙(答案構成用紙)に事実関係・登記事項の双方をメモ書き(答案構成)をしていく手法
- 「リアリスティック」⇒ メモ用紙(答案構成用紙)に登記事項のみをメモ書き(答案構成)しつつ、答案用紙そのものにも適宜メモ書きをする手法
- 「超速解」⇒ メモ用紙(答案構成用紙)は使用せず、問題用紙に印字されている文字を極力活用して、そこに登記事項をメモ書きしていく手法
- 「オートマ解法術」⇒ 問題文の読み取り方・解く手順の解説
「答案構成力」の答案構成という手法が、記述式問題の解答手法として一気に普及し、定着するようになってきた後、より効率的な方法として「リアリスティック」や「超速解」が生み出されてきたような流れだと思います。
ですので、自分に合った方法にアレンジしながら自分なりの方法を作り上げていくのがいいと思います。
ちなみに、オートマ解法術は、問題文の読み取り方・解く手順の解説が中心のため、他の3冊とは毛色が異なります。
なお、これらの解法テクニックの参考書は、記述式問題を解くための基礎知識をある程度身につけた後でないと読み進めることは難しいと思います。
このため、上記のオートマシステム〈記述式〉の基本編あたりまで解いた後に読むことをおすすめします。
No.1:うかる!司法書士 記述式 答案構成力(伊藤塾)
まず1目は、伊藤塾の山村拓也講師 著の「記述式 答案構成力」です。
※ 2012年の第3版までは、「実戦編」のみの販売でしたが、2017年12月に、基礎レベルと実戦レベルに分冊される形で、全面リニューアルされました。(「基礎トレーニング編」は2017年12月発売、「実戦力養成編」は2018年6月発売)
この「答案構成」というのは、問題文を読みながら、事実関係と登記事項をメモ用紙(答案構成用紙)に、メモ書き(答案構成)していく手法です。
これは、著者の山村拓也講師が発案し、平成16年から伊藤塾の講義で(平成18年から当該テキストで)指導するようになった手法です。
これを学んだ受験生が試験会場で問題冊子の白紙ページをビリビリと破いて答案構成用紙として使用していたため、平成20年度試験からメモ用紙(試験官も、「いわゆる答案構成用紙です。」と会場で説明していました。)が配布されるようになったほど、山村講師の答案構成は普及しました。
いわゆる「王道」の答案構成の手法と言えます。
うかる! 司法書士 記述式 答案構成力 不動産登記(基礎トレーニング編) 著者:山村 拓也/伊藤塾 出版社:日本経済新聞出版社 発売日:2017/12/14 ページ数:264ページ サイズ:A5判 価格:3,080円 |
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うかる! 司法書士 記述式 答案構成力 不動産登記 実戦力養成編 著者:山村 拓也/伊藤塾 出版社:日本経済新聞出版社 発売日:2018/6/15 ページ数:400ページ サイズ:A5判 価格:3,080円 |
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うかる!司法書士 記述式 答案構成力 商業登記(基礎トレーニング編) 著者:山村 拓也/伊藤塾 出版社:日本経済新聞出版社 発売日:2017/12/14 ページ数:224ページ サイズ:A5判 価格:3,080円 |
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うかる! 司法書士 記述式 答案構成力 商業登記 実戦力養成編 著者:山村 拓也/伊藤塾 出版社:日本経済新聞出版社 発売日:2018/6/15 ページ数:464ページ サイズ:A5判 価格:3,080円 |
No.2:司法書士 リアリスティック 記述式(辰已)
次は、辰已法律研究所の松本雅典講師 著の「司法書士 リアリスティック 記述式」です。
上記の「答案構成力」は、「事実関係」と「登記事項」の双方を答案構成用紙にメモ書きしていきますが、こちらの「リアリスティック」では、「登記事項」のみを答案構成用紙にメモ書きしていきます。
このため、メモ書きに要する時間は短縮されますね。
それに加えて、いかに漏れをなくすか、という視点から、気がついた時点で適宜「答案用紙」(←メモ用紙ではなく、解答として提出する答案用紙)そのものにまでメモ書きする点も特徴的です。
司法書士 リアリスティック不動産登記法 記述式(第2版) 著者:松本 雅典 出版社:日本実業出版社 発売日:2020/2/20 ページ数:400ページ サイズ:A5判 価格:3,740円 |
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司法書士 リアリスティック商業登記法 記述式(第2版) 著者:松本雅典 出版社:日本実業出版社 発売日:2020/5/14 ページ数:440ページ サイズ:A5判 価格:3,960円 |
No.3:超速解 司法書士試験 記述式(辰已)
次は、元 辰已法律研究所の小玉真義講師 著の「超速解 司法書士試験 記述式」です。
答案構成という手法では、メモ用紙に、別途メモ書きを作成していくことになるため、文字を書く時間がけっこうかかることになります。
そのメモ書きの時間を省くために、既に問題用紙に印字されている文字を極力活用し、そこに登記事項をメモ書きすることによって時間の節約を図るのが、この「超速解」という手法です。
小玉講師は、2019年に辰已法律研究所を退所され、アガルートに移籍されましたので、今後、「超速解 司法書士試験 記述式」の改訂版が出版されることはありません。(そして、2022年に…。)
ただし、中古で手に入る限りは、古い年度版であっても参考になりますので、引き続き、ここで紹介していきたいと思います。
超速解司法書士試験記述式(平成30年度版) 著者:小玉 真義 出版社:辰已法律研究所 発売日:2019/2/1 ページ数:275ページ サイズ:A5判 価格:2,970円 ※中古の在庫も欠品している場合は、年度を遡ってみてください。 超速解 司法書士試験 記述式〈平成29年度版〉 超速解 司法書士試験 記述式〈平成28年度版〉 2011年出版(平成23年)の初版まで遡れるはずです。 |
No.4:司法書士 オートマ解法術 記述編(Wセミナー)
次は、Wセミナー山本浩司先生の「司法書士 オートマシステム 解法術 記述編」です。
この解法術は、上記の3冊とはタイプが異なります。
上記の3冊は、答案を作り上げるためのテクニックを中心に解説されたものですが、オートマ解法術は、問題文の読み取り方・解く手順を中心に解説したものです。
一定のルールに従って、問題文の中から、解答に必要な情報を読み取り、丸で囲んだり、下線を引いたり、メモ書きしたりしていきます。
テクニックというよりも、どちらかというと、他の3冊のテクニックを使うための、さらに前段階の捌き方のようにも思えます。
このため、既に上記3冊いずれかの解法テクニックを採り入れている方には不要かもしれません。
司法書士 山本浩司のオートマシステム 解法術 記述編 不動産登記法(2025年度版) 著者:山本 浩司 出版社:早稲田経営出版 発売日:2024/10/24 ページ数:272ページ サイズ:A5判 価格:2,750円(電子書籍 2,613円) |
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司法書士 山本浩司のオートマ過去問 解法術 記述編 商業登記法(2025年度版) 著者:山本 浩司 出版社:早稲田経営出版 発売日:2024/10/24 ページ数:280ページ サイズ:A5判 価格:2,750円(電子書籍 2,613円) |
記述式の参考書まとめ
記述式の解法テクニックに関しては、個人的には、1冊目の「答案構成力」で、スタンダードな手法を身につけてから、3冊目の「超速解」(又は2冊目の「リアリスティック」)で、省ける部分を省いていくのが良いのではないかと思います。
私自身も、これらをミックスしたような手法に落ち着きました。
基本的には、答案構成用紙にメモ書きをしますが、そこに書く内容は、超速解に近いものになっています。
私の解き方については、下記の記事で紹介していますので、興味のある方はご覧ください。
司法書士のテキストの使い方・勉強法
では、司法書士試験の独学におすすめのテキストと、これを使った勉強法を整理しておきたいと思います。
なお、問題集については司法書士の独学におすすめの問題集のページで、六法については司法書士のおすすめ六法のページで、それぞれご紹介していますが、それらも含めて、ここにまとめて掲載します。
また、勉強法の詳細については、司法書士の独学におすすめの勉強法と勉強時間のページをご参照ください。
- 択一式対策
- 基本テキストで基礎知識をおおまかに理解
- 要点整理テキストで択一知識の総整理&叩き込み
- 一問一答で択一知識の精度アップ・補強
- 記述式対策
- 記述式テキストで基礎から応用まで問題演習
- 記述式解法テクニックの参考書で解法をマスター
- 雛形集で基礎固め
- 答練・過去問で本試験形式の問題演習
- 解答スピードアップ・時間配分対策(直前期)
- 戦略を立てる
- 解答テクニックの実践練習
※ 下記に掲載している価格は、2024年4月30日現在の価格です。
択一式対策(基本テキスト→要点整理テキスト→一問一答)
基本テキストで基礎知識をおおまかに理解
- 司法書士 山本浩司のオートマシステム(Wセミナー)
【シリーズ全11冊 合計 31,240円】
要点整理テキストで択一知識の総整理&叩き込み
- うかる!司法書士 必出3300選(伊藤塾)
【シリーズ全4冊 合計 11,770円】 (又は「ケータイ司法書士」)
⇒活用法は、必出3300選の活用法【これで択一9割超え!】のページをご参照ください。
一問一答で択一知識の精度アップ・補強
- 司法書士 山本浩司のオートマシステム でるトコ一問一答(Wセミナー)
【シリーズ全4冊 合計 12,430円】
⇒択一知識の覚え方は、司法書士試験の暗記メモ・関連知識の覚え方のページを参考にしてください。
六法
- 司法書士合格六法(三省堂)
【シリーズ全1冊 合計 3,850円】
記述対策(記述テキスト→解法テクニック→雛形集→答練)
記述式テキストで基礎から応用まで問題演習
- 司法書士 山本浩司のオートマシステム〈記述式〉(Wセミナー)
【シリーズ全2冊 合計 7,040円】
記述式解法テクニックの参考書で解法をマスター
- うかる!司法書士 記述式答案構成力(伊藤塾)
【シリーズ全4冊 合計 12,320円】
超速解 司法書士試験記述式(辰已)
【シリーズ全1冊 合計 2,970円】
⇒司法書士試験の記述式対策 - 答案構成用紙の使い方のページを参考にしてください。
雛形集で基礎固め
- 司法書士 山本浩司のオートマシステム 試験に出るひながた集(Wセミナー)
【シリーズ全2冊 合計 4,840円】
※ケータイ司法書士 記述式(LEC)を補助的に使用
【シリーズ全2冊 合計 3,740円】
答練・過去問で本試験形式の問題演習
- 記述式答案構成力養成答練(伊藤塾の通信 or 通学)で本試験レベルの問題演習
【約 60,000円】 - 司法書士 記述式厳選過去問集(伊藤塾)で本試験の型・ボリュームに慣れる
【シリーズ全2冊 合計 6,600円】
解答スピードアップ・時間配分対策
戦略を立てる
- 軸肢検討の解答テクニックをマスター
⇒司法書士試験の時間配分・解答スピードアップ対策のページを参考にしてください。
解答テクニックの実践練習
- 択一実戦力養成答練(伊藤塾)で本試験レベルの問題演習
【約 60,000円】 - 全国公開模擬試験(LECの通信 or 通学)で、解法テクニックの実践演習
【約 25,000円】 - (演習量に不安がある場合は、年度別過去問も使用)
司法書士のテキスト代はいくらかかる?
最後に、司法書士試験に独学で合格するためのテキスト代の合計金額を出してみたいと思います。
テキスト代はおよそ24万円
上記でご紹介した司法書士のテキストを一式揃えると、およそ24万円になります。
項目 | テキスト代 | 答練・模試代 |
---|---|---|
択一式対策 | 59,290円 | |
記述式対策 | 37,510円 | 60,000円 |
解答スピードアップ・時間配分対策 | 85,000円 | |
費用合計 | 96,800円 | 145,000円 |
市販テキストで大部分をカバーできていますが、答練・模試については、予備校に頼っていますので、その分、費用がかさんでしまいますね。
独学1年目は答練・模試を除けば10万円で済む
仮に、答練と模試を除けば、約10万円ですので、お手頃な価格になってきます。
ですので、学習を始めた初年度は、とりあえず市販テキストだけで挑戦してみて、成功すればラッキーですし、失敗すれば次年度に向けて答練・模試を活用してみる、というスタンスでもいいかもしれませんね。
なお、完全な独学で挑戦する場合であっても、最低限、一度は模試を受験しておくべきだと思います。
司法書士試験は、とにかく時間との戦いですので、時間内に試験問題を解き切れるかどうかが勝負です。この時間配分は、模試を受験してみないとわからない部分が多いと思いますので、模試の受験をおすすめします。
⇒ 伊藤塾の模試(2回分)が最も安く、5,000円で受講が可能です。詳しくは、「司法書士のおすすめ模試・答練」のページでご紹介していますので、そちらをご参照ください。
2年目以降はテキストの買い替えで費用がかさむことに注意
なお、司法書士試験のテキストの多くは、毎年~数年に1回、新年度版・改訂版が出版されます。法改正の反映や、新しい判例の採り入れ、新しい出題傾向への対応が必要になるからです。
ということはつまり、勉強期間が複数年にまたがると、その度にテキストの買い替えが必要になり、その分、テキスト代がかさんでいきます。
私の場合、独学にもかかわらず、勉強を始めて最初の5年間で約40万円(うち、単科講座代:5万円)、そして、8年のブランクを経てからの最後の2年間で40万円(うち、模試・答練・単科講座代:29万円)で、合計80万円もの費用がかかってしまいました。。。
- 独学で合格するための費用は、合計約23万円
- 独学1年目は答練・模試を除けば、約10万円で済む
- ただし、模試は最低1回は受験しておくこと(5,000円で受験可能)
- 2年目以降はテキストの買い替えで費用がかさむことに注意
- 私は独学にもかかわらず80万円かかった
独学より安い?通信講座もおすすめ
このように、司法書士試験の場合、独学だからといって安くつくとは限りません。案外、最初から通信講座を受講した方が安くつくというのもよくある話です。
司法書士の通信講座は、大手予備校なら相場は40万円ほどしますが、オンライン通信講座なら最安値で10万円ぐらいからありますので、独学よりも圧倒的に安くつく可能性もありますね。
下記の記事では、司法書士のおすすめ通信講座・予備校を徹底的に比較してランキング形式でご紹介しています。初心者向け講座のほか、学習経験者向け講座、費用の安い講座など目的別のおすすめ通信講座もご紹介していますので、参考にしてください。
司法書士の通信講座おすすめランキング【予備校徹底比較】 |