うかる!司法書士必出3300選の活用法【これで択一9割超え!】
更新日:2024年11月2日
私は、令和2年度(2020年度)の司法書士試験において、午前32問・午後32問という結果を残すことができました。(ただし、記述で足切りになりましたが)
さらに、令和3年度(2021年度)は、午前35問・午後29問という結果を残し、ついに司法書士試験に合格することができました。
つまり、2年連続、択一試験で9割を超える得点ができたわけです。
この択一9割超えの結果を生み出すことができたのは、伊藤塾のベストセラーテキスト『うかる!司法書士 必出3300選』のお陰でしたので、その有効な活用法をご紹介したいと思います。
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必出3300選の経緯
司法書士試験を受験するにあたり、私が使用したメインテキストは、伊藤塾の「うかる!司法書士 必出3300選」です。
ただし、正確に言うと、そのベースとなっている伊藤塾の「択一クイックマスター総整理講座」の教材を使用しました。
そもそも必出3300選というテキストは、伊藤塾の伝説の講師、向田恭平先生が作り上げた「択一クライマックス総整理講座」の教材をベースにして、2011年に一般向けに市販が開始されたものです。
その後、2014年向け講座を最後に向田講師は伊藤塾を退社され、 司法書士法人JAPAN-UP代表 ⇒ ピースアップ司法書士法人代表、司法書士試験ハイブリッド合格塾 塾長、資格スクール大栄に講義提供など、各方面でご活躍されています。
択一クライマックス総整理講座は、その後、小山晃司講師が後を引き継ぎ、「択一ハイブリッド講座」、そして「択一クイックマスター総整理講座」へと講座名が変わり、2023年度向けからは、「Exceed(エクシード)コース」というパック講座に「択一総整理編」として組み込まれ、現在に至ります。そして、その教材は、担当講師により適宜更新されています。
一方、必出3300選は、2011年の初版当時は必出3000選でしたが、2015年に必出3300選に改題され、小山講師とは別の講師により修正されながら、改訂版が出版されています。
このため、初版当時は、ほぼ同一の内容でしたが、異なる講師が改訂することで、若干の違いが生じてきています。
とはいえ、大部分は同一ですので、このページでは、択一クイックマスター(エクシードコース択一総整理編)の教材についても、「必出3300選」と表記することとします。
ただし、必出3300選は、改訂版が出版されるタイミングがあまり早くないのが唯一の欠点です。
このため、最新版を手に入れるために、これまでは「択一クイックマスター総整理講座」が6万円前後で購入できていましたが、2023年度向け以降は、40万円を超えるパック講座「学習経験者向けExceed(エクシード)コース」に組み込まれてしまったので、そう簡単には手が出せませんね。。。(ただし、本試験直後は半額程度に割引されますので、その時期を狙えば25万円ほどで購入可能)
※ クイックマスター総整理講座の後継として「択一直前クイックマスター講座2024」も開講しましたが、全体の15%程度のみを抜粋したテキストになっていますので、あまり意味はなさそうです。
必出3300選を使用する前提条件
ということで、前置きが長くなりましたが、この必出3300選を活用して、司法書士の択一試験で9割を超える結果が残せた勉強方法をご紹介していきたいと思います。
まず、必出3300選を利用するには、択一知識について一通りの学習をしたことがある、というのが前提になります。
というのは、必出3300選は、理解するためのテキストではなく、知識を整理・暗記するためのテキストだからです。
ですので、「オートマシステム」や「リアリスティック」などの基本テキストを、一度は読んだことがある人(又は、予備校の基礎講座などを受講したことがある人)が対象になってきます。
必出3300選とはどんなテキストなのか
では、オートマシステムなどで、司法書士択一試験の基礎知識を一度は入れたことがあることを前提として、話を進めていきます。
必出3300選というテキストは、左ページに一問一答式の問題集、その右ページに表形式で知識の総整理(要点整理)がなされているテキストです。
出典:Amazon
そして、択一の全11科目がたったの4冊にまとめられているコンパクトさです。
書籍のタイトルからは、問題集を連想しますが、実質的には「要点整理テキスト」(暗記本・まとめ本)の要素が強いテキストです。
非常にコンパクトでありながら、合格に必要な知識が網羅されており、コンパクトであるがゆえに反復学習が可能となり、効率的に知識の定着を図ることができるのが最大の特長です。
また、表形式でまとめられているため、頭の中で想起しやすい(表のどの枠内に書いてあるか位置関係で記憶しやすい)というのも、私は気に入っています。
うかる! 司法書士 必出3300選/全11科目 [1] 民法編(第3版) 著者:伊藤塾 出版社:日経BP 日本経済新聞出版 発売日:2022/11/17 ページ数:304ページ サイズ:A5判 価格:3,080円(電子書籍 2,772円) |
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うかる! 司法書士 必出3300選 [2] 不動産登記法編(第3版) 著者:伊藤塾 出版社:日経BP 日本経済新聞出版 発売日:2023/4/6 ページ数:224ページ サイズ:A5判 価格:2,530円(電子書籍 2,277円) |
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うかる! 司法書士 必出3300選/全11科目 [3] 会社法・商法・商業登記法編(第3版) 著者:伊藤塾 出版社:日経BP 日本経済新聞出版 発売日:2022/8/3 ページ数:290ページ サイズ:A5判 価格:3,080円(電子書籍 3,018円) |
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うかる! 司法書士 必出3300選/全11科目 [4] 憲法・刑法・民訴・民執・民保・書士・供託法編(第3版) 著者:伊藤塾 出版社:日経BP 日本経済新聞出版 発売日:2022/8/3 ページ数:304ページ サイズ:A5判 価格:3,080円(電子書籍 3,018円) |
(参考)ケータイ司法書士との比較
必出3000選が発刊された2年後に、コンセプトが類似する、LECの森山和正講師の「ケータイ司法書士」(初版2013年)が出版されました。
ケータイ司法書士は、必出3300選とは逆に、左ページに要点整理があり、右ページに一問一答形式の問題集が配置されています。
そして、必出3300選と決定的に違うのは、必出3300選は、表形式を中心にまとめられていることに対し、ケータイ司法書士は、すべて文章でまとめられている点です。
それと、赤シート(目隠しシート)に対応しているのは、必出3300選にはないメリットですね。
要点整理ページでは重要語句を目隠しして暗記できますし、一問一答ページでは、答えを隠しながら問題が解けるようになっています。
ただし、私としては、必出3300選の「表形式で整理されている」ところに惹かれていますので、ケータイ司法書士に心変わりすることはありません。
これは、好みの問題だと思いますので、表形式が自分に合わないと感じる方は、「ケータイ司法書士」を使えば、必出3300と同様の効果が得られるはずです。
必出3300選を活用するためのコツ
では、私がおすすめする必出3300選の活用法のコツをご紹介したいと思います。
コツ①:関連する知識にリンクを張る
司法書士試験の勉強をする際には、その知識が何の知識なのか、よく似た制度・混同しやすい知識を比較しながら覚えていくことがとても大切です。
まさにこれが、択一の勉強法の核心部分になってくると思います。
ですので、このテキストを利用する上では、とにかく関連する知識にリンクを張っていくことがとても重要です。
1周目ではなかなか、どことどこが関連する部分なのか気づきにくいですが、2周目、3周目と回すにつれて、あれ?よく似た知識が前にどこかで出てきた気がするぞ、と気が付くようになります。
こうなってくると、しめたものです。それがどこに書いてあったのか探します。それを見つけたら、各ページの余白に、お互いのページ番号をメモします。
このようにして、ドンドン関連ページを増やしながら、テキストを回していきます。すると、そのメモが書かれたページが来るたびに、お互いのページを確認することで、その知識がより深く定着するようになります。
最終的には、リンク元を見た段階で、リンク先のページを見ずにスラスラ言える状態にまで記憶します。
コツ②:どこにどう書いてあるか想起できるまで記憶する
それと、もうひとつコツがあります。
必出3300選は、左ページが一問一答、右ページが要点整理テキスト、という構成になっていますが、左ページの問題を解きながら、「右ページの内容を想起できるまで記憶する」という方法です。
左ページの問題を解きながら、その答えが右ページのどのあたりに、どんなふうに書いてあるのか、頭の中で思い出せるようにするんです。
そして、その問題で直接問われている知識だけでなく、その項目内の知識をすべて、そのページを見ずに言える状態にまで記憶していきます。
3300選は、表形式で整理されていますので、この作業がやりやすいんです。というのは、表のどの枠内に書かれているか位置関係で記憶できるからです。
こうすることで、別の教材や模試で問題を解く際も、本試験においても、すべて必出3300選の右ページから記憶を呼び起こすことができるようになります。
私は、他の教材(下記でご紹介する「でるトコ一問一答」)や模試で仕入れた情報(重要知識に限る)も全て右ページに書き込み、すべての知識を必出3300選の右ページから思い出せるようにしました。
必出3300選の活用法の実際
では次は、具体的な必出3300選の活用法について、ご紹介していきたいと思います。
私は、2020年度は、必出3300選を5周、回しました。(2021年度は3周)
まず1周目は、右ページのテキスト部分を読んでから、左ページの一問一答を解きます。
一問一答の解説には、右ページのテキストの該当箇所が明記してありますので、右ページのテキスト部分を読んで解答を確認します。この際には、重要なキーワードには、赤線(消せるカラーシャープペン)を引いたり塗りつぶしたりするようにしました。
これで1見開きが終了しますので、次の見開きに進み、同様に進めていき、1周目が終了です。
次は2周目です。今度は、左ページの一問一答を一問ずつ解きながら、それに対応する右ページの解説を読みます。
このようにして、全ての一問一答問題を解きながら、右ページのテキストを確認していきます。これが2周目の進め方です。
次は3周目です。3周目の進め方は2周目と同じですが、ひとつ違うのは、一問一答の問題を解く際に、わからなかった問題や知識があいまいな問題について、チェックを入れることです。
各問題にはチェックボックスが3つありますので、その一つにチェックを入れながら解いていきます。これで3周目が終了です。
次の4周目は、チェックボックスにチェックがついている問題だけを解き、その問題に対応した右ページの解説だけを確認します。この際、まだ知識があいまいな問題については、2つ目のチェックボックスにチェックを入れます。
そして次は5周目です。今度は、チェックが2つついている問題だけを解き、その問題に対応する右ページの解説だけを確認しながら、回します。
これで5周が終了です。
この時点で、おそらくですが、司法書士の本試験では7割程度の正答ができる知識レベルになっているのではないかと思います。つまり、これだけでは基準点にあと一歩届かない、、といったところかと思います。
というのは、私は8年前に、同様の勉強方法で司法書士試験を受験し(この時は3周しか回していませんが)、約7割の正答で、基準点まで午前は2問不足・午後は1問不足で基準点落ちをしたからです。
そこで、当時足りなかったのは何かと思い起こしたところ、民法・民訴系3法については、合格に必要な知識が足りなかったのではないかと思いました。
このため、Wセミナーのオートマシステムの「でるトコ一問一答」を解くことにしました。この判断が、大正解でした。
「必出3300選」に「でるトコ一問一答」を組み合わせれば最強!
「必出3300選」と「でるトコ一問一答」の組み合わせは、最強なんです!
最強である理由①
でるトコ一問一答は、必出3300選で、漫然と覚えていた知識に気づきを与えてくれるものでした。
そういう問われ方をするの!?そんなところを聞いてくるの!?と、まさに盲点を突いてきます。
確かに、必出3300選に掲載されている知識ではありますが、それを読んだり、左ページの問題を解いているだけでは、絶対に認識できないような知識です。
その意味で、「必出3300選」と「でるトコ一問一答」の組み合わせが最強なんです。
また、必出3300選に掲載されていない知識もあり、いい具合に必出3300選のスキマを埋めてくれます。このような知識については、必出3300選の余白にメモを書き込んでいきました。
最強である理由②
それともうひとつ、最強だと感じる理由があります。
でるトコ一問一答は、オートマシステムのテキストに準拠したものです。オートマシステムのテキストは、構成(テーマの掲載順)が独特なものになっているため、他社の問題集とは掲載順序がバラバラで相性が悪いと言われています。
このため、必出3300選の掲載順と、でるトコ一問一答の掲載順も、まったく異なっています。しかし、これが良いんです。
テキストに載っている順番どおりに問題を解くよりも、バラバラに問題を解く方が、知識を出し入れする訓練になります。これは、頭の中の知識が、どのテーマに関する知識なのかきちんと整理できていない場合にとても有効です。
テキストの順序どおりに解いていると、どのテーマの知識なのか意識することなく解けてしまうため、よく似た知識で別のテーマと混同していることがよくありますよね。
これが、でるトコ一問一答を使うことで、きちんと区別して、認識して、頭に整理することができるというわけです。
ちなみに、最初の予定では、民法と民訴系3法だけのつもりでしたが、それを解いた段階で、他の科目についても不安が沸いてきたため、結局、全科目について「でるトコ一問一答」を解きました。
このように、でるトコ一問一答を解くことで、7割の知識だったものを、一気に9割まで引き上げることができました。
でるトコ一問一答の使い方
でるトコ一問一答の使い方は、次のとおりです。
でるトコ一問一答を、知識があいまいな問題にチェックを入れながら解き、1科目終えるごとに、チェックを入れた問題を復習。さらにあいまいな問題にチェックを入れて、復習。
この要領で、でるトコ一問一答の全科目終了です。
ちなみに、でるトコ一問一答を解くうえで、正直、刑法については、必出3300選のカバー率が物凄く低く、かなり苦労しました。。その他の科目については、いい具合に必出3300選のスキマを埋めてくれるような出題が多かったように思います。
必出3300選の活用法のまとめ
今回の司法書士試験の受験により、択一対策としては、「必出3300選」と「でるトコ一問一答」以外は、する必要がないことが明らかになりました。
過去問題集も不要です。実際、私は過去問は一切解きませんでしたので。
ただし、本試験での解答スピードを確認するため、答練や模試は必ず受験しておくことをおすすめします。
2020年度の私は、この点を軽視したがために、午後の択一に時間がかかり過ぎ、結果的に、記述式を解く時間がなくなり、散々な結果になってしまいましたので。。
一応私も、伊藤塾の「択一実戦力養成答練」は受講しましたが、その際に、いつも制限時間をオーバーしながらも、本試験では急いで解けばなんとかなるだろう、などと楽観視していました。それが大失敗でした。。。(2021年度は、時間配分のみを注意し、同様の勉強方法で合格することができました)
ということで、以下の4ステップが、私がおすすめする司法書士試験の最強の択一対策です!
- 「オートマシステム」などで、一通りを理解
- 「必出3300選(又はケータイ司法書士)」をベースに知識をインプット
- 「でるトコ一問一答」でインプットした知識を強化
- 「答練or模試」で解答スピードを上げる訓練
(参考)学習経験者向けExceed(エクシード)コース
2023年度から、クイックマスター総整理講座をリニューアルし、オールインワンのパック講座に組み込んだ「司法書士 学習経験者向けExceed(エクシード)コース」が開講しています。
クイックマスターは、これまで単科講座しかなく、講義時間が少ないことが難点でしたが、このエクシードコースに組み込まれたことで、しっかりと講義を受けながら、珠玉のテキストを使いこむことができます。
さらに、記述対策についてもバッチリ対策できますので、総合的な講座をお求めの方は、こちらのエクシードコースも検討してみてはいかがでしょうか。
講座名 | 司法書士 学習経験者向けExceed(エクシード)コース |
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講師 | 小山 晃司 講師 |
目標年度/回数 | 2025年 |
カリキュラム | ・戦略編(3時間) ・基礎構築編(108時間) ・択一総整理編(108時間) ・記述式演習基礎編(6回) ・記述式演習実践編(10回) ・択一実戦力養成答練(12回) ・記述式答案構成力養成答練(12回) ・全国公開模擬試験(2回) |
受講料 | [Web] 428,000円 |
公式サイト | 伊藤塾 公式サイトへ |
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