関数電卓の使い方(座標計算/カシオ)【土地家屋調査士の独学書式講座】
土地家屋調査士試験では、関数電卓の持ち込みが認められていますので、書式問題(記述式問題)を解くためには、電卓を有効活用して座標計算や面積計算をする必要があります。
このページでは、土地家屋調査士の書式問題を解くために必要となる関数電卓(カシオ fx-JP500)の使い方について解説します。
※ 複素数計算は使用しません。ノーマルな計算方法で解説しますので、ご了承ください。
- 複素数計算については、アガルートの『[中山式]複素数計算』がおすすめです。
<書式対策(独学講座)>
関数電卓|地積測量図|各階平面図|建物図面
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おすすめの関数電卓
まずは、当ページで使用する関数電卓と、おすすめの電卓について紹介します。
カシオ fx-JP500(当ページで使用する電卓)※2023年に生産終了
土地家屋調査士試験のおすすめの関数電卓は、カシオのfx-JP500という機種です。
fx-JP500は、それまでのfx-991シリーズとは一線を画す新型電卓として、東京法経学院やLEC、アガルートもすべて、カシオの「fx-JP500」の使用が推奨されるようになりました。
ところが、このfx-JP500は、2023年秋頃に生産終了となり、後継機種(fx-JP500CW)が出ましたが、”使いにくい”と評判ですので、在庫が残っているうちに購入しておいた方がいいかもしれません。
なお、現在は、カシオfx-JP500に操作性が近いCanon F-789SGの使用が推奨されています。
なお、fx-JP900という上位機種もありますが、土地家屋調査士試験では、JP500で十分です。
カシオ 関数電卓 fx-JP500 (高精細・日本語表示 関数・機能500以上) サイズ: 16.7 x 8.2 x 1.8 cm 参考価格: 3,168円 |
新おすすめ電卓 Canon F-789SG
現在(2024年以降)、各予備校で使用が推奨されるようになった電卓が、CanonのF-789SGです。
カシオのfx-JP500に比べると操作性はやや劣りますが、カシオの後継機種fx-JP500CWに比べると使い勝手は良く、fx-JP500に近い操作が可能とされています。
Canon 関数電卓 F-789SG サイズ: 8.0 x 16.8 x 1.3cm 参考価格: 2,509円 |
関数電卓の使い方(座標計算/カシオ)
それでは、実際に事例を使って、座標計算のためのカシオ関数電卓(fx-JP500)の使い方を解説していきます。
最初に、fx-JP500では、初期設定が分数表示になっているため、
SHIFT→SETUP→1→4
とたたいて、少数表示に切り替えておいてください。
なお、下記の解説で、メモリーを呼び出す場合に(例えば、を呼び出す場合)
とたたくのと、 とたたくのは同じです。
とたたくと、記憶されているメモリーの一覧から選択する形になりますが、どのキーに記憶されているか確信がある場合は、 と叩いた方が打鍵数が少なくなります。
座標計算の事例
「土地」に関しては、下記の座標値を使用します。(H19 本試験問題)
筆界 | X座標 | Y座標 |
---|---|---|
F | 218.55 | 215.11 |
E | 207.51 | 220.79 |
D | 205.68 | 216.45 |
C | 204.73 | 211.98 |
G | 216.88 | 208.43 |
M1 | 200.00 | 200.00 |
M2 | 206.10 | 224.47 |
※ 上記の筆界の並びが、FEDCGとなっていて、CDEFGとなっていないことについては、下記の(3)をご参照ください。
(1) 2点の座標値から距離と方向角を求める
まずは、M1点とM2点の座標値が与えられた場合に、その2点間の距離と方向角を求める方法です。
M1(200.00 , 200.00) M2(206.10 , 224.47)
206.10 200.00 224.47 200.00 |
と電卓をたたくと、
「r=25.21886001」 ← M1点、M2点間の距離
「θ=76.00232841」 ← M1点、M2点間の方向角
という値が出ます。
※ この時点で、メモリーに2点間の距離、メモリーに2点間の方向角が記憶されています。
次に、メモリーに記憶されている数値を呼び出すため、
とたたくと、「76.00232841」という値が出てくるので、これを60進数(度分秒)の表示に切り換えるため、
とたたくと、「76°0°8.38」となります。 ← M1点からM2点への方向角
(2) 2点間の距離と方向角から座標値を求める
次は、M1点の座標値は与えられているけれど、B点の座標値が与えられていない場合で、M1点からB点への距離と方向角が与えられているときの、B点の座標値の求め方です。
M1(200.00 , 200.00) B( , )
距離 11.21m 方向角 67°0′8″
11.21 67 0 8 |
とたたくと、
「x=4.379695729」 ← M1点からB点へのX座標の増分
「y=10.310902928」 ← M1点からB点へのY座標の増分
となります。
※ この時点で、メモリーにX座標の増分(⊿X)、メモリーにY座標の増分(⊿Y)が記憶されています。
次に、M1点のX座標に、B点までの増分(⊿X)を加えるため、
200.00 |
とたたくと、「204.3796957」となるので、四捨五入して 「204.38」 ← B点のX座標
次に、メモリーに記憶されている数値を呼び出すため、
とたたくと、「10.31902928」という値が出ます。 ← M1点からB点へのY座標の増分
そして、M1点のY座標に、B点までの増分(⊿Y)を加えるため、
200.00 |
とたたくと、「210.3190293」となるので、四捨五入して 「210.32」 ← 点BのY座標
(3) 座標値から地積を求める
次は、多角形FEDCG の各点の座標値が求められた場合の、地積の計算方法です。
筆界 | X座標 | Y座標 |
---|---|---|
F | 218.55 | 215.11 |
E | 207.51 | 220.79 |
D | 205.68 | 216.45 |
C | 204.73 | 211.98 |
G | 216.88 | 208.43 |
ここで、筆界の並びが、FEDCGとなっていて、CDEFGとなっていないのは、面積を計算するときの計算方法の違いによって、計算結果がマイナス表示となるか、プラス表示となるかの違いが出てくるためです。
私の計算方法では、多角形の筆界を、時計回りに記載していくと、計算結果がプラス表示となるため、このようにしています。
下表の一番右の欄の値を、上から順に算出していきます。
218.55 220.79 208.43 |
とたたくと、「2701.278」と表示され、独立メモリーに記憶されます。 ←下表①の数値
以下、同様にたたいていくと、独立メモリーに加算されていきます。
207.51 216.45 215.11 |
とたたくと、「278.0634」 ←下表②の数値
205.68 211.98 220.79 |
とたたくと、「-1812.0408」 ←下表③の数値
204.73 208.43 216.45 |
とたたくと、「-1641.9346」 ←下表④の数値
216.88 215.11 211.98 |
とたたくと、「678.8344」 ←下表⑤の数値
ここまでで、メモリーへの加算は終わりましたので、加算の結果を呼び出します。
とたたくと、「204.2004」 ←下表⑥の数値(2A:倍面積)
これは倍面積なので、面積を求めるため、
2 |
とたたくと、「102.1002」 ←下表⑦の数値(A:面積)
これが宅地であれば、地積は102.10㎡となります。
(4) 辺長を求める
上述の「(1) 2点の座標値から、距離と方向角を求める。」の計算方法を活用します。
まず、計算を始める前に、小数点以下の桁数の設定をします(解答の指示で、「辺長は、小数点以下第3位を四捨五入する」となっている場合)。
SHIFT→SETUP→3(表示桁数)→1(Fix)→2
これで、計算結果は、小数点以下第3位を四捨五入した値となります。
まず、FE間の辺長を求めてみます。F(218.55 , 215.11) E(207.51 , 220.79)
2点間の距離と方向角を求める要領で、
207.51 218.55 220.79 215.11 |
とたたくと、「r=12.42」という値が出ます。 ← FE間の距離 (少数第3位で四捨五入)
次に、ED間も同様に、E(207.51 , 220.79) D(205.68 , 216.45)
205.68 207.51 216.45 220.79 |
とたたくと、「r=4.71」となります。← ED間の距離
この要領で、順に求めていきます。
なお、小数点以下の桁数を元に戻すには、
SHIFT→SETUP→3(表示桁数)→3(Norm)→1
とたたくと、元に戻ります。
(5) 2直線の交点を求める
冒頭の事例の中には書ききれませんでしたが、直線IGと直線BDという2直線があったときの、その交点の座標の求め方です。(この事例では、直線IGの延長線と、直線BDとが交わります。)
I(226.66 , 205.57) G(216.88 , 208.43)
B(204.38 , 210.32) D(205.68 , 216.45)
直線の方程式は、Y=aX+b と表されます。 この直線の傾き「a」は、上述の「(1) 2点の座標値から、距離と方向角を求める。」の計算方法を活用して求めます。
まず、IG間の方向角を求めるため、
216.88 226.66 208.43 205.57 |
とたたくと、メモリーには2点間の方向角が入っているので、
とたたくと、「-0.292433537」となります。 ← 直線IGの傾き「a」
これを、メモリーに記憶させるため、
とたたきます。
次に、切片「b」を求めるため、式を変形します。 b=Y-aX
I点でもG点でもどちらでも構いませんが、例えば、G点の座標値を代入するとして、
208.43 216.88 |
とたたくと、「271.8529857」となります。 ← 直線IGの切片「b」
これを、メモリーに記憶させるため、
とたたきます。 ここまでで、直線IGの方程式は、Y=X+ となっています。
次に、直線BDの方程式についても同様に、メモリー と を使って、Y=X+ となるようにします。(メモリーには「4.715384618」、には、「753.4103082」が入ります。)
この方程式の解は、
で求められるので、 まず、 - を求めるため、
とたたくと、「-4.715384618」となり、これを、メモリーに記憶させるため、
とたたきます。
次に、 - も同様にして、メモリーに記憶させます。(「961.8403082」)
これで、上記(ア)の式が、0=X+ となったので、式を変形して、X=- / とし、
とたたくと、「204.7325326」となるので、四捨五入して、「204.73」← 交点のX座標
これを、Y=X+ の式に代入すれば、
204.73 |
「211.9830675」となり、四捨五入して、「211.98」となります。← 交点のY座標
関数電卓の使い方(床面積の求積/カシオ)の解説
土地の座標計算については以上です。
次は、建物について、カシオ関数電卓の使い方を解説します。
建物の書式問題を解く際は、土地の座標計算のような特別な電卓操作は求められませんので、床面積を求める方法のみ記載しておきます。
2つの四角形に分けて床面積を求める
上図のような場合、四角形2つに分けて面積を求めますので、
求積
12.50×10.00=
8.00×12.50=
として、メモリーに加算しながら、計算をします。
12.50 10.00 |
とたたくと、「100」となるので、「100.0000」と書き込み、続いて、
8.00 12.50 |
とたたくと、「125」となるので、「125.0000」と書き込みます。そして、メモリーを呼び出すため、
とたたくと、「225」と出るので、計 「225.0000」となります。
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