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関数電卓の使い方(座標計算/カシオ)を解説します!【土地家屋調査士の独学書式講座】

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土地家屋調査士の関数電卓の使い方(座標計算)

関数電卓の使い方(座標計算)

 土地家屋調査士試験では、関数電卓の持ち込みが認められていますので、書式問題を解くためには、電卓を有効活用して座標計算や面積計算をする必要があります。

 このページでは、土地家屋調査士の書式問題を解くために必要となる関数電卓(カシオ fx-JP500)の使い方について解説します。

※ 複素数計算は使用しません。ノーマルな計算方法で解説しますので、ご了承ください。

【執筆者】
㈱モアライセンス代表 大西雅明

市役所に22年間勤めた元公務員。宅建士、行政書士、司法書士、土地家屋調査士などの国家資格に合格し、15年以上にわたって当サイトで情報発信している。
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おすすめの関数電卓

 まずは、当ページで使用する関数電卓と、おすすめの電卓について紹介します。

カシオ fx-JP500(当ページで使用する電卓)※2023年に生産終了

カシオ関数電卓 fx-JP500

 土地家屋調査士試験のおすすめの関数電卓は、カシオのfx-JP500という機種です。

 fx-JP500は、それまでのfx-991シリーズとは一線を画す新型電卓として、東京法経学院やLEC、アガルートもすべて、カシオの「fx-JP500」の使用が推奨されるようになりました。

 ところが、このfx-JP500は、2023年秋頃に生産終了となり、後継機種(fx-JP500CW)が出ましたが、”使いにくい”と評判ですので、在庫が残っているうちに購入しておいた方がいいかもしれません。

 なお、現在は、カシオfx-JP500に操作性が近いCanon F-789SGの使用が推奨されています。

 なお、fx-JP900という上位機種もありますが、土地家屋調査士試験では、JP500で十分です。

土地家屋調査士用の電卓 カシオ 関数電卓 fx-JP500
(高精細・日本語表示 関数・機能500以上)

サイズ: 16.7 x 8.2 x 1.8 cm
参考価格:
3,168円

新おすすめ電卓 Canon F-789SG

新おすすめ関数電卓 Canon F-789SG

 現在(2024年以降)、各予備校で使用が推奨されるようになった電卓が、CanonのF-789SGです。

 カシオのfx-JP500に比べると操作性はやや劣りますが、カシオの後継機種fx-JP500CWに比べると使い勝手は良く、fx-JP500に近い操作が可能とされています。

土地家屋調査士用の電卓 Canon 関数電卓 F-789SG

サイズ: 8.0 x 16.8 x 1.3cm
参考価格: 2,509円

関数電卓の使い方(座標計算/カシオ)

 それでは、実際に事例を使って、座標計算のためのカシオ関数電卓(fx-JP500)の使い方を解説していきます。

 最初に、fx-JP500では、初期設定が分数表示になっているため、

SHIFTSETUP14

とたたいて、少数表示に切り替えておいてください。

 なお、下記の解説で、メモリーを呼び出す場合に(例えば、xを呼び出す場合)
SHIFT RECALL x とたたくのと、ALPHA x とたたくのは同じです。

SHIFT RECALL とたたくと、記憶されているメモリーの一覧から選択する形になりますが、どのキーに記憶されているか確信がある場合は、ALPHA x と叩いた方が打鍵数が少なくなります。

座標計算の事例

座標計算の事例

「土地」に関しては、下記の座標値を使用します。(H19 本試験問題)

筆界 X座標 Y座標
218.55 215.11
207.51 220.79
205.68 216.45
204.73 211.98
216.88 208.43

M1 200.00 200.00
M2 206.10 224.47

※ 上記の筆界の並びが、FEDCGとなっていて、CDEFGとなっていないことについては、下記の(3)をご参照ください。

(1) 2点の座標値から距離と方向角を求める

2点の座標値から、距離と方向角を求める。

 まずは、M1点とM2点の座標値が与えられた場合に、その2点間の距離と方向角を求める方法です。 

M1(200.00 , 200.00) M2(206.10 , 224.47)

 SHIFT  Pol  206.10  -  200.00  SHIFT ,  224.47  -  200.00  =

と電卓をたたくと、
「r=25.21886001」 ← M1点、M2点間の距離
「θ=76.00232841」 ← M1点、M2点間の方向角
という値が出ます。

 ※ この時点で、メモリーxに2点間の距離、メモリーyに2点間の方向角が記憶されています。 

 次に、メモリーyに記憶されている数値を呼び出すため、 

 SHIFT RECALL  y  =

とたたくと、「76.00232841」という値が出てくるので、これを60進数(度分秒)の表示に切り換えるため、

 °′″

とたたくと、「76°0°8.38」となります。 ← M1点からM2点への方向角

(2) 2点間の距離と方向角から座標値を求める

 次は、M1点の座標値は与えられているけれど、B点の座標値が与えられていない場合で、M1点からB点への距離と方向角が与えられているときの、B点の座標値の求め方です。 

M1(200.00 , 200.00) B(   ,   ) 

距離 11.21m 方向角 67°0′8″

 SHIFT  Rec  11.21  SHIFT ,  67  °′″  0  °′″  8  °′″  = 

とたたくと、
「x=4.379695729」 ← M1点からB点へのX座標の増分 
「y=10.310902928」 ← M1点からB点へのY座標の増分
となります。

※ この時点で、メモリーxにX座標の増分(儿)、メモリーyにY座標の増分(兀)が記憶されています。

 次に、M1点のX座標に、B点までの増分(儿)を加えるため、 

 ALPHA x +  200.00  =

とたたくと、「204.3796957」となるので、四捨五入して 「204.38」 ← B点のX座標 

 次に、メモリーyに記憶されている数値を呼び出すため、 

 SHIFT RECALL y  =

とたたくと、「10.31902928」という値が出ます。 ← M1点からB点へのY座標の増分

 そして、M1点のY座標に、B点までの増分(兀)を加えるため、 

 +  200.00  =

とたたくと、「210.3190293」となるので、四捨五入して 「210.32」 ← 点BのY座標 

(3) 座標値から地積を求める

座標値から地積を求める。

 次は、多角形FEDCG の各点の座標値が求められた場合の、地積の計算方法です。

筆界 X座標 Y座標
218.55 215.11
207.51 220.79
205.68 216.45
204.73 211.98
216.88 208.43

 ここで、筆界の並びが、FEDCGとなっていて、CDEFGとなっていないのは、面積を計算するときの計算方法の違いによって、計算結果がマイナス表示となるか、プラス表示となるかの違いが出てくるためです。

 私の計算方法では、多角形の筆界を、時計回りに記載していくと、計算結果がプラス表示となるため、このようにしています。

 下表の一番右の欄の値を、上から順に算出していきます。

 218.55 (  220.79 - 208.43 M+

とたたくと、「2701.278」と表示され、独立メモリーMに記憶されます。 ←下表@の数値

以下、同様にたたいていくと、独立メモリーMに加算されていきます。

 207.51 (  216.45 - 215.11 M+ 

とたたくと、「278.0634」 ←下表Aの数値

 205.68 (  211.98 - 220.79 M+

とたたくと、「-1812.0408」 ←下表Bの数値

 204.73 (  208.43 - 216.45 M+

とたたくと、「-1641.9346」 ←下表Cの数値

 216.88 (  215.11 - 211.98 M+

とたたくと、「678.8344」 ←下表Dの数値

ここまでで、メモリーMへの加算は終わりましたので、加算の結果を呼び出します。

 SHIFT RECALL M =

とたたくと、「204.2004」 ←下表Eの数値(2A:倍面積) 

これは倍面積なので、面積を求めるため、

 ÷ 2 =

とたたくと、「102.1002」 ←下表Fの数値(A:面積) 

これが宅地であれば、地積は102.10uとなります。 

 

(4) 辺長を求める

辺長を求める。

 上述の「(1) 2点の座標値から、距離と方向角を求める。」の計算方法を活用します。 

 まず、計算を始める前に、小数点以下の桁数の設定をします(解答の指示で、「辺長は、小数点以下第3位を四捨五入する」となっている場合)。

SHIFTSETUP3(表示桁数)→1(Fix)→2

これで、計算結果は、小数点以下第3位を四捨五入した値となります。

 まず、FE間の辺長を求めてみます。F(218.55 , 215.11) E(207.51 , 220.79)
 2点間の距離と方向角を求める要領で、

 SHIFT Pol 207.51 - 218.55 SHIFT , 220.79 - 215.11 =

とたたくと、「r=12.42」という値が出ます。 ← FE間の距離 (少数第3位で四捨五入) 

 次に、ED間も同様に、E(207.51 , 220.79) D(205.68 , 216.45)

 SHIFT Pol 205.68 - 207.51 SHIFT , 216.45 - 220.79 =

とたたくと、「r=4.71」となります。← ED間の距離

 この要領で、順に求めていきます。

 なお、小数点以下の桁数を元に戻すには、

SHIFTSETUP3(表示桁数)→3(Norm)→1

とたたくと、元に戻ります。

(5) 2直線の交点を求める

二直線の交点を求める

 冒頭の事例の中には書ききれませんでしたが、直線IGと直線BDという2直線があったときの、その交点の座標の求め方です。(この事例では、直線IGの延長線と、直線BDとが交わります。)

I(226.66 , 205.57) G(216.88 , 208.43)
B(204.38 , 210.32) D(205.68 , 216.45)

 直線の方程式は、Y=aX+b と表されます。 この直線の傾き「a」は、上述の「(1) 2点の座標値から、距離と方向角を求める。」の計算方法を活用して求めます。

 まず、IG間の方向角を求めるため、

 SHIFT Pol 216.88 - 226.66 SHIFT , 208.43 - 205.57 =

とたたくと、メモリーyには2点間の方向角が入っているので、

 tan ALPHA y =

とたたくと、「-0.292433537」となります。 ← 直線IGの傾き「a」 

これを、メモリーAに記憶させるため、

 STO A

とたたきます。

 次に、切片「b」を求めるため、式を変形します。 b=Y−aX
 I点でもG点でもどちらでも構いませんが、例えば、G点の座標値を代入するとして、

  208.43 - ALPHA A × 216.88 =

とたたくと、「271.8529857」となります。 ← 直線IGの切片「b」 

 これを、メモリーBに記憶させるため、

 STO B

とたたきます。 ここまでで、直線IGの方程式は、Y=AX+B となっています。

 次に、直線BDの方程式についても同様に、メモリーCD を使って、Y=CX+D となるようにします。(メモリーCには「4.715384618」、Dには、「753.4103082」が入ります。)
 この方程式の解は、

(Y=AX+B)-(Y=CX+D) 0=(A-C)X+(B-D)

で求められるので、 まず、AC を求めるため、

 ALPHA A - ALPHA C =

とたたくと、「-4.715384618」となり、これを、メモリーxに記憶させるため、

 STO x

とたたきます。

 次に、BD も同様にして、メモリーyに記憶させます。(「961.8403082」) 

 これで、上記(ア)の式が、0=xX+y となったので、式を変形して、X=−y / xとし、

  (-) ALPHA y ÷  ALPHA x

 とたたくと、「204.7325326」となるので、四捨五入して、「204.73」← 交点のX座標 

 これを、Y=AX+B の式に代入すれば、 

 ALPHA A × 204.73 + ALPHA B =

 「211.9830675」となり、四捨五入して、「211.98」となります。← 交点のY座標

関数電卓の使い方(床面積の求積/カシオ)の解説

関数電卓の使い方(床面積の求積)の解説

 土地の座標計算については以上です。

 次は、建物について、カシオ関数電卓の使い方を解説します。

 建物の書式問題を解く際は、土地の座標計算のような特別な電卓操作は求められませんので、床面積を求める方法のみ記載しておきます。

2つの四角形に分けて床面積を求める

2つの四角形に分けて面積を求める

上図のような場合、四角形2つに分けて面積を求めますので、

求積
 12.50×10.00=
 8.00×12.50=
として、メモリーMに加算しながら、計算をします。

 12.50 × 10.00 M+

とたたくと、「100」となるので、「100.0000」と書き込み、続いて、

 8.00 × 12.50 M+

とたたくと、「125」となるので、「125.0000」と書き込みます。そして、メモリーを呼び出すため、

 SHIFT RECALL M =

とたたくと、「225」と出るので、計 「225.0000」となります。

 

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