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社労士試験の合格点は?合格基準と救済措置の仕組みや推移を解説

更新日:2025年12月16日

社労士試験の合格点は?合格基準と救済措置を解説

 社労士試験は、あらかじめ合格基準が公表されていますが、その合格点は毎年補正されるため、「相対評価を取り入れた絶対評価試験」といえます。

 この補正のうち、各科目の合格基準(足切り点)に補正が入ることを「救済措置」と呼んでいます。

 このように、社労士試験の合格基準は少し複雑なため、その仕組みや合格点の推移、過去の補正(救済措置)の実績について解説します

 これから社労士試験を受験される方は、ぜひ参考にしてください。

※ 合格ライン予想はこちら⇒ 社労士の解答速報&合格ライン予想まとめ

【執筆者】
㈱モアライセンス代表 大西雅明

市役所に22年間勤めた元公務員。社労士・FP1級・行政書士・司法書士などの国家資格に合格し、15年以上にわたって当サイトで情報発信している。
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社労士試験の合格点

 社労士試験の合格点は、平成12年度以降、原則として下記のように設定されています。

試験区分 (原則)合格基準点
選択式 総得点 40点中28点以上
(7割の正解)
各科目 5点中3点以上
択一式 総得点 70点中49点以上
(7割の正解)
各科目 10点中4点以上
出典:社会保険労務士試験の合格基準の考え方について(厚生労働省)

 社労士試験の配点は、選択式8科目の各科目5点ずつで合計40点、択一式7科目の各科目10点ずつで合計70点です。

 そして、原則的な合格基準点(足切り点)は、選択式は各科目5点中3点以上、総得点で40点中28点以上(7割以上)、択一式は各科目10点中4点以上、総得点で70点中49点以上(7割以上)と設定されています。

 この配点と原則的な合格基準点を一覧表に整理すると、下記のようになります。

社労士試験の原則的な合格基準点
試験科目 選択式の配点
(合格基準点)
択一式の配点
(合格基準点)
労働基準法・労働安全衛生法 5点(3点以上) 10点(4点以上)
労働者災害補償保険法
(労働保険徴収法を含む)
5点(3点以上) 10点(4点以上)
雇用保険法
(労働保険徴収法を含む)
5点(3点以上) 10点(4点以上)
労働に関する一般常識 5点(3点以上) 10点(4点以上)
社会保険に関する一般常識 5点(3点以上)
健康保険法 5点(3点以上) 10点(4点以上)
厚生年金保険法 5点(3点以上) 10点(4点以上)
国民年金法 5点(3点以上) 10点(4点以上)
総得点 40点(28点以上※7割) 70点(49点以上※7割)

 つまり、総得点だけでなく、全ての科目(選択式8科目+択一式7科目=15科目)ごとに基準点(足切り点)が設定されているということです。

 いくら総得点が高くても、15科目中どれか1科目でも基準点に満たなかった場合は、それだけで不合格になってしまいます。

 これは厳しいですよね、、ここまで細かく基準点が設定されている試験は、なかなか他にないんじゃないでしょうか。。

 特に、選択式の5点中3点以上というのが厳しいんです。。

 行政書士試験で基礎知識の足切りが怖いとかよく言われますが、その比じゃありません。

合格基準の補正(相対評価を取り入れた絶対評価)

 社労士試験では、試験の水準を一定に保つために、下記のとおり合格基準点の補正が行われることになっています。

 合格基準点が定められているという意味では「絶対評価」と言えますが、受験生の得点状況に応じて(試験の難易度に応じて)基準点を上下させるという意味では「相対評価」と言えます。

 つまり、社労士試験は、相対評価の要素を取り入れた絶対評価試験といえるのではないでしょうか。

総得点の合格基準点の補正

 選択式・択一式それぞれの総得点について、下記のとおり合格基準点の補正が行われます。

  1. 前年度の平均点と今年度の平均点との差(少数第1位を四捨五入)を、前年度の合格基準点に加減する。
    (例:前年度の合格基準点が45点で、前年度の平均点と今年度の平均点との差が▲1.4点の場合、前年度の合格基準点から1点を減じ、今年度の合格基準点は44点になる。)
  2. 上記で四捨五入によって切り捨て(又は切り上げ)された端数を平成13年度以降累計し、±1点以上となったときは、それを合格基準点に加減する。
    ただし、これにより平成12年度以降の平均合格率との乖離が大きくなるときは、加減しない。
  3. 下記により各科目の合格基準点の補正を2科目以上行った結果、例年の合格率より高くなるとき(概ね10%を目安)は、総得点の合格基準点を1点引き上げる。

各科目の合格基準点の補正(救済措置)

 選択式・択一式それぞれの各科目について、合格基準点(選択式3点、択一式4点)以上の受験者が5割未満の場合、合格基準点の引き下げが行われます

 ただし、原則として、引き下げた結果、下記になる場合は引き下げは行われません。(あくまでも原則であって、例外あり)

  1. 合格基準点以上の受験者が7割以上になる場合
  2. 合格基準点が選択式で0点、択一式で2点以下になる場合

 なお、この合格基準点の補正は、「救済措置」と呼ばれますが、難しすぎる問題を出題してしまったことに対し、適正な合格基準点に修正するだけのことですから、本来、救済措置という言葉は相応しくありませんね。

 とはいえ、私自身、社会保険一般常識で救済措置に救われた一人です。まさに救われたと思ったので、救済措置と呼びたくなる気持ちはよくわかります。

合格点の推移と救済措置の過去の実績

 合格基準点を補正する制度により、実際にどのように補正されてきたのか、合格基準点の推移と救済措置の過去の実績を整理すると、下表のようになります。

年度 選択式の合格基準点 択一式の合格基準点
総得点(正答率) 各科目の補正
(原則3点)
総得点(正答率) 各科目の補正
(原則4点)
平成28年
(2016年)
23点(58%) 労一・健保:2点 42点(60%) 一般・厚年・国年:3点
平成29年
(2017年)
24点(60%) 雇用・健保:2点 45点(64%) 厚年:3点
平成30年
(2018年)
23点(58%) 社一・国年:2点 45点(64%) ---
令和1年
(2019年)
26点(65%) 社一:2点 43点(61%) ---
令和2年
(2020年)
25点(63%) 労一・社一・健保:2点 44点(63%) ---
令和3年
(2021年)
24点(60%) 労一:1点
国年:2点
45点(64%) ---
令和4年
(2022年)
27点(68%) --- 44点(63%) ---
令和5年
(2023年)
26点(65%) --- 45点(64%) ---
令和6年
(2024年)
25点(63%) 労一:2点 44点(63%) ---
令和7年
(2025年)
22点(55%) 労災・労一・社一:2点 42点(60%) 雇用:3点
過去10年 平均
24.5点(61%)
労災:1回
雇用:1回

労一:5回
社一:4回
健保:3回
国年:2回
平均
43.9点(63%)
雇用:1回
一般:1回

厚年:2回
国年:1回
出典:厚生労働省

 総得点については、前年度の平均点と今年度の平均点との差に応じて、毎年増減します

 平成12年度に合格基準点が定められた当初は、70%の正答率(選択28点、択一49点)からスタートしましたが、現在は60~65%前後で推移しています。

 各科目については、選択式3点、択一式4点が原則的な合格基準点ですが、この原則的な合格基準点以上の受験生が5割未満の場合に、引き下げが行われます

 その結果、選択式については、毎年のように労一・社一を中心に、補正が行われています。

 例年、本試験実施から合格発表までの期間は、どの科目で補正が適用されるのか、その話題で持ちきりになります。下記の関連記事で、各予備校・講師による合格ライン予想の情報をまとめていますので、興味のある方は、そちらもご覧ください。

合格基準を突破するための対策

 社労士試験は合格基準点が厳しく設定されている試験です。

 これを突破するためには、苦手科目を作らない、に尽きますね。

 全ての科目を満遍なく、一定レベル以上に仕上げる必要があります。

 そして、足切りが怖いのは選択式です(5点中3点)。択一式の足切り(10点中4点)に引っかかるようでは、そもそも合格レベルに達していませんので、怖いとかの問題ではありません。

 選択式の中でも特に足切りが怖いのが、労働一般常識と社会保険一般常識です。

 正直、こうすれば絶対大丈夫、というような対策はありません。最低限、みんなが解ける問題を落とさないような対策をしておくことが大切です。

 ただし、そうは言っても社労士試験は、相対評価を取り入れた絶対評価の試験です。

 そもそも誰も解けないような出題があれば基準点は下がるので、そこまで心配する必要はないともいえます。

 つまり、みんなが解ける問題を落とさないこと、これが大切です。

 独学で社労士試験にチャレンジする場合は、下記の関連記事を参考にしてください。

 また、独学が不安な方や、短期合格を目指したい方には通信講座もおすすめです。

 下記の記事では、社労士のおすすめ通信講座を徹底的に比較してランキング形式で紹介しています。費用の安さや合格率の高さなど項目別のおすすめ通信講座も紹介していますので、参考にしてください。


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