社労士の独立開業をインタビュー取材!【小西社会保険労務士(神戸市)】
このコーナーでは、士業の資格取得を目指す皆さんに役立つ情報を発信するため、士業として、どうやって独立開業までこぎつけ、軌道に乗せるのか、など資格試験の受験生にとって物凄く気になる疑問について、士業の先生に直接取材し、「士業として開業」するための情報をお伝えしていきます。
今回、取材させていただいたのは、神戸三ノ宮で社会保険労務士として開業されている小西 朋安 先生です。
小西社労士は、当社の顧問税理士の濱谷税理士から紹介していただきました。突然の依頼にもかかわらず、快くお引き受けくださり、本当にありがとうございます。
取材当日は、濱谷税理士にも同行いただき、取材のサポートをしていただきましたので、本当に助かりました。
それでは早速、インタビューを始めていきたいと思います。
インタビュアーは、当サイト管理人の大西が務めさせていただきます。(⇒サイト管理人紹介)
社会保険労務士 こにしオフィス 代表 小西 朋安 採用コストゼロで1年で辞めずに働いてくれる 優良人材が採れる『共鳴採用メソッド』 |
◆平成18年から税理士事務所で勤務し、同年「社会保険労務士 こにしオフィス」を開業。以来200社の中小零細企業のサポートを行ってきている。特に、小さな会社が採用コストをかけずに優良人材を採用するための「共鳴採用メソッド」は、人材確保の面だけでなく、既存社員の定着率アップ、社員育成、売上のアップに繋がると好評を得ている。
社労士の独立開業を目指したきっかけなどについて
まず最初に、 社労士の独立開業を目指したきっかけや、社労士試験の勉強方法などについて、お伺いしていきたいと思います。
大西
社労士の資格取得を目指そうと思ったきっかけは何でしょうか?
小西社労士
私が社労士を目指したのは、高い志があったというわけではありません。
大学卒業後、まず、東京のIT企業にプログラマーとして就職しました。しかし、毎日満員電車に乗って通勤しているうちに、そんな生活に疑問を抱くようになりました。「40年もこの生活を送るのか?」と。
また、管理職の仕事や待遇を見ても、将来自分が満足して会社で仕事をしている姿がイメージできず、先行きが不安になりました。
そんなある日、偶然テレビで社労士という職業を知りました。社労士というのは、「人の専門家」と言われたりします。
私は人見知りで、対人関係が得意というわけではありませんでしたので、得意じゃないからこそ、「人の専門家」である職業に就けば、自分を変えていくことができるのではないかと思い、社労士を目指すことにしました。
- 大学卒業後、東京のIT企業にプログラマーとして就職したが、将来自分が満足して仕事している姿がイメージできなかった。
- ”人の専門家”である社労士になって、自分を変えたい!
大西
当時は、資格が強かった時代で、資格があれば、“食いっぱぐれない”という時代でしたね。
小西社労士
そうですね。父親も税理士として働いていましたので、士業が身近な存在だったというのも、社労士を目指そうと思った理由のひとつかもしれません。
大西
では、社労士を目指すことを決めたあと、どのような勉強方法でどれぐらいの期間、勉強されましたか?
小西社労士
社労士になるために、絶対に一発で合格すると決意し、年度途中の6~7月頃だったと思いますが、仕事を退職し、TACの通学講座に通い始めました。
8~9か月間ぐらいの標準的なコースで、週に1~2回の講義があったと思います。
最初のうちは、テキストばかり読んでいましたが、途中から、あまり意味がないんじゃないかと思い、ひたすら過去問を解くという勉強方法に変更しました。過去問を解いて、わからなければようやくテキストを読む、というやり方ですね。
すると、講義の合間合間で実施される確認テストもバッチリ解けるようになったため、“とにかく過去問を解く”という勉強方法で間違いないと確信しました。
大西
1日にどれぐらい勉強されましたか?
小西社労士
毎朝5時に起床し、最低でも5~6時間は勉強しました。社労士試験のために、ここまで勉強する人はいないんじゃないかというくらい勉強しましたね。
大西
やはり直前期は勉強時間を増やしましたか?
小西社労士
直前期だからと言って、特に焦って勉強するようなことはしませんでした。模試では、TACのほか、LECや大原も受けましたが、余裕で合格ラインを超えていましたので、安心していました。
頭の中で過去問を思い出しながら解くようなこともしていました。それだけ過去問を覚えてしまうぐらい、過去問をやり込んだということです。
大西
一般的には、働きながら勉強する方が多いと思いますが、仕事を辞めて勉強に専念した場合、逆に大変だったようなことはありましたか?
小西社労士
確かに、時間があり過ぎると勉強に集中できない人もいるかもしれませんね。明日でいいかとか。
ですが、自分はとにかく、社労士試験のために仕事を辞めた以上、絶対に1年で合格するんだ!というプレッシャーをかけていましたし、もし落ちたら恥ずかしいという思いもありましたので、集中を切らすことなく1年間勉強できました。
社労士の独立開業について
次は、本題の社労士の独立開業についてお伺いしていきます。
社労士の開業準備は?
大西
1年間の勉強で一発合格した後、開業するために具体的にどんなことをされましたか?
小西社労士
まず、社労士事務所に就職したかったのですが、履歴書を送っても跳ねられるということが何件か続きました。
税理士である父親にも、知り合いの社労士に聞いてもらったのですが、当時、26~27歳でしたので、そんな若くて資格をもった社労士を事務所で雇ったら、何年後かに独立して顧客を持っていかれてしまうと警戒されているのではないかということでした。
資格を持っていれば、すぐに雇ってもらえると思っていましたが、逆だったわけです。
そうこうするうちに、父親の税理士事務所で働かないかと誘いがあったため、税理士事務所の職員として働きながら、税理士事務所内に間借りする形で社労士事務所を開業しました。
そして、何年か税理士事務所で働いているうちに、他の職員とは業務内容も違いますし、繁忙期も違いましたので、働きにくいと感じるようになってきました。
立場的に税理士事務所の下請けのような形でしたので、様々な制約があり、自分自身ですべてを決めることができませんでした。
そこで、完全に独立したいと考え、所長に相談しましたが、はじめは反対されました。結局、相談をし始めた1年半後ぐらいにようやく了承が得られ、税理士事務所で働きだしてから5年後に独立することができました。
大西
その段階では、独立できるだけの顧客が既に付いていたということでしょうか?
小西社労士
はい。その顧客をそのまま引き継ぐことができました。それに、税理士としての顧客ではないため、税理士事務所にも迷惑をかけずに独立することができたと思います。
- 社労士事務所に就職したかったが、独立を警戒され採用されなかった。
- 父親の税理士事務所に間借りして社労士を開業したが、様々な制約があり働きにくくなった。
- 所長に独立を相談し、1年半かけて了承が得られ、税理士事務所で働きだしてから5年後に独立できた。
- 当時の顧客をそのまま引き継ぐことができ、税理士の顧客ではないため事務所にも迷惑をかけずに独立できた。
すぐに独立するには?
大西
税理士事務所に勤めたことで、それだけの顧客を獲得することができたわけですね。一般に、社労士として軌道に乗せるには、どうすればいいとお考えでしょうか。
小西社労士
試験に合格後、社労士として登録するには2年の実務経験が必要ですが、実務経験がない人は、事務指定講習を受ければ社労士として登録することができます。
私は、開業を考えている人は、この事務指定講習までの間に、社労士の実務的な勉強をする時間があるなら、税理士の知り合いを作ったり、マーケティングの勉強をしたりすべきだと思います。
社労士としての実務は、実際に業務を始め、実務をこなしながらでも充分対応できます。
社労士として大きく成長している事務所は、やはり税理士と繋がっている人のように思います。
大西
いきなり独立すると、わからないことが多くて大変ではないですか?
小西社労士
私の場合、税理士事務所には社労士はいませんでしたので、教えてもらうのは確かに難しかったです。
ですので、役所に何度も質問しながら業務をこなしました。役所に聞くときは、社労士のくせに何も知らないのか、と思われたくなかったため、一企業の事務担当者のふりをして聞いていました(笑)。
- 事務所に勤務せずに独立する場合は、開業までに税理士の知り合いを作ったり、マーケティングの勉強するべき。
- 社労士の実務は、業務をこなしながらでも充分対応できる。
社労士として力を入れている分野は?
大西
では現在、力を入れてらっしゃる分野はありますか?
小西社労士
「採用」に力を入れました。採用のサポートです。ハローワークやIndeedなどの求人広告にどうやって応募してもらうか、求人票をしっかりと書くことやネット検索で上位に表示させる方法などをアドバイスします。いわば、採用コンサルですね。
社労士の業務というのは、標準業務をめちゃくちゃ安い料金で引き受けるか、特別な業務を高い料金で引き受けるかのどちらかになると思います。
ただ、標準業務というのは、大手事務所がシステマチックに処理していますので、そこに個人事務所が入り込むのはなかなか難しい状況です。
そうすると、人を雇うという部分で勝負するのがいいのではないかと考えました。そのためには、少なくとも会社の数字は、わかるようになっておかないといけません。そうしないと社長と話ができませんので。
社労士は、コンサルやエグゼクティブコーチングのようなことを、やっていくべきだと思います。
社労士の枠にとらわれないで、ITが得意ならITのコンサルでもいいと思います。私の場合、会社員がいかに仕事を楽しみながら幸せな人生を送ることができるか、といった観点からのコンサルもやっています。
- 「採用」に力を入れた。いわば採用コンサル。
- 社労士は、コンサルやエグゼクティブコーチングのようなことをやっていくべき。
社労士の魅力は?
大西
社労士の魅力は何でしょうか?
小西社労士
まず、色んな社長に会えるということですね。100人200人の社長と会うと、この会社はヤバい、この会社は大丈夫、といったことがわかるようになります。
生きていく上で必要な、そういったものを吸収できるという魅力があります。
独立している人や会社を経営しているような人は超少数派ですから、変わった人が多くて面白いですね。
社労士の仕事は、色んなやり方でやりたいように仕事ができるというのも魅力だと思います。顧問契約は取らずに、スポット専門で労使紛争や就業規則を専門でやっている人もいます。
社労士の仕事はいくらでもありますし、活躍できる分野はまだまだあります。働き方改革やテレワークの普及なども、社労士の業務分野ですから。
社労士の会社への関与率は、まだ30~40%と言われています。税理士は90%台ですから、社労士はまだまだ伸びしろがある職業だと思います。
- 色んな社長に会えること。その結果、人を見る目が養われる。
- 社労士の仕事は、色んなやり方でやりたいように仕事ができるのも魅力
- 社労士の仕事はいくらでもある。活躍できる分野はまだまだある。
社労士の大変なことは?
大西
では逆に、社労士の業務の大変なことは何でしょうか?
小西社労士
クライアントからの業務相談で、ネガティブな話題が多いということがあります。採用して2日目で来なくなってしまったとか、タバコ休憩が多いとか、辞めさせたいとか。
そういう話を聞くと、気持ちが萎えますよね。そういった愚痴を聞くことが多いというのは、社労士の大変なことの一つかと思います。
そういった相談には、始めのうちは、法律的にはこうこうで、、、といった説明をしていましたが、途中から、そんな説明をしても意味がないことに気付きました。相手の気持ちに配慮することが大事ですね。
また、無理難題を言われることもあります。例えば、助成金の対象には明らかに該当しないものを対象にしてくれ、と言われることもあります。しかし、そんなことをすれば社労士の資格を失うことになりますので、絶対にしてはいけません。
- 業務相談では愚痴を聞くなどネガティブな話題が多い
⇒相手の気持ちに配慮することが大事 - 要件に該当しないものを対象にするよう無理難題を求められることもある。
⇒絶対にしてはいけない
社労士の独立開業を目指す方へのメッセージ
大西
最後に、これから社労士の資格取得、そして独立開業を目指している方にメッセージをお願いします。
小西社労士
社労士という資格は、これからの時代に求められる資格です。ぜひ社労士の資格を取って、会社とそこで働く人たちに明るい未来を提供していけるような社労士になってください!
社労士の独立開業の取材まとめ
以上、神戸で社労士として開業されている小西社労士に、社労士試験の勉強方法に始まり、社労士として独立・開業するための準備ややるべきこと、そして、社労士の魅力などについてお伺いしました。
これから社労士を目指す方にとって、とても役立つお話がお聞きできたと思います。
本当にありがとうございました!
事務所名 | 社会保険労務士 こにしオフィス |
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代表者 | 小西 朋安 |
所在地 | 兵庫県神戸市中央区北長狭通5-4-7ニューブ神戸303 |
TEL | 078-333-9903 |
FAX | 050-3737-6124 |
info@sr-konishi.jp | |
ホームページ | 神戸市中央区の社会保険労務士 こにしオフィス |
取材日:2020年8月7日
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