賃貸不動産経営管理士試験の難易度は?合格率や偏差値・勉強時間を徹底比較!
更新日:2024年9月18日
賃貸不動産経営管理士試験の難易度は、どれぐらいあるのでしょうか。
賃貸不動産経営管理士は、2021年度の国家資格化に伴って急速に人気が高まり、不動産3大資格と呼ばれる宅建士・マンション管理士・管理業務主任者と合わせて4大資格になりつつありますね。
このページでは、不動産4大資格での比較を交えながら、賃貸不動産経営管理士の難易度について、合格率や偏差値・勉強時間を紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
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賃貸不動産経営管理士試験の難易度は?
まずはじめに、賃貸不動産経営管理士試験の難易度について、ザックリと概要を紹介します。
賃貸不動産経営管理士試験は、2021年度の国家資格化に伴い、難化傾向が進んでいます。
国家資格になる前々年度(2019年度)に合格率が50%台から30%台に急落し、その翌年度(2020年度)には90分(40問)から120分(50問)の試験制度に変更されるなど、国家資格に相応しい難易度・試験制度に変革されました。
ただし、難化したとはいえ、合格率は30%前後あり、偏差値は41とされていますので、国家資格としては、比較的易しい資格といえますね。
※ 偏差値は、資格難易度ランキングより引用
また、合格するために必要な勉強時間は100時間ほどですので、その気になれば、かなりの短期間で合格することも可能です。
賃貸不動産経営管理士は、不動産4大資格のなかで最も合格しやすい資格です。
ということで、賃貸不動産経営管理士試験の難易度について、おおまかなイメージを持っていただけたかと思いますので、以下では、具体的な数値を見ながら詳しく解説していきます。
- 国家資格化に伴い難化した
- とはいえ合格率30%前後 、偏差値41の比較的易しい資格
- 必要な勉強時間は100時間のため短期合格が可能
- 不動産4大資格の中で最も合格しやすい
賃貸不動産経営管理士試験の合格率は?
それでは、賃貸不動産経営管理士試験の難易度を測る指標として、まずは合格率から詳しく見ていきます。
- 合格率は30%前後で推移
- 宅建・管理業務主任者・マンション管理士よりも易しい
- 合格点は7~8割の正答率
合格率は30%前後で推移
賃貸不動産経営管理士試験の合格率は、2018年度までは50%前後で推移していて、かなり易しい難易度でした。
ところが、国家資格化を見据えた2019年には、受験者数23,605人のうち、合格者数は8,698人で、合格率は36.8%にまで急激に下がりました。
さらに、国家資格になる前年の2020年度試験では、29.8%にまで下がりました。
この間の国家資格化への経緯については、下記の関連記事をご参照ください。
そして、賃貸不動産経営管理士が国家資格になった初年度の2021年度試験は、前年とほぼ同様の31.5%、そして2022年度も27.7%、2023年度も28.2%という形で下げ止まりましたので、今後も30%前後の合格率で推移することが予想されます。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
平成26年 (2014年) |
4,188 | 3,219 | 76.9% |
平成27年 (2015年) |
4,908 | 2,679 | 54.6% |
平成28年 (2016年) |
13,149 | 7,350 | 55.9% |
平成29年 (2017年) |
16,624 | 8,033 | 48.3% |
平成30年 (2018年) |
18,488 | 9,379 | 50.7% |
令和1年 (2019年) |
23,605 | 8,698 | 36.8% |
令和2年 (2020年) |
27,338 | 8,146 | 29.8% |
令和3年 (2021年) |
32,459 | 10,240 | 31.5% |
令和4年 (2022年) |
31,687 | 8,774 | 27.7% |
令和5年 (2023年) |
28,299 | 7,972 |
28.2% |
宅建・管理業務主任者・マンション管理士よりも易しい
賃貸不動産経営管理士試験の合格率は、不動産4大資格で比べると、以下のような位置づけになります。
資格名 | 合格率 |
---|---|
マンション管理士 | 約 9% |
宅建士 | 約 15% |
管理業務主任者 | 約 20% |
賃貸不動産経営管理士 | 約 30% |
この表のとおり、不動産4大資格の中では、マンション管理士の合格率が約9%と最も低く、難易度が高い資格といえますね。
その次が宅建士の15%、続いて管理業務主任者の20%、そして、賃貸不動産経営管理士の30%という順になっていますので、マンション管理士や宅建士、管理業務主任者に比べると、易しくて合格しやすい資格といえそうです。
ただし、易しいといっても合格率30%ということは、10人受験すると、7人は落ちる試験だということになります。
つまり、半分以上の人は落ちるわけですから、不動産資格の中では難易度は低い(合格率は高い)とはいえ、十分な受験対策が必要ですね。
合格点は7~8割の正答率
賃貸不動産経営管理士試験の合格点は、2019年度までは40点満点中21点~29点、2020年度~2023年度試験では50点満点中34点~40点と、幅があります。
年度 | 合格率 | 合格点 (40点満点) |
合格点の 正答率 |
---|---|---|---|
平成26年 (2014年) |
76.9% | 21点 | 53% |
平成27年 (2015年) |
54.6% | 25点 | 63% |
平成28年 (2016年) |
55.9% | 28点 | 70% |
平成29年 (2017年) |
48.3% | 27点 | 68% |
平成30年 (2018年) |
50.7% | 29点 | 73% |
令和1年 (2019年) |
36.8% | 29点 | 73% |
年度 | 合格率 | 合格点 (50点満点) |
合格点の 正答率 |
令和2年 (2020年) |
29.8% | 34点 | 68% |
令和3年 (2021年) |
31.5% | 40点 | 80% |
令和4年 (2022年) |
27.7% | 34点 | 68% |
令和5年 (2023年) |
28.2% | 36点 | 72% |
このように、合格点に幅があるのは、賃貸不動産経営試験は合格点があらかじめ決まっているような絶対評価方式ではなく、相対評価方式が採用されているからです。
合否の判定基準は公表されていませんが、おおむね維持すべき合格率になるように合格ラインが決められていると考えられます。
2018年までは50%程度が維持すべき合格率だったと考えられますし、2019年度は国家資格に移行した後の目指すべき合格率への過渡期の合格率で、2020年度以降の30%というのが国家資格として維持すべき合格率だと想像できます。
多くの国家試験は、このような相対評価方式が採用されていますので、賃貸不動産経営管理士試験が特別なわけではありません。
ちなみに、絶対評価方式が採用されている試験として有名なのは、行政書士試験ですね。
いずれにしても、賃貸不動産経営管理士試験では、おおむね7~8割の正答率が合格ラインになってきますので、そのあたりを目処に想定しておけばいいかと思います。
- 予想合格点はこちら⇒賃貸不動産経営管理士試験の合格点予想・合格ライン
賃貸不動産経営管理士の偏差値は?
賃貸不動産経営管理士の難易度を測る指標として、偏差値を利用する方法もあります。
偏差値は「41」の簡単レベル
偏差値というのは、平均点を50とし、受験者全体の得点分布に基づき算出される数値ですので、受験者の属性がまったく異なる資格試験を跨いで、各資格試験の偏差値を算出するというのは、本来は不可能です。
しかし、「資格難易度ランキング」や「資格難易度偏差値ランキング|資格の取り方」というサイトにおいて、公表されている合格率や合格点などの情報や傾向に基づき、推定の偏差値を独自に算出する試みがなされています。
ここに掲載されているデータによると、賃貸不動産経営管理士の偏差値は「41」とされています。
偏差値40台の資格は「簡単」レベルの難易度ですが、おそらくこれは、合格率が50%以上あった時点の偏差値だと思われます。
ですので、国家資格となり、合格率も30%程度になってくれば、当然この偏差値はもっと上がってくるはずです。
不動産・法律資格の偏差値ランキング
賃貸不動産経営管理士の偏差値を、有名どころの不動産・法律資格で比較してみると、以下のようになります。
順位 | 資格名 | 偏差値 |
---|---|---|
1 | 司法書士 | 72 |
2 | 社労士 | 65 |
3 | 土地家屋調査士 | 64 |
4 | 行政書士 | 62 |
5 | マンション管理士 | 61 |
6 | 宅建 | 57 |
7 | 管理業務主任者 | 55 |
8 | 賃貸不動産経営管理士 | 41 |
このように、合格率から見た難易度の順序と同様に、マンション管理士が最も偏差値が高く、次いで宅建士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士の順になっていますね。
今後、賃貸不動産経営管理士の偏差値も上がってくることが見込まれますが、管理業務主任者を超えることはないと予想されますので、今後もこの順序は維持されると思われます。
つまり、不動産4大資格の中では、一番合格しやすい資格ということになりますね。
また、有名な不動産・法律資格の中でも、一番易しい難易度ということになります。
- 偏差値: 「41」の簡単レベル
- 不動産4大資格の中で、一番易しい
賃貸不動産経営管理士の合格に必要な勉強時間は?
次は、賃貸不動産経営管理士試験の難易度を測る指標として、「合格するために必要な勉強時間」を見ていきたいと思います。
- 必要な勉強時間は100時間
- 1日2時間勉強するなら1ヶ月半(~2ヶ月)
- マン管・管業・宅建より少ない勉強時間で合格できる
100時間の勉強が必要
賃貸不動産経営管理士試験に合格するためには、一般的に100時間の勉強時間が必要と言われています。
1日2時間勉強するなら1ヶ月半(~2ヶ月) の学習期間
社会人が働きながら勉強することを考えると、1日に3時間の勉強なら1ヶ月ですが、私の経験上、働きながら1日3時間は、かなり無理をしないと達成できないと思います。
そこで、勉強を毎日継続できるよう生活に余裕を持たせながら実現できるのは、1日に2時間ぐらいが妥当だと思いますので、1日に2時間なら1ヶ月半程度の期間になってきます。
ただし、毎日確実に2時間できるとは限りませんので、もう少し余裕を持たせて、2ヶ月ぐらいを想定しておくのがいいのではないでしょうか。
1日の勉強時間 | 勉強期間 |
---|---|
1時間 | 3ヶ月 |
2時間 | 1ヶ月半 |
3時間 | 1ヶ月 |
賃貸不動産経営管理士の試験日は11月の第3日曜日ですので、遅くとも2ヶ月前の9月には勉強を開始することをおすすめします。
マン管・管業・宅建より少ない勉強時間で合格できる
では次は、不動産資格で、合格に必要な勉強時間を比較してみたいと思います。
賃貸不動産経営管理士試験を含め、資格試験の難易度は、合格に必要な勉強時間と相関関係があります。
資格名 | 合格率 | 必要な勉強時間 |
---|---|---|
マンション管理士 | 約 9% | 500時間 |
宅建士 | 約 15% | 300時間 |
管理業務主任者 | 約 20% | 300時間 |
賃貸不動産経営管理士 | 約 30% | 100時間 |
最難関のマンション管理士は500時間の勉強時間が必要で、次に難しい宅建士は300時間、管理業務主任者も300時間、そして、最も易しい賃貸不動産経営管理士の100時間と続きます。
このように、難易度の低い(合格率の高い)資格試験ほど、合格に必要な勉強時間も少なくなっていますね。
勉強時間について、詳しくは下記の記事も参考にしてください。
宅建・管理業務主任者の合格者には有利
不動産資格に関しては、宅建の資格をまず最初に取得される方が多いかと思います。
賃貸不動産経営管理士試験は、宅建や管理業務主任者の合格者には有利な試験です。
- 宅建・管業と試験範囲に重複があるから有利
- 初心者の半分(50時間)の勉強時間で合格できる
宅建・管業と試験範囲に重複があるから有利
賃貸不動産経営管理士試験の試験範囲の中で、民法・借地借家法・宅建業法・税などが、宅建試験と重複しています。
宅建よりも、管理業務主任者試験の方が、設備系の科目が入ってきますので、さらに重複する部分は増えてきます。
初心者の半分(50時間)の勉強時間で合格できる
私の経験上、宅建や管理業務主任者の知識がある方にとっては、賃貸不動産経営管理士試験は、初心者の半分ぐらい(50時間)の勉強時間があれば合格できると思います。
私の場合、約30時間の勉強時間(1日30分で約2ヶ月)で賃貸不動産経営管理士試験に合格することができました。
私は、宅建の受験勉強については、一般的に必要な勉強時間と同様に約300時間の勉強をしましたので、私が特別に頭がいいというわけではありません。
このため、合格率が30%になったとしても、宅建や管理業務主任者の合格者にとっては、もっと易しいイメージを持っても大丈夫です。
講習を受ければ5問免除でさらに有利に
賃貸不動産経営管理士試験には、「賃貸不動産経営管理士講習」を受講すれば、5問免除(問46~50)が受けられる特典があります。
この賃貸不動産経営管理士講習というのは、賃貸管理業務に必要な専門知識の習得と実務能力を高めるためのもので、「事前学習」と「講習」とで構成されています。
- 事前学習・・・ 2週間程度かけて、公式テキストを使って自己学習を行う。
- 講習・・・ 丸1日(9:00~17:30)、公式テキストを使って会場で講習を受け、確認テストを受ける。
夏頃(7月~9月)に、全国47都道府県で実施されますので、2万円前後(実施機関により料金は異なります)の受講料はかかりますが、この講習を受けておけば、当日の試験はかなり有利になるのは間違いありませんね。
賃貸不動産経営管理士は独学でも合格可能!
私は、賃貸不動産経営管理士試験には通信講座を使って勉強しました。
しかしそれは、「独学」の勉強方法を否定したわけではなく、私自身、仕事もプライベートも忙しくなり、机に向かって勉強する時間が確保できなかったからです。
このため、スキマ時間を寄せ集めて、スマホだけで勉強できる「スタディング」という通信講座を選びました。
しかし、独学であれ通信講座であれ、勉強する手段が異なるだけで、勉強する内容に違いはありません。
独学におすすめの勉強法・テキスト・過去問
賃貸不動産経営管理士試験は不動産系の他の資格に比べても難易度は低く、合格しやすい試験ですので、テキスト1冊をしっかりと読み、問題集(過去問)を複数回繰り返すだけで、独学でも短期合格が十分に可能です。
おすすめの勉強方法やおすすめのテキスト・過去問については、下記の関連記事で紹介していますので、そちらを参考にしてください。
独学が不安な方・短期合格を目指したい方には通信講座もおすすめ
なお、独学が不安な方や、さらなる短期合格を目指したい方には、通信講座もおすすめです。
下記の記事では、おすすめ通信講座を徹底的に比較してランキング形式で紹介しています。
初心者向け講座のほか、費用の安い講座、合格率の高い講座、サポートの充実した講座など目的別のおすすめも紹介していますので、参考にしてください。
- 賃貸不動産経営管理士の通信講座おすすめランキング
最安値は19,800円!
賃貸不動産経営管理士の試験制度(試験日・試験内容)
次は、賃貸不動産経営管理士試験の試験日や受験資格・試験内容など、試験制度について紹介します。
試験日は年に1回・11月の第3日曜日
賃貸不動産経営管理士試験は、毎年1回、11月の第3日曜日に実施されています。
2024年度(令和6年度)の試験日程は、以下のとおりです。
願書配付 |
令和6年8月1日(木)~9月19日(木)24:00まで |
---|---|
申込期間 |
令和6年8月1日(木)~9月26日(木) |
試験日時 |
令和6年11月17日(日) |
合格発表 |
令和6年12月26日(木) 10:00 |
受験料 |
12,000円 |
受験資格 |
年齢、性別、学歴などの制約なく、誰でも受験可能 |
受験資格はなく誰でも受験できる
賃貸不動産経営管理士試験には、年齢、性別、学歴などの制約はありませんので、どなたでも受験できます。
試験問題はマークシート50問
賃貸不動産経営管理士試験は、四肢択一(マークシート方式)で、下記の科目について、50問が出題される筆記試験です。
- 管理受託契約に関する事項
- 管理業務として行う賃貸住宅の維持保全に関する事項
- 家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理に関する事項
- 賃貸住宅の賃貸借に関する事項
- 法に関する事項
- 上記に掲げるもののほか、管理業務その他の賃貸住宅の管理の実務に関する事項
賃貸不動産経営管理士の難易度まとめ
以上、賃貸不動産経営管理士の難易度について見てきました。
賃貸不動産経営管理士は、宅建や管理業務主任者、マンション管理士に比べると、難易度は低く、合格しやすい資格だということが、ご理解していただけたかと思います。
最後に、ここまでの内容をまとめると、以下のようになります。
- 合格率は約30%(マンション管理士・宅建・管理業務主任者より難易度は低い)
- 合格点(合格ライン)は約7~8割の正答が必要
- 偏差値は41で資格試験の中では「簡単レベル」に位置付けられる ※ただし、国家資格となり偏差値は上がってくるはず。
- 合格するには100時間の勉強時間が必要
- ただし、宅建・管理業務主任者の合格者は半分ぐらいの勉強時間で大丈夫
- 講習を受ければ5問免除で有利に
- 独学でも合格可能
賃貸不動産経営管理士試験は、比較的難易度の低い試験ではありますが、10人中7人は落ちる試験ですので、油断は禁物です。
しかし、独学で挑戦するにしても、講座を受講するにしても、しっかりと計画を立てて、とにかく最後までやり切ることができれば、誰でも合格することができる資格です。
ぜひ、賃貸不動産経営管理士試験の合格を目指して、頑張ってください!