更新日:2023年8月7日
賃貸不動産経営管理士試験には「公式テキスト」が存在しており、その公式テキストは1,000ページを超えるボリュームのテキストになっています。
この賃貸不動産経営管理士試験の受験者数が年々増加してくるにつれて、各社から数多くの受験対策テキストが出版されるようになってきました。
当サイトでは、これらのテキストの中で、「ユーキャンの賃貸不動産経営管理士速習テキスト&問題集」をおすすめNo.2のテキストとしてご紹介しています。⇒賃貸不動産経営管理士の独学におすすめのテキスト
このユーキャンのテキストは、テキストだけでなく、問題集までも1冊に盛り込んだうえで、500ページというボリュームに抑えています。
これ1冊だけで、知識のインプット学習も、アウトプット学習もできるようになっているというのが大きな特徴です。
賃貸不動産経営管理士のテキストとしては、もっとボリュームの大きなテキストも出版されていますし、別途過去問題集も出版されているなかで、本当にこの1冊だけで合格できるのか、というのが、皆さんが気になるところだと思います。
そこで、賃貸不動産経営管理士の本試験の問題を題材にして、ユーキャンのテキストだけで解くことができるのか、そして、合格点を取ることができるのか、ということを私自身が実際に検証してみましたので、以下でご紹介したいと思います。
※ 今回の検証は、今となっては古くなってしまいましたが、2019年度版のテキストと試験問題を使用していますので、ご了承ください。
【執筆者】 |
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ユーキャンの賃貸不動産経営管理士速習テキスト&問題集だけで合格できるか徹底検証!
では、まず検証方法をご紹介してから、検証結果・検証記録について、順にご紹介していきます。
検証方法【テキスト部分・問題集部分】
検証方法は、2019年度の賃貸不動産経営管理士試験の各設問について、2019年度版の「ユーキャンの賃貸不動産経営管理士速習テキスト&問題集」のテキスト部分の記載を探し出し、そのテキストに記述されている知識だけで、設問の正解を導き出すことができるかどうか、という観点で検証しました。
また、それに加えて、ユーキャンのテキストには「〇×確認テスト」と「章末実力チェック問題」という問題集も収録されていますので、そこに本試験問題の正解を導き出すことができるような出題が収録されているかどうか、という観点からも併せて検証しました。
なお、「正解を導き出すことができるかどうか」というのは、例えば、組み合わせ問題の場合なら、正誤が判断できない肢があったとしても、正誤が判断できる肢だけで、正解の組み合わせを導くことができる場合は、「できる」と判定しています。また、個数問題の場合は、すべての肢について正誤を判断できない限り正解が導き出せませんので、正誤の判断ができない肢がひとつでもあれば、「できない」と判定しています。
※ 現在販売されているのは2023年版ですが、検証したのは2019年版ですので、ご了承ください。
※画像・書籍タイトルは、Amazonへリンクしています。![]() |
ユーキャンの賃貸不動産経営管理士 速習テキスト&問題集(2023年版) 著者: ユーキャン賃貸不動産経営管理士試験研究会 出版社: U-CAN ページ数: 524ページ サイズ: A5判 価格: 2,860円 |
検証結果【充分に合格点を取ることができる!】
それではまず結論から申し上げますと、ユーキャンのテキストだけで、「十分に合格点を取ることができる。」という結果になりました!
2019年度の本試験問題について、ユーキャンのテキストの記載だけで正解の判断ができなかったのは、40問中5問のみでした。
※ 2020年度試験から、出題数は50問に変更されています。(2019年度までは40問でした。)
つまり、40問中35問は、正解できるということです。2019年度の賃貸不動産経営管理士試験は、40問中29問正解すれば合格でしたので、超余裕ですね!
ただし、テキストに記載されているからといって、それをすべて頭に入れることができるかどうかというのは、また別問題ですが。。。この点については、問題集の部分でどれだけ問題演習をして知識を定着させることができるか、ということにかかってきます。
もし、問題集部分の知識だけで本試験を解いたとすれば、15問が正解できます。その他、本試験で出題された選択肢が絡んでいる問題が12問ありました。これは、問題集の知識だけでは解けませんが、テキストに戻って周辺知識を頭に入れていけば解ける問題といえます。これで27問まで正解することができます。
残り13問は、問題集には関連知識が掲載されていませんので、テキストに載っている知識をどれだけ記憶することができるか、にかかってきます。ちなみに、これらの問題は過去問にも出題のない知識が大半ですので、別途、過去問題集を購入して解いたとしても、結果は大して変わらないと思われます。
やはり、問題演習に加え、テキストの読み込みも大切だということが言えますね。
検証記録【本試験全40問について、徹底検証!】
それでは、2019年度の賃貸不動産経営管理士の本試験問題について、ユーキャンのテキストと照らし合わせながら検証した記録を以下に掲載しておきたいと思います。
なお、検証するに当たっては、間違いのないよう慎重に行いましたが、見落としがある可能性もございますので、その点については、ご容赦いただきますようお願いいたします。
〇 | 出題の正解を導くことができる直接的な記載がある |
× | 出題の正解を導くことができる記載がない |
△ | 出題に関連する記載はあるが、その知識だけでは正解を導くことができない。 |
問 | 出題内容 | テキスト部分の記載(掲載ページ番号) | 問題集部分の記載 |
---|---|---|---|
1 | 住生活基本計画の目標 | 〇(P.26) | × |
2 | 賃貸不動産経営管理士が行うべき業務 | 〇(P.74) | 〇 |
3 | 基幹業務 | 〇(P.46) | 〇 |
4 | 個人情報保護法 | 〇(P.183,184) | 〇 |
5 | 賃貸住宅管理業者登録制度の登録 | 〇(P.46,49,65,49) | 〇 |
6 | 賃貸住宅管理業者が遵守すべき事項 | 〇(P.69,55,68) | 〇 |
7 | 9条報告 | 〇(P.63,64,65) | 〇 |
8 | 管理受託契約成立時の書面の交付 | 〇(P.53,55) | 〇 |
9 | 賃貸借契約 | △(P.137,138,134) | × |
10 | 賃料増額請求 | 〇(P.233) | × |
11 | 不動産の表示に関する公正競争規約 | △(P.202) | × |
12 | 借主の募集 | 〇(P.199,200,202) | × |
13 | 定期建物賃貸借と普通建物賃貸借の異同 | 〇(P.158,157,160,159) | △ |
14 | 賃貸借契約の当事者の死亡 | 〇(P.129,139) | △ |
15 | 建物賃貸借と建物使用貸借の異同 | 〇(P.163,164) | × |
16 | 有益費・必要費、造作買取請求権 | 〇(P.114,115) | 〇 |
17 | 借主の義務 | 〇(P.122,123,124) | △ |
18 | 賃料 | 〇(P.117,118,119,120) | × |
19 | 敷金 | 〇(P.126,125,128,129) | △ |
20 | サブリース方式による賃貸管理業務 | 〇(P.97,98) | △ |
21 | 原状回復ガイドライン | 〇(P.246,247) | △ |
22 | 原状回復における経過年数の考慮 | 〇(P.252,250) | △ |
23 | 管理受託方式の賃貸管理業務 | 〇(P.87,52,235) | △ |
24 | 住宅宿泊事業法 | 〇(P.95,93,92) | △ |
25 | サブリース方式による賃貸管理 | 〇(P.99,100) | 〇 |
26 | 住環境の整備、防犯対策 | 〇(P.315,220,223) | × |
27 | 未払賃料の回収、明渡し | 〇(P.235,238,239) | × |
28 | 建築基準法の採光規定 | 〇(P.290) | 〇 |
29 | 応急危険度判定・罹災証明書 | 〇(P.316) | 〇 |
30 | 給水設備 | △(P.327,328) | △ |
31 | 排水・通気設備、浄化槽 | 〇(P.337,339,341) | △ |
32 | 換気設備 | 〇(P.343,344) | 〇 |
33 | 不動産の調査 | △(P.386) | × |
34 | プロパティマネジメント業務 | 〇(P.407,406) | × |
35 | 不動産の税金 | 〇(P.413,423,414) | 〇 |
36 | 相続税・贈与税 | 〇(P.420,422) | △ |
37 | 管理業者の役割 | 〇(P.36,407) | × |
38 | 倫理憲章 | 〇(P.77) | 〇 |
39 | 建物の構造・工法 | △(P.269,268) | × |
40 | 保険 | 〇(P.402,403) | 〇 |
合計 | 40問 | 〇:35問 △:5問 ×:0問 |
〇:15問 △:12問 ×:13問 |
ユーキャンの賃貸不動産経営管理士速習テキスト&問題集の検証まとめ
以上、「ユーキャンの賃貸不動産経営管理士速習テキスト&問題集」だけで、本試験問題を解くことができるかどうか、そして、合格点を取ることができるかどうかについて検証してきました。
結論としては、上述のとおり、ユーキャンのテキスト&問題集だけで、余裕で合格点を取ることができる。ということになります。
ただし、現実問題として、テキストを読むだけで全てを記憶することは不可能ですので、問題演習をしながら知識を定着させていく必要があります。
しかし、すべての知識について、演習問題が収録されているわけではありませんので、問題演習だけに頼りすぎても合格知識を身につけることはできません。
ですので、しっかりとテキストも読み込む必要があるということになります。
そしてこれは、別途、過去問題集を購入したとしても同じことが言えます。あくまでも「過去問」ですので、過去に出題実績のない問題については、問題演習することができないわけです。
この意味では、ユーキャンは、出題実績のない問題についても、「〇×確認テスト」で収録していますので、他の市販の過去問題集よりも優れていると言えるかもしれません。
当ページの検証結果は、ユーキャンのテキストだけで本当に合格できるのか不安に思っている方にとっては朗報になったかと思います。
とは言うものの、別途、問題集を購入して解くことに比べると、問題演習が不足することは否定できません。ですので、試験まで十分な勉強期間が確保できる場合には、別途、問題集も購入して、問題演習に取り組むことをおすすめします。
ユーキャンの賃貸不動産経営管理士 速習テキスト&問題集レビュー
※画像・書籍タイトルは、Amazonへリンクしています。![]() |
ユーキャンの賃貸不動産経営管理士 速習テキスト&問題集(2023年版) 著者: ユーキャン賃貸不動産経営管理士試験研究会 出版社: U-CAN ページ数: 524ページ サイズ: A5判 価格: 2,860円 |
最後に、「ユーキャンの賃貸不動産経営管理士 速習テキスト&問題集」が、どのようなテキストなのか、レビューしておきたいと思います。
このテキストは、2018年版が初版で、テキストと問題集が一体化した「テキスト&問題集」のタイプです。
印刷は、黒と赤系の2色刷りで、赤シートが付属しており、重要語句を穴埋めでチェックできるようになっているほか、問題の答えも隠せるようになっています。
出典:Amazon
このテキストの特徴は、1日1レッスンで、合計35日で学習が完成するように構成されており、総ページ数は524ページですので、1日15ページずつ読み進めていけばよい計算になります。
本文の構成としては、各レッスンごとに、10問程度の一問一答形式の「〇×確認テスト」と、各章末には、2問程度の「実力チェック問題(四肢択一)」が掲載されています。
出典:Amazon
この〇×確認テストは、上の写真のとおり、1ページの中にギュッと収められていて、とてもコンパクトに、かさばらないようになっています。
収録問題数は、一問一答は約300問、実力チェック問題は約30問掲載されています。
また、巻末に予想模擬試験も1回分(50問)付いていますので、まさにオールインワンのテキスト&問題集といえます。
なお、各ページの欄外余白には、「用語解説」や「プラスワン知識」なども記載されています。
このテキストは、正統派テキストの部類に入りますが、日建学院の「賃貸不動産経営管理士 基本テキスト」に比べるとコンパクトですし、TACの「みんなが欲しかった!賃貸不動産経営管理士の教科書」に比べると詳しい記述ですし、ちょうどその中間といった位置づけかと思います。
この1冊には、合格するために必要な内容が盛り込まれており、これ1冊をしっかりと学習すれば、十分に合格することは可能です。
ただし、別途問題集を使って問題演習するのに比べると、やはり問題演習は不足しますので、テキスト学習の知識のみで解かざるを得ない出題も出てきてしまいます。このため、勉強期間が十分確保できる場合は、TACの「みんなが欲しかった!」のシリーズで学習することをおすすめしたいと思います。
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