教育訓練給付制度とは?支給条件・申請方法・対象資格まで解説
更新日:2024年11月7日
教育訓練給付制度とは、どんな制度なのか、また、受給するにはどうすればいいのでしょうか。
当サイトでは、資格取得の勉強方法として、独学だけでなく通信講座や通学スクールの資格講座も紹介しています。
資格講座には、厚生労働省の教育訓練給付金の支給対象講座もありますので、要件を満たす方は、この制度を利用すれば受講料の一部がキャッシュバックされるという、とてもお得な制度です。
そこで、このページでは教育訓練給付金の制度や支給条件、そして対象資格などを紹介しますので、通信講座や通学スクールを受講される場合は、ぜひ参考にしてください。
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教育訓練給付制度とは?
教育訓練給付制度とは、受講費用の一部がキャッシュバックされる制度で、給付金には一般・特定一般・専門実践の3種類があります。
この制度について、教育訓練給付制度(厚生労働省公式サイト)や各資格学校のサイトなどを参考にまとめましたので、順に解説していきます。
- 受講費用の一部がキャッシュバックされる制度
- 給付金には一般・特定一般・専門実践の3種類がある
受講費用の一部がキャッシュバックされる制度
教育訓練給付制度とは、支払った受講料や入学金などの費用の一部がハローワーク(公共職業安定所)から支給(キャッシュバック)される制度です。
労働者の自主的な能力開発や中長期的なキャリア形成の取組みを支援し、雇用の安定や再就職の促進を図ることを目的に創設されました。
専門学校や資格予備校などで、厚生労働大臣が指定する教育訓練(資格講座)を受講して修了した場合に適用されます。
給付金には一般・特定一般・専門実践の3種類がある
教育訓練給付金は、一般教育訓練・特定一般教育訓練・専門実践教育訓練の3種類に分かれています。
- 一般教育訓練給付金
- 特定一般教育訓練給付金
- 専門実践教育訓練給付金
一般教育訓練給付金
一般教育訓練給付金は、資格取得を目標とする講座が対象で、範囲が広いのが特徴です。
下記のような資格はすべて一般教育訓練の対象資格です。
- 宅建、行政書士、社会保険労務士
- 簿記検定、FP(ファイナンシャル・プランナー)
- TOEIC
一般教育訓練給付金では、支払った受講費用のうち20%(上限10万円)が支給されます。
特定一般教育訓練給付金
特定一般教育訓練給付金は、下記のような業務独占資格やITスキルなどキャリアアップ効果の高い資格が対象になっています。
- 介護職員初任者研修
- 大型自動車第一種・第二種免許
- 基本情報技術者試験
特定一般教育訓練給付金では、支払った受講費用のうち40%(上限20万円)が支給されます。
速やかに再就職したい方や、できるだけ早くスキルアップしたい方におすすめですね。
専門実践教育訓練給付金
専門実践教育訓練給付金は、下記のような業務独占資格やITスキルなど、長期的なキャリア形成のための専門的な資格が対象です。
- 看護師、介護福祉士、社会福祉士、保育士、建築士
- 美容師、調理師
- 応用情報技術者試験
専門実践教育訓練給付金では、支払った受講費用のうち最大で70%(年間上限56万円、3年で最大168万円)が支給されます。
詳しい内容は、下記公式サイトのPDF資料をご確認ください。
⇒ 教育訓練給付制度のご案内|厚生労働省
一般教育訓練給付金の支給条件などをわかりやすく解説
当サイトで取り扱っている資格はすべて「一般教育訓練給付金」の対象講座です。
このため、一般教育訓練給付金について、支給条件などを詳しく解説していきます。
- 雇用保険の被保険者の期間が3年以上(初めての支給なら1年以上)
- 受講料や入学金などの20%(上限10万円)を支給(ただし、支給額が4,000円以下の場合を除く)
支給条件
一般教育訓練給付金は、雇用保険の被保険者期間が3年以上(初めて教育訓練給付金の支給を受ける場合は1年以上)あることが要件となっています。
なお、離職により被保険者でなくなった場合は、離職日の翌日から1年以内に受講を開始する必要があります。
詳しい内容は下記の公式サイトをご確認ください。
⇒ 教育訓練給付制度があなたのキャリアアップを支援します|政府広報オンライン
支給率・支給額
一般教育訓練(通信講座や通学講座)の受講のために支払った費用(受講料や入学金など)の20%(上限10万円)が支給されます。
ただし、その支給額が4,000円以下の場合は支給されません。
上限の事例
例えば、受講料として支払った金額が10万円だった場合は、その20%の2万円が支給されます。
支給額の上限は10万円ですので、受講料が50万円の場合に上限となり(50万円×20%=10万円)、受講料が60万円だったとしても、10万円しかもらえません。
下限の事例
一方、支給額の最低額は4,000円ですので、受講料が2万円の場合に下限となります。
例えば、受講料が19,000円の場合は、その20%は3,800円で4,000円以下になるため支給対象外になります。(受講料が20,000円ちょうどの場合も対象外です。)
つまり、最低でも2万円を超える受講料を支払う必要があることになりますね。
受験の有無・結果の合否は問われない
なお、実際に資格試験を受験したかどうか、また、試験に合格したかどうかは問われません。
あくまでも講座を受講し、修了したかどうかがポイントです。
ちなみに、講座によっては、合格すれば全額返金や、不合格なら全額返金などの特典が用意されている場合がありますが、このような受講料の全額返金と併せて給付金の支給を受けることはできません。
一般教育訓練給付金の申請方法
一般教育訓練給付金は、支給条件に当てはまったとしても、必要な書類を提出して申請しない限り、受け取ることはできません。
申請の流れ
一般教育訓練給付金の支給を受けるための申請手続は、おおむね以下の流れになります。
- ① 通信講座・通学講座を申し込む際に、教育訓練給付制度を利用して申し込む(チェックボックスにチェックを入れる、専用の申込みページから申込むなど、資格学校によって異なります)。
- ② 資格学校から必要書類が送られてくるため、必要事項を記入し、本人確認書類(免許証など)のコピーを同封して資格学校に提出する。
- ③ 受講期間中に、講座ごとに定められた修了基準を満たせば修了となる(添削課題や確認テストなどで、各講座が定める基準点を満たすなど)。
- ④ 修了が認定されると、資格学校から給付金の申請に必要な書類が送付されるため、ハローワークに必要書類を提出し、申請手続を行う。
- 教育訓練給付制度を利用して講座を申し込む
- 本人確認書類(免許証など)のコピーを同封して資格学校に提出する
- 講座ごとに定められた修了基準を満たせば修了となる
- ハローワークに必要書類を提出し、申請手続を行う
必要書類
上記④で、ハローワークへの申請に必要な書類は下記の7点です。
- 教育訓練給付金支給申請書(受講修了後、資格学校から交付されます)
- 教育訓練修了証明書(受講修了後、資格学校から発行されます)
- 領収書(資格学校から発行されます)
- 本人・住所確認書類(運転免許証、住民票の写し、雇用保険受給資格証、国民健康保険被保険者証、印鑑証明書など)
- マイナンバー(マイナンバーカードや通知カード、マイナンバーの記載のある住民票の写しなど)
- 雇用保険被保険者証(雇用保険受給資格者証でも可)
- 受取口座の通帳またはキャッシュカード
すべての書類が揃わないと給付を受けることができません。必ず事前に確認してスムーズに受取りができるよう準備しておきましょう。
一般教育訓練給付金の対象資格・対象講座一覧
次は、一般教育訓練給付金の対象資格や対象講座を紹介します。
対象資格一覧
一般教育訓練給付金は、非常に多くの資格が対象になっていて、例えば、当サイトで取り扱っている下記の資格はすべて対象資格です。
- 宅建(宅地建物取引士)
- 行政書士
- マンション管理士
- 管理業務主任者
- 土地家屋調査士
- 測量士補
- 司法書士
- 公認会計士
- 簿記検定
- FP(ファイナンシャル・プランナー)
- など
このほかにも、数多くの資格が対象になっていますので、詳しくは、厚生労働省のWebサイト「教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座」でご確認ください。
対象講座一覧
教育訓練給付制度の対象講座についても、厚生労働省のWebサイト「教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座」で検索することができます。
また、各資格学校のホームページでも、対象となる通信講座・通学講座にはその旨が表示されています。
有名どころでいえば、大手資格予備校のLEC・TAC・大原などは対象講座を開講していますし、通信教育会社も、フォーサイト・スタディング・クレアール・ユーキャンなどが対象講座を開講していますね。
各資格予備校ごとに具体的に挙げると、以下の資格が対象講座になっています。
資格予備校/通信教育会社 | 対象講座 |
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LEC |
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TAC |
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大原 |
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フォーサイト |
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スタディング |
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クレアール |
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ユーキャン |
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ただし、対象講座を開講している資格学校であっても、受講コースによって、対象に指定されているものと指定されていないものがあるため注意が必要です。
以上、教育訓練給付制度について整理してきました。実際に教育訓練給付制度を使って講座を申し込む際には、各資格学校のホームページをよく確認したうえで、申し込むようにしてください。
一般教育訓練給付金を受給する際の注意点
ここまで、一般教育訓練給付金の申請方法などを紹介してきましたが、実際に受給する際には、いくつかの注意点があります。
下記の2点が、一般教育訓練給付金を受給する際の代表的な注意点です。
- 公務員や会社役員、自営業は対象外
- 雇用保険の被保険者ではなくなった場合は1年以内が対象
公務員や会社役員・自営業は対象外
一般教育訓練給付金は、誰でも対象になるわけではありません。
公務員や会社役員、自営業の方は、一般教育訓練給付金の対象外です。なぜなら、雇用保険に加入している人が対象だからです。
このため、見事に私は対象外です。。もともと市役所に勤めていましたので公務員として対象外で、そのあと会社役員になったため、やはり対象外、さらに司法書士事務所を開業しましたが、これも自営業で対象外、という具合です。
雇用保険の被保険者でなくなった場合は1年以内が対象
一般教育訓練給付金を受給できる期間は、雇用保険の被保険者でなくなった場合は1年以内です。
雇用保険の被保険者でなくなった日(退職日の翌日)から1年以内に受講をスタートさせないと、対象外になってしまいますので、注意してください。
ただし、妊娠や出産などやむを得ない理由があった場合には、その旨を申請すれば、適用対象期間が最大20年延長される制度が設けられています。
詳しい内容は、下記公式サイトのPDF資料を参考にしてください。
⇒ 雇用保険の被保険者又は被保険者であった方へ|厚生労働省
教育訓練給付制度に関するよくある質問
最後に、教育訓練給付金に関するよくある質問をまとめてみました。
教育訓練給付制度は在職中でも受けられますか?
在職中でも教育訓練給付制度を受けることができます。
そもそも、教育訓練給付制度には、離職中・在職中の区別はありません。雇用保険の被保険者期間が3年以上(初めて支給を受ける場合は1年以上)あるかどうかで判断されます。
教育訓練給付制度は50歳以上でも受けられますか?
50歳以上でも、教育訓練給付金を受けることは可能です。
当記事で紹介した一般教育訓練、特定一般教育訓練、専門実践教育訓練に年齢制限はありません。